コバリドの谷(続)

  
 コバリドへの谷は美しい。これまでのスロヴェニアとは趣の異なる、イタリアっぽいパステル色の壁と赤茶色のレンガ屋根の家並。
 けれども大変な隘路で、その隘路をバスは物凄いスピードで走る。向こうから来る車とすれ違うたびに、急ブレーキをかけて停まる。地元の常客たちは誰も気にしていない。これが普通らしい。

 コバリドは小さな町。町の中心、スヴォボデ広場のど真ん前の、チープなホステルが本日の宿。すぐ横にインフォメーションがある。
 係のおばさんが、日本語の案内はない、日本人はここまであまり来ないから、と言う。が、何かを思いついたらしく、私たちを待たせて、ウェブサイトからプリントアウトし始める。ホッチキスで止めて、「日本人のためのパンフレットよ!」と渡してくれたのは、スロヴェニアと北イタリアの日本語版案内だった。
 重い荷物が増えてしまったけれど、情の厚い相棒は大事にそれを持って帰る。

 広場には、スロヴェニアの抒情詩人シモン・グレゴルチッチの表現主義的な立像が立っている。コバリドの司祭だったともいう。
 相棒はこれを、「武器よさらば」でフレデリックとキャサリンを結婚させた牧師の像だと、勝手な思い込みで強く主張する。……本当だろうか? そうは思えないが。

 To bo continued...

 画像は、コバリドの谷。

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