ボーデン湖の出島

 
 リンダウ(Lindau)はボーデン湖畔に浮かぶ小島で、湖の町としてはドイツ最東端。列車はゴトン、ゴトンと鉄道橋を渡って、終着駅であるリンダウ中央駅へと乗り入れる。

 ドイツ行きが決まったとき、私は、訪れたい町を、あれやこれやと言っておいた。が、実際ドイツに来てみると、行き当たりばったりに行き先を決める、そのとき任せの適当旅。
 そんななかでリンダウは、私の希望がすんなり通った、数少ない町の一つ。私にはこういう、特別な観光名物はなくても、全体に趣のある小さな町が、性に合っている。

 駅を出てすぐに、うんうん、古くてイイ感じの町だねえ、と満足。しとしと小雨が降り出すなか、旧市街へ向かう。
 リンダウ島は出島のように、湖に突き出す形で、鉄道橋と道路橋とで陸に結ばれている。リンダウのユースホステルは、陸部のほうにある。ので、駅から、旧市街をてくてく通って、道路橋を渡ってユースにたどり着く、というのが、相棒のコース。

「それにしてもボーデン湖は、雨ぽ、ばかりだねえ」
「うん、雨ぽ、ばかりだ」

 小雨なので傘を差さないドイツ人もいるが、そういう人たちはみんなヤッケを着ている。私も日本から持参した、見かけはヤッケの、ただの布切れを引っかける。
 うーむ、ヤッケ。必要なものは現地調達、という主義なら、ドイツらしいシンプルでカラフルなヤッケくらい買えばよかったと、今になっては思う。だが、そのときは節約第一、「ヤッケなんて買ったら、次の日から雨が上がって、カンカン照りの暑い天気続きになるんだよ。そんなもんだよ」という相棒の言葉に丸め込まれて、健気にガマンしていたのだった。

 To be continued...

 画像は、リンダウ、港の灯台とライオン像。

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     Bear's Paw -ドイツ&オーストリア-
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