聖書あれこれ:聖ヨセフ

 
 プラハの王宮美術館に、赤ん坊のイエスをあやすように抱いたヨセフを描いたグイド・レーニの絵があった。こういう聖ヨセフは初めて観た。
 帰国後、画像を検索してみたところ、レーニは同じテーマで聖父子像を何枚も描いているらしく、いくつかのバージョンがあった。が、プラハのものは一枚もヒットしなかった。
 私が観たのは、ヨセフが慈しみ深く見つめながら、両手で裸ん坊の赤ちゃんイエスを抱いている。イエスのほうは仰向けに抱かれながら右手に紐のようなものを握り、その先を眺めている。紐は風船紐みたいに上へと伸びていて、先には白っぽい小鳥のようなものがくっついている。……という、あまり大きくない絵。 
 館内は撮影禁止で、ポストカード等もなかったので、これを観るには実物に会いに行くしかない。

 聖ヨセフ(ナザレのヨセフ)は、イエスの養父という重要なポジションにある人物なのだが、その割には影が薄い。しかも、なぜか老人。ちなみにヨセフとの婚約時、マリアは14歳なので、父娘ほど年齢の離れた夫婦、ということになる。
 ヨセフが老人というのには理由があって、結局、マリアの処女性を尊ぶ教義のせいらしい。つまりヨセフはすでに生殖不能の枯れた男であって、夫としては形式的な夫にすぎなかった、ということ。

 以下は、「マタイ福音書 第1章」からの備忘録。

 キリスト誕生の次第。すでにヨセフと婚約していたマリアは、結婚を前に聖霊によって身籠った。
 ヨセフは正しい人だったので、このことを表沙汰にせず、密かに離縁しようと決心した(公に離縁すると、当該女性は姦淫の罪により、律法に従って処罰されるという)。ところが、悶々と悩むヨセフの夢に、天使が現われてこう告げる。
「マリアを妻に迎えるがよい。その胎内に宿るのは聖霊の子なのだ。その子をイエスと名づけなさい。やがて救い主となるだろう」
 ヨセフは眠りから覚めると、天使に命じられたとおり、マリアを妻に迎える。が、彼女と関係することはなかった。

 To be continued...

 画像は、レーニ「幼子キリストを抱く聖ヨセフ」。
  グイド・レーニ(Guido Reni, 1575-1642, Italian)

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