ねじの回転

 
 ジェームズ「ねじの回転」を読んだ。体調を崩していたので、年末年始に読んだ本は、たったこれだけ。でもこれって、体調の崩れてるときに読む本じゃない。

 イギリスの片田舎の古屋敷に、若い女性が新任の家庭教師としてやって来る。教え子たちは両親に先立たれた、美しく愛らしい幼い兄妹。だが、その屋敷には亡霊がいた。
 亡霊たちが兄妹を邪悪に引きずり込もうとしている、と確信する家庭教師。彼女は、何が起こっても一切連絡はしてくれるな、という、雇い主である魅力的な青年紳士の奇妙な条件を尊守し、彼への思慕を胸に、兄妹を守護することに自分の使命を見出す。

 この幽霊譚が、家庭教師による手記という形で展開する。手記は、それを譲り受けた知人によって、彼女の死後、クリスマス・イブに暖炉を囲んで語られる怪談の場で披露される。

 だから読み手は、炉辺での聞き手の一人として、物語の途上にいずれ亡霊が出てくることをあらかじめ知っているし、物語の展開につれて、亡霊を目撃する家庭教師の精神が、徐々にバランスを欠いてくることにも気づく。
 亡霊を見たのは一人、告白者の家庭教師のみで、兄妹や女中頭、他の雇用人たちには、それが見えない。が、家庭教師は、兄妹には亡霊が見えているはずだ、亡霊たちにそそのかされ、見えないふりをして自分を欺いているのだ、と考える。女中頭は家庭教師を信じ、その朋友として彼女を助けるのだが、やはり単純な頭のせいで(と彼女は考える。女中頭は文盲である)、亡霊の姿は見えない。
 
 To be continued...

 画像は、T.モラン「幽霊屋敷」。
  トマス・モラン(Thomas Moran, 1837-1926, American)

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