されば悲しきアホの家系(続々………………々)

 
 もともと、この次男坊の伯父というのは、とことん自分勝手な上に偉ぶる奴で、私はずっと大嫌いだった。

 例えば、伯父は空き缶やポリ袋などのゴミを平気で、むしろ堂々と、道端にポイ捨てする。雑草の伸びきった草原のような、ゴミの目立たない野外にだけではない。ガレージでも車道でも、それこそどこにでもだ。
 注意しようものなら、「税金払てるからええんや!」と、こうだ。

 このポイ捨ての癖は、祖母の代から受け継がれた由緒あるもので、祖母もまた、ゴミを手にしながら、ふと空を見上げ、あっちの空を見、こっちの空を見て、その間にこっそりとゴミを手から落とす。祖母は、自分がゴミから視線をそらしているので、他人もまた、自分と同じようにゴミの行方を見ていないものと思い込んでいる。モラル以前に、この家の人間は犬畜生のレベルなのだ。

 さて、次男坊の伯父の不正が発覚したとき、もちろん、伯父のこの裏切り行為には、伯父を除く父の兄弟姉妹全員が、「一体なんの魔が差して!」と猛烈に抗議した。が、ここで登場したのが、次男坊の伯父の妻君だった。
 この妻君、言っちゃ悪いがグライアイのような風貌をした婆さんで、日本的に分かりやすく言えば、まあ、牛を食う山姥といったところ。正月でも法事でも、ほとんど何も喋らず、ただ女中のように黙々と給仕していた。

 そんな姿が脳裏に残っているだけに、この妻君のいきなりの叛逆に、私は手を叩いて面白がった。
 
 To be continued...

 画像は、ゴヤ「時の翁と老婆たち」。
  フランシスコ・デ・ゴヤ(Francisco de Goya, 1746-1828, Spanish)

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