ギリシャ神話あれこれ:天翔けるベレロポン(続々々々)

 
 こうしてめでたくリュキアの王となったベレロポンは、あるとき、自分を陥れたアルゴス王妃アンテイアへの復讐を思い立つ。彼は威風堂々、王妃を訪れて、誘惑する。未練がましい王妃は、ベレロポンの胸に飛び込み、二人して駆け落ちすべく、いそいそとペガソスの背に乗る。
 が、ベガソスがはるか上空まで来ると、ベレロポンは王妃をペガサスの背から突き落とし、殺してしまった。
 
 神に愛されたベレロポンだったが、次第に慢心し、やがて、神々の列に名を連ねるべく、天界へ昇ることを思い立つ。ペガソスを駆って、天へ、天へと翔け昇るベレロポン。
 人間は決して神になろうとしてはいけない。自分を神と同列に置いてはいけない。自分を神より下位の存在としてわきまえなければいけない。
 オリュンポス目指してやって来るベレロポンに、ゼウス神は虻を放つ。虻はペガソスのお尻をプチッと刺した。

 ブヒーッ! お馬はみんな虻が大嫌い。暴れだしたペガソスはベレロポンを振り落とし、そのまま天へと駆け去っていった。一方ベレロポンのほうは、真っ逆さまにアレイオンの野へと墜落する。
 地上に叩きつけられても、さすがは英雄、ベレロポンは死ななかった。が、跛になったとも、盲目になったとも、発狂したともいい、放浪の末に、栄光とは無縁の死を迎えた。

 画像は、マルチェフスキ「詩人とキマイラ」。
  ヤチェク・マルチェフスキ(Jacek Malczewski, 1854-1929, Polish)

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