世界をスケッチ旅行してまわりたい絵描きの卵の備忘録と雑記
魔法の絨毯 -美術館めぐりとスケッチ旅行-
されば悲しきアホの家系(続々………々々々)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/92/d73bbd5c2d92f4e3a25184728c606287.jpg)
恥じるべきは、人の心の浅ましさであります。地面に倒れた途端に、袖のなかにしまってあった大量のお布施が、ばらばらと道に散らばりました。私は慌てて、一つも逃してなるものかという気持ちから、両足にくっつけた自転車を引きずりながら、何糞とばかりに、這いつくばってお布施を両腕で掻き集めました。
そして、すべてのお布施を胸許に掻き寄せてから、初めて周囲を見まわしますと、通行されている皆さまが、何事かとばかりに私を囲んで、覗き込んでいるのでいるのでございます。顔から火が出るほど恥ずかしい気持ちとは、このことでございます。
仏さまはお見通しでございます。物欲に取りつかれました浅ましい心を、きっとお懲らしめになったのでございましょう。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。
……これって、説法か? ついでにもう一つ。
私たちはみな、現世の災いに脅かされてございます。ときに仏さまは、私たちに慈悲深いお手を差し出して、助けてくださいます。こんなことがございました。
前にも申し上げましたように、私はお経をお願いされましたのが近所のお家であれば、自転車を使用しております。
さて、ある晴れた日のことでございます。私は川沿いの道を走っておりました。風がわたり、気分が好いので、私は漕ぎながら、お経のための発声練習を始めました。口を大きく開け、ア~、ア~、アアア~、と声を大きく出すのは爽快でございます。
けれども、自転車を走らせておりますと、眼に虫が飛び込んでくることがよくありますように、私の大きく開けた口にも、このとき虫が飛び込んできたのでございます。しかもその虫というのが、蜂でございます。
慌てて蜂を吐き出しましたときには、蜂は私の口のなかを、何度もチクチクと刺したあとでございました。……
To be continued...
画像は、ヴェレシシャーギン「日本の僧侶」。
ワシーリイ・ヴェレシシャーギン(Vasily Vereshchagin, 1842-1904, Russian)
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