ギリシャ神話あれこれ:オデュッセウス帰還-セイレンの島

 
 船は再びアイアイエ島に戻り、出迎えたキルケが一行をねぎらう。そしてオデュッセウスに、これからの航海について事細かに助言する。まずセイレンの棲む島のこと、次に怪物スキュラとカリュブディスの難所のこと、さらに太陽神ヘリオスの牛と羊が放牧されているトリナキエ島のこと……
 すっかり語り終えた頃に夜が明け、キルケは館へと帰っていく。このときキルケは、オデュッセウスの子を身籠っていたという。

 さて、オデュッセウス一行は、故郷イタケを目指してアイアイエ島を出帆する。キルケの送る順風に帆を膨らませ、やがて船はセイレンの島へと差しかかる。

 セイレンというのは頭は人間の女だが身体は鳥という怪物、もう少し美しく表現すれば、翼を持つ人魚。魔性の歌声を持ち、船が近づくと岩礁に座って歌い、船人たちを魅了して、船を難破させ、あるいは船乗りたちを上陸させて、その生肉を食らう。島には死んだ船人たちの白骨が、ゴロゴロと山をなしたという。

 オデュッセウスは、蜜蝋をこねたものを部下たちの耳に詰めさせる。で、自分だけは、セイレンの歌を聞いてみたかったので、船の帆柱に縛りつけてもらう。
 ……やっぱりオデュッセウスは知将だけあって、いつだって好奇心旺盛なんだよね。

 折りしも風は落ち、蝋の耳栓をした部下たちが櫂を手に、凪いだ海を一斉に漕ぎ出す。船に気づいたセイレンたちは、この世ならぬ蠱惑的な声で歌い始める。

 To be continued...

 画像は、グライナー「オデュッセウスとセイレン」。
  オットー・グライナー(Otto Greiner, 1869-1916, German)

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