Kent Shiraishi Photo Blog

北海道美瑛町の大自然や身近な写真を、
海外へ配信するArtistの呟き。

Kent Shiraishi の「写真論」vol.2

2012年08月23日 | 500px
Kent Shiraishi の「写真論」vol.2

将来プロフェッショナルを目指す方へ!
僕の率直な意見を書かせて頂きます・・・。


実は前回の続きを書くつもりだったんですが・・・

ここ数日夏休みのせいでしょうか?
中学生や高校生、そして大学生からも質問・ご意見を頂きました。

●将来フォトグラファーを目指している女子高生です。
…美瑛町の隣町で開催される『写真甲子園』にも参加しました。
…Shiraishiさんの写真を見て感動し、ブログを読み、考え方にもっと感動しました。
自分は今迷っています。大学の写真学科に進むべきか、専門学校に行こうか…それとも…。
今後の写真の学び方も含めて何かアドバイスを頂ければ嬉しいです。
お時間のあるときで結構ですのでどうかよろしくお願いします・・・。


●突然申し訳ございません。

僕は大阪府在住の高校生です。
将来、フォトグラファーを志しています。

Appleで採用された白石さんのお写真を拝見して、
写真でこんなに美しい風景が伝わるのかと、感動した為、
メッセージを送信させて頂いた次第です。

フォトグラファーを志しているので、
早いうちに、カメラを購入しようと思っています。

しかし、当然、高校生なので、高級なカメラには手が届きません。
ゆえに、10万円以下のカメラを購入しようと思っているのですが、
おすすめのカメラはございませんか。

また、地元には、白石さんの在住されている場所のように
美しい風景が見つけられていないので何を撮影したら良いでしょうか。

その他のアドバイス等御座いましたら、お願い申し上げます。

何分未熟者ですので、言葉遣いの間違いなど御座いましたら、申し訳ございません。
また、質問が唐突になってしまったことをお詫び申し上げます。
御返信お待ちしております。


●私は都内の写真学科に通う女子大生ですが、
白石さんのブログを読んで衝撃を受けました。

・・・等、私が疑問を感じていた事が同じで、
それを質問した時の講師や教授の答えも、
白石さんが書かれていたとおりだったからです。

私には大学を辞めてまで何かする勇気はありませんが、
ただこのまま通っていてはダメだと感じました。

こんなこと書くのは恥ずかしいですが、
出来る事なら私も白石さんのように、
いつか世界の企業相手に写真の仕事がしたいです。

自分は不器用ですが根性と体力だけは自信があります。
学生時代にしておくべき事など何かご助言頂ければ幸いです。

お忙しい時期にとても失礼だと思いますが、
いつかお時間が取れました時にご返信頂ければ嬉しいです。
どうか宜しくお願い致します。

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まだまだ他にも30通以上来ています。

正直に言いまして驚きました。

若い方でこんなに真剣に人生の事、
そして写真の事を考えている方からメールが来るという事実に・・・。

と同時に僕は責任の重さというか、
少々重圧を感じています。

そもそも僕は、皆さんの様な若者に偉そうに何かを伝えるとか、
アドバイス出来るような人間ではありません。

ただ趣味で写真撮っているような人達には何でも書けます・・・笑
それは文字通り「趣味」ですから・・・。

生活かかってないわけですし、極端な話、言葉は悪いですが、
適当に書いても大きな影響はありません。

・・・しかし、こうも真剣に訊いてこられると・・・
これはこちらも真剣に答えなければいけません。

もちろん分からない事は正直に「分かりません!」と答えますが・・・。

それにしても困りましたね・・・笑

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いずれにしましても時間が取れ次第、
個々にご返信は致します。

ただ今回はここで、プロを目指すような学生の皆さんに役立つと思える事、
僕なりに考えた事、少しだけ書いてみたいと思います。

よって前回の続きではないので、
一般の方には面白くない話かもしれませんがお許し下さい。

コーヒータイム、一回休憩と思って下さい・・・笑

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さて、僕にメールを書きプロを目指すような学生の皆さん達なら、
既にある程度僕の事をご存じなんでしょうきっと・・・。

僕は生れは北海道ですが、美瑛に来る前は東京にしばらく住んでいました。
そして美瑛町に来てから10年以上経ちました。

色々な方との出会いが楽しく、小さな料理宿を経営しながら、
お客様の写真ツアーガイドや写真術指導もしながら、
世界に出る準備をしてきました。

宿業という仕事があったおかげで、
写真作家として、創作に打ち込めました。

もし写真家だけで食べようと思えば、
撮りたくない被写体まで撮らねばならず、
貴重な自分の時間を無駄にします。

自分は器用じゃないのでそういう事は出来ません。

ひたすら撮りたいものを撮りたいだけ撮り、
学びたい事を学びたいだけ学びました。

ただし光速インターネットが来たのが昨年6月で、
なんと10年間も世界に出る準備にかかりましたが・・・。

しかしその間、ほんとに素晴らしい方達と出会いました。

写真の分野では、各カメラ・メーカーの技術者やその周辺の方達と出会い、
普通の写真家では知りえない知識を得ました。

また写真以外の分野でも自分の見識を広めて下さった多くの人達と知り合いました。

ほんとにそういう出会いが僕の現在を形成しています。

カメラに触っているだけが写真家ではありません。

特にデジタル時代の今、創世記にあっては、
いかに正しい知識・情報を取り入れるか!

この事が大切ですが、
これは他人の力、存在なくしては無理です。

また昨年、「National Geographic Photo Contest 2011」、
世界で最も権威と人気のある写真コンテストですが・・・。

これに挑戦したのも、ある一人の世界的に著名な写真家の一言がきっかけです。

「Kent、君はこのコンテストに挑戦すべきだ。
・・・もし入賞したならば、君の人生は大きく変わる!」

・・・そしてご存知のように僕は日本人で初めて入賞し、
言われたように、人生は大きく変わりました。

入賞後わずか数カ月で、世界の数億人が僕の作品を鑑賞したのです。
そして世界の企業も僕の存在を知り注目してくれました。
もちろんアップル社もその中の一社です。

もし彼の進言がなければ、いまだにまだ、
世界のいずれかの写真サイトに投稿していただけでしょう・・・。

人生において人との出会いほどスリリングなことはありません。

またプロになるなら、人とのコミュニケーション能力がとても大切で、
その能力の有る無しで、貴方の収入も変わってきます。

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ところで、僕からも質問があるのですが、

皆さんはなぜプロフェッショナルを目指すのですか?

僕が思うに、この質問にきちんと答えられるようでなければいけないと思います。

それは単にあこがれや名前の響きで、プロフェッショナルを目指しても、
まず間違いなく途中で挫折するからです。

別に多くの方がそうであるように、
アマチュア「写真家」で十分じゃないですか?

宿に来るお客さんがそうであるように、
毎日の仕事に疲れて、休日を取り北海道に来る。
趣味の写真を撮る事で気持ちもリフレッシュされる。

中には「写真展」を開いたり、
「写真集」まで出された方もいます。

今は出版業界も厳しいので、
ちょっとお金を払うとずいぶん立派な写真集も作れます。

もちろん「個展」も同じです。
お金さえ出せば誰でも出来ます。

ようはプロにならなくても可能な事です。

また趣味なら撮りたくない被写体は撮る必要ないですし、
上手に撮れたら他人様に褒められて気持ちも良いでしょう・・・。

その点プロフェッショナルは大変です。
今はフィルム時代と違い、極端な話一億総写真家時代。

携帯も含めれば誰でも皆写真家です。

巷に写真は氾濫し、他人様の写真などそうそう簡単には買いません。

絵葉書やカレンダーが売れた時代も昔の話。

雑誌の取材も、かつては編集者とカメラマンは別でしたが、
最近は予算が削られ、編集者がカメラマンを兼ねるのも珍しくありません。

好きな写真を撮りながら・・・何とか食べていければ・・・
そんなレベルの発想ではまず間違いなく途中で挫折します。

こんな厳しい時代に、それでも職業写真家を目指すのであれば、
その理由は何か?

今一度自分に問いかけてみてはいかがでしょうか・・・。

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逆に僕自身に同じ質問をするなら?

中学生の時、写真部の部長を任され、
新聞社の報道写真コンテストで大人に交じり入賞しました。

それ以来いつかは「写真家」に・・・そんな夢を持ちましたが・・・。

フィルム時代はカラー写真の色を自分で決めれない事に失望し、
雑誌記者の頃は撮りたくない写真を撮らされ・・・嫌気がさしました。  

その後しばらくの間、写真を撮るのは止めていました・・・。 

・・・しかし
天才写真家、「前田真三」先生との出会いが全てを変えました。

人生には「あの時もし・・・でなければ」という場面が多々ありますが、
前田先生とお会いしていなければ、僕は「写真家」を目指さなかったでしょう。

彼は単に写真家として素晴らしかっただけではなく、
『写真をビジネスにする』才能を持っていました。

そして、
デジタル時代が到来し、色を全て自分の思い通りにコントロール出来る!

この事が自分の方向性を見出すことになり、
「僕の時代が来た!プロフェッショナルになる!」そう決めたのです。

ちなみに前田先生は40半ばでプロになりましたが、
会社に入社するのとは違い、
風景写真家を目指すのに年齢は関係ありません!

自分が「プロフェッショナルになる!」そう決めたら、
その日からスタートです。

また決めたら目標に向かって緻密なプランを練るのが自分の特徴。

冬季宿の閑散期に東京に行き、最新のデジタル機器の学習、
さらには物理学の光の性質、色彩学、カラーマネジメントの研究会に参加。

もちろん「現像術」は常に最新の事を学び、
自分の頭の中をバージョンUpする。

さらに商社マンだった前田先生の優れたビジネス感覚を見習い、
マーケットはしがらみの多い日本を離れ、
実力だけで勝負できる世界にターゲットを絞る。

世界の写真界の動向を徹底的に調べ、
一流企業の仕事をしている著名な写真家達にLoveメールを出し、
自分が今後何を学ぶべきかを聞き出す。

また新しく出来たネットワークにも億劫がらずにどんどん参加する。
Facebookは当然で、TumblrやPinterestにも参加。

とにかくネットの繋がる全世界の国がマーケットと考える!

今年一月からマネジメント担当の親友とともに、
「世界の企業に自分達の作品を使わせる!」

この事を目標、スローガンに世界での活動を本格的に開始しました。

・・・しかし人生はいつもそう甘くはありません。
以前書いたように相棒が急逝し一時期は全て白紙に・・・。

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★アマチュアとプロフェッショナルの違いについて

ところで皆さんが僕の事を知ったのは、
アップル社に作品が採用された事がきっかけでしょう・・・。

たしかにこの事は今自分自身で考えても、
ほんとに素晴らしい事だと思います。
それは間違いありません。

・・・しかしここにもう一つ大切な事実があります。

その事をなぜ皆さんが知ったのか?

アップル社という会社は、
「ガレージ・ファクトリー」と呼ばれています。

要するに、一切表に出さず見えない中で作業が行われる。

今までプロはもちろん、アマチュア写真家の作品であっても、
クオリティが高く、アップル社にとって必要であれば採用されてきたはずです。

しかし今回僕以外の他の壁紙、Desktop-Pictureのことですが、
誰の作品でどこの風景か?
一切表には出ていません!

この事はアップル社を知る方であれば「既存の事実」になっています。

よって以前僕の事を記事にして頂いた「毎日新聞社」でさえ、
社内で「自分の作品だと言っている彼の話は真実か?」
そういう疑問の声が出たそうです・・・笑

そう疑われるのは当然です。

契約書に普通はそう書かれていますから。
『公にしてはいけないと・・・。』

いきさつはそれこそ契約上ここには書けませんが、
「Shiraishiさんは特別です・・・」と許可されました。

★アップル社の歴史上初めての事だそうです。

もちろん黙っていてそうなったわけではありません!!!

アマチュアなら舞い上がって世界一の企業に言われるままに・・・
相手が決めた契約になったでしょう。

でも自分はプロフェッショナルですから、
僕の作品を使いたいなら、僕にもルールがあります。

話し合いの末、お互い合意に至りました。

自分の中で「俺はプロだ!」
そう強く意識した瞬間でもあります。

僕が一番書きたい事はまさにそれです。

アマチュアとプロフェッショナルの一番大きな違いはその「意識」の差です。

そして今回の僕のように、相手と交渉出来る、コミュニケーション能力。
これは撮影技術以上に必要です。

アマチュアでも写真が上手な方はたくさんいます。
また一年に一枚や二枚、プロも脱帽する大ホームランのような作品も撮れるでしょう・・・。

しかしだからといってプロになれるか?
これは全くの別問題です。そう甘くはないのです。

皆さんが将来プロとして写真家になりたいのなら、
この事はぜひ覚えておいて下さい。

大企業が一個人のために、自社のルールを変えるなど、
通常は考えられません!

しかも相手は米国一の大企業、
こちらは田舎に住む一匹オオカミの写真家。

それ故、アップル社に採用された事と同等か、それ以上に、

『自分のために、世界一の企業・アップル社のルールを変えさせた!』

その事が嬉しいですし、僕のプロフェッショナルとしての誇りです!!

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さて、少しは皆さんの何かお役に立てましたでしょうか?

わずかでも参考になればとても嬉しいです。

きっと皆さんの時代は、
日本人が普通に世界企業の仕事をバンバンしていることでしょう・・・。

僕の今している努力が、そんな皆さんの将来に役立つのなら尚嬉しいですし、
これからも色々な情報や感じた事を書いていきますので参考にして下さい。

そしてどうか夢を大きく持たれて、努力を怠らず精進して下さい。

皆さんから頂いたご質問には、
順次時間のあいたときにご返答させて頂きます。

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1 コメント

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やはり (B4)
2012-08-23 18:39:52
>物理学の光の性質、色彩学、カラーマネジメントの研究会

やはり、こういった勉強は不可欠ですね。
感覚ではなく、カラーチャート上の色を認識し見分け表現できなければなりません。
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