Kent Shiraishi Photo Blog

北海道美瑛町の大自然や身近な写真を、
海外へ配信するArtistの呟き。

写真家がすべきカラーマネジメントVol.3

2011年05月09日 | カラーマネジメント=CMS
写真家がすべきカラーマネジメントVol.3

さて、前回までで基本的な数値、
1、ガンマ
2、輝度
3、白色点
についてとモニターについて少々書きました。

今回はそのモニターで撮影データを見るさい、
どうしても必要なカラーマネジメントツールについて書きます。

今までアマチュアであれ、プロであれ、
写真家と呼ばれるような方達にとって、
撮影後に一番大切な事は、
「撮影データを出来るだけ正しい情報で見る事!」
そう書いてきました。

アマチュアでも「写真家」を自負する皆さんと話していて、
最近感じるのは、「撮影データの情報を正しく見ているのだろうか?」
そういう疑問が湧いています。

撮影時には、露出にこだわり、
撮影後には色について気にする方でも、
実際の撮影データの色・露出・コントラスト等を知らなければ、
無意味なはずです。

目に見えないものは恐怖です。

この問題をきちんと解決できない方は、
たとえアマチュアと言えど、
「写真好き」であっても「写真家」とは言えない、
そう私は考えています。

さてその画像データを正しく鑑賞するためには、
もちろん精度の高いモニターを使う事が大切ですが、
たとえそういうモニターを買っても、色合わせのツールがなければ不合格です。

残念ながら私が使っているような、価格20万円以上のモニターであっても、
毎週一回は定期的にツールで色合わせ、ようはカラーマネジメントを行います。

それほど微妙であり、色だけでなく、コントラストや諧調がずれてきます。
ですからアマチュアであっても、写真家ならツールは必要です。
しかも写真を撮り続ける以上これからずっと使い続けます。

そのツールですが、用途で大きく分けて2種類あります。

1、モニターの色合わせだけに使う。
2、インクジェットプリンターとモニターの色合わせにも使う。

当然1の用途だけに使用する方が、価格も安く買えます。
最初にモニターの色合わせだけのツールを買い、
後で将来2の用途で使う測定器を買い足すことも出来ます。

このツールも価格差は激しく、
私が使用している物ですと20万円以上します。

しかしアマチュアの皆さんはそんなものは必要ありません。

つぎに今現在(2011年5月9日)発売中の物でお勧めを書いておきます。
順番は逆になりますが、上で書いた1と2の両方が出来るツールをまず紹介します。

★Spyder3 Studio SR
スパイダー3 スタジオSR

ネットで検索しますと\62,980(税込)で買えます。

探せばもっと安い価格で買えるかもしれません。
観て頂ければ分かりますように、アルミの素晴らしいケースに入っています。
これだけでもプロの道具という感じがしますでしょ!

私は上でも書きましたが、もっと高価な最高級のツールを使っていますが、
正直に言いまして、
20万円以下のモニターを使用するのであればこのツールで十分です。

メーカーの提灯持ちのプロは、
高いツールの必要性や機能を色々書いて売りつけます。
もちろんそれが仕事なんで、しょうがないのですが・・・。

しかし大切な事は、毎週1回モニターの調整をすることです。
どんな高級機を買っても、1年に一度ではダメです。
プロは毎週きちんと調整しています。

たとえアマチュアであっても、「写真家」であるなら、
最低月に1回、もしくはモニター使用時間を決めて定期的に調整する必要があります。

ツールとしては上でご紹介した物で十分です。

次に残念ながら現在予算がそこまでないという方は、
モニターの色合わせだけに使うツールを買いましょう。

★Spyder3 Elite
スパイダー3 エリート

ネットで検索しますと\27,800で買えます。
もっと安い価格も調べればあるかもです・・・。

このツールを買っておけば、あとでプリント用のツール★Spyder3 PRINT SR、
これを4万円位で買い足せます。

ようは後で上のSpyder3 Studio SRのセットと同じく出来ます。
ただしかっこいいアルミケースはついていませんが・・・(#^.^#)

他のメーカーでもツールは出していますし、
このSpyderシリーズでももっと安価なツールもあるんですが、
結局この先ずっと写真を撮り続ける方にはお勧めできません。

安物買いの銭失いになります。

特にこの後書きますが、
実はモニターを見る環境がとても大切です。

当たり前の話ですが、
真っ暗な中で見るのと、電球の下、蛍光灯の下、
全てで色の見え方、露出、コントラスト等が違って見えます。

ようは環境光がとても大切なんです。
上で紹介したツールは、その環境光も測定できます。

よって現在プロはもちろんですが、
アマチュアに自信を持ってお勧めできるのは上記ツールです。

それでは環境光については次回に・・・。

追伸:

先ほど質問がきました。

「私はカラーマネジメントツールとして、Spyder3 Studio SRとColorMunki Photo、
このどちらを買うかで迷っています。ご意見お聞かせ下さい・・・。」

実は「ColorMunki Photo カラーモンキーフォト」は、
価格が一番安くてプリントとの色合わせまで出来るある意味優れ物です。
現在ネット価格で4万数千円で買えます。

おまけに測定器はスペクトル方式(分光光度計)で、
一般的にはSpyder3 Studio SR等で使用される、
フィルター方式より精度が高いと言われる高級機です。

しかも2万円ほど安く、普通なら一番にお勧めするところですが・・・。

ではなぜ安いのか・・・???
そこが問題です・・・。

ちなみに私が使っているのは、
ColorMunki Photoと同じ会社の高級機でi1Photoと言いまして25万円もします。
もし同じ性能の物ならそんなに安くなるはずがありません。

そこには2点問題があります。
まず1点目は測定器はたしかにフィルター方式より精度が高いと言われている、
スペクトル方式(分光光度計)ですが、
肝心な測定出来る色の数が100パッチと非常に少ないのです。
結局そこで色合わせに必要な精度が落ちます。

2点目は、当然メーカーもそこは心得ており、その欠点を補うために、
写真家が自ら測定精度を高めることが出来るように工夫されています。
ようは自分で追加の測定をするのです。

・・・しかしこれがアマチュアにはそうそう簡単ではありません。
ネットでプロが解説しているのを見ると、いとも簡単に行っています。
しかし実際は面倒でなかなか大変な作業なんです。

普通のアマチュア写真家で、どこまでの方がそれをするか???
安いという事は逆に言えば、機械の代わりに自分でする作業が増えるという事です。
しかも操作を間違うと結果は最悪です。全てがパーになります。

その作業を喜んでされる方は買われたら良いです。

私は御免です。測定器買ってまでそんな面倒な事したくありません。
ちなみに私の知人のプロも、誰も買いませんでした。
くどいようですが、メーカーの提灯持ちのプロの話を鵜呑みにしないことです。

貴方がこれから買われる測定器は、
この先ずっと使い続ける機械であることをお忘れなく。

以前から書いていますように、
アマチュアでもプロでも一流の写真家とは、
自分の頭でしっかり考える者のことです。

騙されてはいけません!
しっかり物事の本質を見抜いて下さい!!

もっとも今それを使用されている方で、満足されている方はもちろんOKです。
お気に障ったらお許しを・・・。

「幸福は満足にあり・・・」ですね!(#^.^#)


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2 コメント

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モニターの明るさについて (kankyo)
2013-05-30 01:11:41
いつも興味深い記事をどうもありがとうございます。モニターの明るさについて気になっていることが一つあります。私はパソコンのモニターを120cdに調整しておりますが、どのWEBサイトを見ても写真が暗いような気がしております。一方、購入時のまま調整していないモニターで同じWEBサイトの写真を見ると丁度よい明るさに見えます。このモニターの明るさは恐らく300~400cdです。明るさが適正なのは120cdの方だと思いますが、WEBサイトを運営する側も閲覧する側も、購入時のままの明るさで使用しているケースが大半かと思います。そうなりますと、どのWEBサイトも、120cdではなく300~400cdのモニターの方が適正な明るさで表示されることになります。私はモニターを120cdではなく、購入時の明るさに戻すべきなのでしょうか。そして、白石様のブログの写真も、やはり300~400cdのモニターで閲覧するべきなのでしょうか。正直なところ、120cdでは暗いような気もしますし、かといって300~400cdでは明るすぎるような気もいたします。白石様の写真の色味、明るさが、本当はどのようなものであるか。そのことばかりが気になり、白石様ばかりだけではなく、WEB上の写真を普通に見ることができなくなってしまいました。白石様の写真は何cdのモニターで見ると正しく見える、どなたかこれだけでもはっきりと宣言して頂けるとすっきりするのですが・・駄文申し訳ございませんでした。これからもご活躍を期待いたしております。
輝度は一番難しい! (Kent Shiraishi)
2013-06-12 00:58:47
コメントありがとうございました。
早速ですが「輝度」の問題は
モニターにとって一番難しい問題です。

まず多くの安価なモニターは
輝度の数値そのものが正しくありません。これは計測すれば分かります。

また調整してもすぐに狂ってしまうモニターも多いです。
よってきちんとデータの色を見ようと思えば、
それなりのモニターが必要になります。
ただしこれは大切なことですが、
300cd以上で見るモニターなど僕には考えられません。

それらはよほど粗悪なモニター???
そのレベルに合わせていては
いつまでたっても自分で正しい色は見れないはずです。
またなぜ周りを気にするのでしょうか???

そもそも一般的な人達を相手に考える
必要などないはずです。

もしそうなら僕の作品は
世界中でまともなモニターで見ている
審美眼のある者達に、
到底選ばれることはないはずです。

世界の一流写真家は
微妙な光と色を自在にコントロールしています。
自分のモニターの「輝度」も調整出来ないようであれば、
そのレベルに到達するのは全く無理です。
まして他人のお粗末なモニターに合わせるなど言語道断です。

ずいぶん厳しく失礼なことを書きました。
お気に障りましたらお許しください。

ただ多くの方がこのブログを読んでいますので適当な事は書きたくありません。
まずは他人のモニターなど気にせずに、
自分はあるレベルのモニターを用意する。
(輝度が正しく調整出来て一定のレベルを保てるモニターが必要です。)

そしてきちんとカラーマネジメント・ツールを購入し、
正しく使う。
そうすれば100cd~140cd位では、
大きな差がなく使えるはずです。

しかし300cd以上はありえません!
それでまともに見えるなら
根本的に何かがおかしいですね・・・。