夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

かぐや姫の物語(その1)

2014-01-20 23:03:13 | 映画
高畑勲監督とスタジオジブリが『竹取物語』を長編アニメ化、ということで、昨年夏に映画館で予告編を見て以来、上映を楽しみにしていたが…。
物語のありえない解釈の連続で、正直、残念な出来の作品だった。

内容の紹介

冒頭、竹取の翁(おきな)が竹林で最初にかぐや姫を見つけるシーン。
根元が光る竹が一本あり、翁があやしがって近寄って見ると、…。
なんと、地中からものすごい勢いで筍が伸びてきて、翁の目の前で開き、中から小さな女の子が現れたではないか。
しかも、美しい着物を着て、髪まで結っている。
「なんと美しい姫君じゃ。これはきっと、天が私に授けてくださったものにちがいないぞ。」
翁は大切に手のひらに入れて家に帰る。


この女の子は、嫗(おうな)が手に抱いているうちに、たちまち普通の赤子の大きさに成長してしまう。
嫗が赤子のためにもらい乳に行く途中、嫗はにわかに胸に張りを覚え、老女なのに乳が出て、赤子に飲ませてやる。
この子は、笑うたび大きく、重くなり、はいはいしていたと思ったら、もう立って歩き始める。
…という感じで、いくら原文に三月ばかりで一人前の大きさの人になったと書いてあるとはいえ、ありえなさすぎだろう、と思ってしまった。


女の子は、その成長の異常な速さから、初めは気味悪がられながらも、山里の子どもたちと一緒に遊ぶようになり、特にガキ大将的な存在の捨丸(すてまる)を兄ちゃんと呼び、慕うようになる。
一方、翁は、この子と竹を取りに行くと、節と節との間に黄金や美しい織物の入った竹を見つけることが重なる。
翁は、これはこの子に姫君としてふさわしい暮らしをさせよ、という意味だと受けとめ、都に出て家を建て、高貴な姫君として育てる決意をする。
ある日、翁と嫗は急にこの子に、山里の人たちには何も言わず、都へ出て行くという。慣れ親しんでいた捨丸たちに別れを告げることもできないまま、この子は山里を去ることになる。

 
翁は都に豪邸を建てており、女の子には相模(さがみ)という宮中の女房を養育係につけ、「高貴の姫君」となるべく行儀作法や手習い(習字)、琴などの稽古をさせる。
また、齋部秋田(いんべのあきた)を招いて、この子を「かぐや姫」と名づけてもらい、髪上げの儀式(女子の成人式)を行うのを機に、盛大な宴を催し、この子を高貴な姫君として世間にお披露目しようと考える。