マイ・バラ・ブーム(mon boom de la rose)が続いております。
そういえば、そんな遠くない昔(C'est pas vrai!)、
仏文学史の授業で「薔薇物語(Le Roman de la Rose)」とかいう物語があったなあと
懐かしき教科書を引っ張り出して紐解いてみました。
中世文学のページに「薔薇の詩人」のサブタイトルで記載がありました。
曰く、風刺や寓意の教化性と文学の魅力を若干25歳で見事に両立させたギョーム・ド・ロリスによる
青春の夢物語だそうです。「悦楽」の園に入り、薔薇の蕾に恋した作者が、「愛」の臣下となり、
正しく愛する作法を教えられるというストーリーですが、様々な知識と教養を盛り込んだ百科全書的な恋愛作法書として
大流行したとのことです。中世文学は授業以外スルーしてきたですが、今を盛りと咲き誇るバラに魅入られたのでしょうか、
遠方図書館より取り寄せまでしてしまいました。
で、感想はというと、個人的には「面白い」です。
翻訳者(柴田勝英氏)の能力の高さによる読み易さもあるのですが、
最大の理由は人間を魅了して止まない薔薇の魅力の普遍性と寓意化された人間の心理描写に共感したことです。
「悦楽」の園を彷徨いながら薔薇の蕾に恋をして熱情の果てにくちづける作者の姿と、
遙かな時を超えた現代のとある植物園で、薔薇に魅入られてその花びらに人目を忍んで顔を近づけている自分の姿が
自然に重なりました。
ひょっとしたら、バラ園から去り難く立ち尽くしていた私の背中にも、主人公と同じく「愛の神」の矢が放たれたのかも。。。
私の「薔薇物語」はまだ書きあがりそうにありません。
「アフロディーテ(Aphrodite)」と名付けられた薔薇です。
理由はいわずもがなですね。