マックで

先生は、地下街のマックのカウンターで、一人で座っていました。
黒のTシャツと黒のハーフパンツでした。
私は、白い帽子を先生にかぶせて差し上げました。

マックのカウンターで、先生にたくさんのことを教えていただきました。
イエス様の再臨のこと、神様のこと、先生の名前のこと、『万葉集』のこと、先生の生き甲斐のこと、カレー屋さんのこと、‥‥‥

もっともっと教えていただきたいことが、いっぱいありましたが、短い時間だったのが残念でした。
先生と並んで、駅の雑踏を歩いて、先生が、『名古屋の人は顔が大きいですね』と言われても、よく分かりませんでした。先生と私は同じ風景を見ても、感じることが大違いです。私は、ただうれしくて、はしゃいでいました。

先生のそばにいて感じたことは、「先生は優しさに満ちているなー　」と改めて思いました。とげとげしたところの全くない、穏やかな、優しい先生です。先生のどこにあれほどの激しい熱情があるのか不思議です。

私は、ボクシングのような、格闘家の人たちを思い浮かべました。
少し強い人は、もっと強く見せようと、頭にそり込みをいれたり、虎や竜の柄のガウンを着たり、凄みのある顔にしたり、脅すような言葉を言ったり、でも、世界チャンピオンになるような、本当に強い人は、やさしい顔をしているように思いました。

先生の優しい顔は、まさしく世界チャンピオン級です。

駅でお別れして、先生の後ろ姿を見送りながら、思いました。
「なにものにもとらわれない信念の人が、地下鉄に乗っていってしまうのですねー。また、お会いする日まで‥‥」

本当に、楽しかったです。