-京都(14) 八坂神社近くの日本旅館 京都会議
中田が、
「日本として捉えられると困る。沖縄を含めると今までの議論が無になる。沖縄に原点を置きながらアジアへの展開はこれから始まる新しい動きで今までにそんなに例はない。」
麻由美が
「実家の話で恐縮ですがアジアへの展開は沖縄からというのが、日本の新しい姿だと自負してやっています。業種によっては情報発信の源が東京である必要もありますが、江藤カンパニーの場合はそれが既に十分確立されているので問題はないと思います。」
倉本が
「日本に内在している伝統を育んできたパワーを沖縄の伝統工芸センター事業で引き出せるかがキーになると思います。日本に先人が蓄積してきたパワーを使いきれていないことが日本の力不足の一つになっています。また、孫子や西郷さんの指摘する官僚の問題点などが上げられます。この問題点がいくら大きくなっても日本からの完全撤退はまだ時期早尚ではないでしょうか?」
竹内が
「海外から日本を見るのと、日本にいて日本を論じるときの差があると思います。ただ、社会貢献の優先順位は日本かアジアかという選択はするべきでないと思います。そうではなく、日本もアジアもという選択を考えるべきでしょう。」
文佐衛門が星を見ながら
「海外からの日本への論調の裏にあるものを考えたとき、果たしてそれにハイそうですねと乗ってしまっていいのかと思う。それに日本で公表されている情報も以前より作為を感じる。となれば、我々はどこで働きたいかという単純なことでいいのではないか。どの情報もあてにはならない。そんなものに乗るくらいなら直感で選んだほうがいい。」
那美も文佐衛門と星を見ながら
「私は難しいことが分かりませんが霊感で言えば皆さんは今日本にとって必要なんです。先ほどから話されているようなことが空想ではなく実現可能なんです。ではそれを淡々とやればいいと思います。皆さんたくさん知りすぎているのです。わたしは日本で働きたいという気持ちに素直に従います。」
江藤は、
「当事者ではありますが従来の経営の考えで行くとそろそろ日本は現状維持路線にしてアジアシフトのためにシンガポールへ移る準備というのが順当でしょう。それは法人会社の理屈としては全うです。しかし江藤の人生会社がそれは違うだろうと言っています。これはかつて起業する直前に心に響いた違うだろうという声と同じです。」
理恵が江藤を見ながら
「日本の外での生活が長かった立場で言えばそろそろ頃合だと理解できます。そうあるべきでしょう。私も社長でなければシンガポール移転を会長に進言しています。しかし、社長として世間の風を受けていると外にいるときとは違うもの時々感じるのです。具体的には分かりません。しかし今まで短い間で積み上げてきたこととあわせて見てみると奇兵隊を作るつもりが成功してしまって江藤藩の砦になりつつあると言う事実が浮かんできます。もしかすると、最後の砦のような。だから沖縄とダブル本社みたいなことにはなっても、実質的な撤退を始める積極的な理由は見えません。」
会場が一時沈んだ。
2013年6月26日