果てのある路

ささやかな想いをエッセイで…

第61回 又吉直樹・実験の夜

2017-07-20 09:50:35 | つぶやき
3日前、わざわざ新幹線に乗って、渋谷まで、
「又吉直樹・実験の夜」を観に行ってきた。

吉本∞ホールはもちろん、お笑い自体見に行くのが初めてなので、
おっかなびっくりで会場入りした。
誰かゲストに面白い後輩芸人は出るかな、とかすかに期待して、胸躍らせていた。

だがゲストは、有名らしいが私は知らないミュージシャン(尾崎世界観)と、
舞台袖で下手な記事朗読をした若手芸人一人だけだった。


  又吉のさりげない登場で幕が開き、
  時折、場内を爆笑の渦で包み込みながら、
  「実験の夜」は、淡々と進行していった。


又吉の大喜利は、流石の面白さで、迸る才能に感嘆した。

ひとりコントも、情趣があって味わい深く、芥川賞作家の実力が滲み出るものだった。

そして、始めから終わりまで、何度か綾部の名前を挙げ、
綾部との共通のエピソードも披露し、
まるで、ピースの2人が舞台に立っていると錯覚するほど、
綾部の存在を感じさせる演出も、
又吉の人柄を偲ばせた。

最後に、尾崎世界観が又吉に捧げた自作歌、
「あなたに触れないように、離れないように、舞台を作り続ける(大意)」
という歌詞が、又吉の繊細さを表わしているようで、印象的だった。



”嘘と真実(ほんとう)”をテーマにした「実験の夜」だった。

自分に正直に、かつ他人も傷付けないように生きている、
世界中の心優しい人たちへ。
又吉直樹は、味方だよ。

 ―― そう、思った。
コメント
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