偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏636富幕山(静岡)創建記念碑

2016年01月25日 | 登山

富幕山(とんまくやま) 創建記念碑(そうけんきねんひ)

【データ】 富幕山 563メートル▼最寄駅 天竜浜名湖鉄道天竜線・気賀駅▼登山口 静岡県浜松市北区の奥山高原▼石仏 富幕山南西中腹、地図の赤丸印▼地図は国土地理ホームページより


【案内】 三ケ日のミカン畑が広がる丘陵に建つ大福寺は真言宗の寺。この寺、かつては富幕山の中腹にあった幡教寺だったという。その寺跡は富幕山南西登山道の林のなかの水溜りがある場所。立ち木が邪魔をして寺跡には見えないが、入り口に立つ浜松市の案内には「幡教寺(真言宗)は、貞観17年(875)に教待和尚によってこの地に建てられ、承元元年(1207)明性阿闍梨によって、大福寺(浜松市三ケ日町長福)に移されました」とある。寺跡であることを叫ぶように宝篋印塔や五輪塔が立つが、いずれも小型のもので原型をとどめるものは一つもない。銘が残るものもない。それを見守るように、文政九年(1812)銘の大きな自然石に刻まれた幡教寺創建の記念碑がある。



 「此山我瑠璃山幡教寺之𦾔跡……」で始まるこの碑は、ここに寺があって墓碑や池があったことを石に刻んで後世に残す、と謡っている。末尾には「文政九年歳次丙戌春三月瑠璃山大福寺現住法印快雅識」とある。それから200年、まさに快雅が危惧したとおりになりつつある寺跡。案内板があるだけ〝良し〟とするしかないか。



【独り言】 富幕山のふもとには大きな寺が二つあります。一つは西山麓のここに案内した幡教寺が移った大福寺で、『広辞苑』にも載っている〝浜納豆〟で知られたこの寺。参道には四国八十八ヶ所霊場の各寺の本尊と弘法大師の石仏が並んで迎えてくれました。



 一つは東山麓の方広寺で、こちらは〝半僧坊〟を祀り精進料理で知られた寺です。参道には五百羅漢が並びます。昼食は方広寺の精進料理・精進鰻重にしました。豆腐や山芋などをすりおろしてウナギの白身に、海苔を皮に見立てて蒸したもの? これに寺秘伝のたれをかけた鰻重もどきです。浜松まできて鰻もどきを食べるのも悲しいことで、山ばかり登っていては美味しいものには出会えませんが、これは珍味でした。


 それから参道に並ぶ五百羅漢。造立の始めは江戸時代の明和のころ(1764~1772)。新しい羅漢もたくさん並んでいて、それは平成の五百羅漢として一体20万で奉納受付中でした。大きさは50センチぐらい。些末な話ですが、手元にある昭和50年の埼玉県小鹿野町の秩父札所31番観音院手前にある水子地蔵の資料では、85センチが13万円、65センチ10万、55センチ7万でした。ちなみに、方広寺境内に建つ三重の塔は、尾道生まれで大阪の実業家が大正時代に寄進したものだそうです。


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