偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏番外 山の石造物・摩利支天

2017年04月03日 | 登山

ブログ「偏平足」から、摩利支天の石造物を取り上げた山をまとめてみた。写真は木曽御嶽山の摩利支天。


 摩利支天は陽炎(かげろう)を神格化した仏、この仏を念じると姿を隠して難から逃れられるということから、武士の守護神となった。また、日蓮宗や臨済宗の守護神となり、これらの寺には境内に摩利支天堂を祀るところもある。山に摩利支天を祀る例は木曽の御嶽山はじめ中部から関東に若干みられる。御嶽山に摩利支天を祀ったのは戦国期の木曽氏らしいが、詳細は不明。ただ、木曾や伊那は臨済宗の古刹が多い土地柄で、京都・禅居庵に摩利支天堂を建立したのは伊那の領主小笠原氏だった。御嶽登山口黒沢の大泉寺も臨済宗である。木曽氏が祀った御嶽の摩利支天が各地に広まるのは江戸時代の末期、御嶽山麓住民に限られた御嶽信仰が覚明・普寛などの行者により開かれ、関東や中部一円に広がって各地に御嶽講が組織されてからである。
 関東甲信越の里山に祀られた石造摩利支天は、木曽御嶽信仰とともに勧請されたものがほとんどである。また、木曽御嶽信仰に影響を受けた行者が江戸末期に開山した山、例えば乗鞍岳、木曾駒ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、八ヶ岳などには摩利支天名の岩場があるのは、御嶽山に倣って摩利支天を祀ったためである。他に関東では武道関係の造立が若干見られる。
 摩利支天は三面六臂で猪の乗る像容で、弓・矢・宝剣・天扇(軍配)・金剛杵などを持つ姿。山に見る石像摩利支天のほとんどがこの姿である。経典には天女形も解かれているが、山では八ヶ岳の阿弥陀岳の摩利支天と称されている岩峰で見ただけである。
 御嶽山を勧請した里山には必ず御嶽三座神(御嶽座王権現・八海山大頭羅神王・三笠山刀利天宮)が見られ、稀に不動三十六童子や摩利支天も見出すことができる。
 次はこのブログで案内した摩利支天。

 御嶽山(長野)
 鉢伏山(長野)
 美ヶ原・王ヶ鼻(長野)
 岩井堂山(長野)
 甲斐駒ヶ岳(山梨)
 一古沢(山梨)
 堂平山(埼玉)
 父不見山(埼玉)
 鹿岳(群馬)
 笹の平(群馬)
 坂戸山(新潟)
 金城山(新潟)

コメント
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