モズの眼

動かなくなった「心とからだ」の復活の記録

『生き残り』 古処誠二

2018-08-17 | 読書、芸術

お盆休みは昼寝と読書。

古処誠二さんの『生き残り』を読んだ。

古処さんは、航空自衛隊には在籍していたものの、戦争を体験していない。

調査をもとに戦争を描いている。

地味な作家だな、とずっと思ってきた。けれど忘れられない作家。

近作には、ミステリー要素を取り入れ、支持層が拡大しているようだ。

『生き残り』も同様。

北ビルマ戦線において、傷病に罹患した「兵隊」に降りかかる想像を絶する苦難。

その中で人間の存在にかかる「事件」が起きる。

構成と謎解きは読んでいただきたいのだが、読後感は軽くはない。

読後、久々に開高健の『輝ける闇』が読みたくなった。

『輝ける闇』は、開高健が実際にベトナム戦争に記者として従軍した体験をベースにしていると言われている。

自身の所属した部隊がほぼ全滅し、開高健はかろうじて生き残ったのだ。

両書とも陰惨な戦争を扱っている。

戦場において、人間の根源に触れようとしているのだが、『輝ける闇』の印象は、『生き残り』よりも遥かに明るい。

開高健の、華麗な文体がそのようにさせるのか。

『輝ける闇』は、折に触れて幾度も読み返している。

また読み返そうと書棚を探った。

ところが、いくら探しても見つからない。新たに購入するか。

その途端に見つかるのだろうな、きっと・・・・。

 

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