カーボン・マーケット企画室 三阪和弘
地球温暖化やPM2.5をはじめたとした大気汚染、日々の天気予報とも、いずれもデータが基本です。
“何を今さら?”という感じですが、今回は大気汚染をきっかけに、その裏側を少し紹介したいと思います。
正しい信頼性のある測定データが日々提供されるためには、窒素酸化物(NOX)、浮遊粒子状物質(SPM)、微小粒子状物質(PM2.5)、オキシダント(OX)、二酸化硫黄(SO2)などの大気汚染物質を測定する機器の正常稼働や、測定データを収集、解析、公開するためのテレメータシステムの正常稼働が必要です。
また、定期的にズレを見直す測定機器の校正も必要です。
これまで何回か、大気汚染物質広域監視システム(そらまめ君)を紹介してきましたが、グリーンブルーは、それを裏側で支えている、大気汚染測定機器のメンテナンスや校正、テレメータシステムの開発やメンテナンスを実施しています。
そらまめ君にデータ提供を行っている大気汚染の常時監視は、大気汚染防止法第22条に基づき、現在全国130の地方自治体(都道府県、政令指定都市、中核市、特例市、大防法政令市)により実施されています。また、大気汚染防止法に規定されていなくても、東京都23区の特別区のように自主的に実施している自治体も存在しています。
グリーンブルーは、測定機器のメンテナンスについては、首都圏を中心に、東北や関西の地方自治体をお客様として展開し、テレメータシステムについては、全国の地方自治体をお客様として、サービスを提供しています。
さて、少し話は変わりますが、最近、テレビ番組において、新幹線の正常運行を支えている裏方(システム)が紹介されていました。新幹線の時間の正確さを当たり前のように享受している我々一般利用者にとって、それがあまりにも当然のことのため、テレビ番組において紹介されない限り、改めて意識することはほとんどありません。
新幹線の列車自体のスピードでは、直線コースの多いフランスのTGVに劣っていますが、時間の正確さや安全性、快適性については、TGVを凌駕していると言われています。
※ネットに様々な比較サイトが存在するので、ご確認ください。
そして、それを支えているのは、メンテナンスを含んだ全体のシステムが優れているからです。
新幹線は、究極のメンテナンスの姿かもしれませんが、街を見渡せば、ビルやエレベータメンテナンス、OA機器のメンテナンス、高速道路のメンテナンス、プラントのメンテナンスなど、様々なメンテナンスに支えられていることがわかります。
しかし、筆者の主観も入っていますが、メンテナンスは業務の重要性と比較した場合、社会的な地位が必ずしも高くないと感じています。メンテナンス技術者の立場からすると、「正常稼働で当たり前、異常になったら怒られる、割に合わない業務」という感覚もあります。
何か異常が起きた時、初めてその存在意義がわかるメンテナンスという業務は、ニュースとして話題になる時も、その異常が話題の対象であり、それまで正常に稼働していた何十年にも及ぶ実績が話題になることはほとんどありません。
(例えば、最近でもトンネル事故やエスカレータ事故等、メンテナンスの不備に焦点を当てた報道がなされていました。)
高度成長期に建設された高速道路や橋梁、トンネル、ビル等の各種インフラは、財政的な制約がある中で、一部については寿命を迎えつつあります。
※社会資本整備を主な研究対象とする土木学会では、この問題について「アセットマネジメント」の必要性等に見られるように、以前から警告を発していました。
大気汚染の常時監視についても、高度成長期における大気汚染の深刻化に合わせて一気に測定網が整備されてきた経緯があり、オキシダントやPM2.5を除く各測定項目において、環境基準の達成率が向上している現在は、見直しに向けた過渡期といえます。
このような時代の変わり目において、適切なメンテナンスの実施は、危険回避のための予防保全や、測定機を含む各種インフラの長寿命化にも貢献します。
また、ICTの進歩につれて、メンテナンス業界においても、遠隔監視等、様々な技術革新が進んでいます。
メンテナンス業界は、新たな発見や発明、開発と比較して、派手さはありませんが、社会インフラを支えていることは事実です。
当たり前を支えている裏方(メンテナンス)にも注目していただけると幸いです。
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