グリーンブルーのカーボン・オフセット

カーボン・オフセットプロバイダーのグリーンブルー株式会社が、地球温暖化に関連するニュースやその時々の話題をお届けします。

CSRもカーボン・オフセットも、本業とのシナジーで

2014-04-24 21:45:57 | CSR
カーボン・マーケット企画室 三阪和弘


2010年に社会的責任に関する国際規格ISO26000の発行、2012年にJIS化の制定が行われ、国際的にも国内的にもCSRの重要性が高まっています。

また、それに前後する形で、CSRに関係する書籍やCSR報告書、CSR企業ランキング、ネットでの情報など、多くのCSR関連の情報が発信されています。

ここでは、それらの中でもカーボン・オフセットに関連することに焦点を絞って見ていきます。

仁木氏は『儲からないCSRはやめなさい』の中で、次の点を主張しています。
・企業は、長期間にわたり高い収益を上げるため、コーポレートブランドを向上させるCSRに取組むべきである。
・直接的には利益を生まない社会貢献活動であっても長期的にブランディングに貢献する活動であれば企業は積極的に取り組むべきである。
・儲かるCSRとは、(1)企業のコーポレートブランドを向上させる、(2)社会問題の解決を通じて、自社のビジネス上の課題を解決する、(3)社員の誇りを高め、生産性を上げる。中でも重要なのが(1)である。

上記の仁木氏の主張は、“CSR”をそのまま“カーボン・オフセット”に置き換えても話は通じます。具体的には、コーポレートブランドを向上させるカーボン・オフセットに取り組むべきである、というものです。

カーボン・オフセットの目的は、端的に言うならば、各主体が取組める地球温暖化対策にあり、それを達成するため、「知って」、「減らして」、「オフセット」というプロセスを踏みます。
言い換えると、クレジット購入という「オフセット」の前段には、「知って」という現状の課題認識やコスト発生要因の把握、「減らして」という工程の見直しやコスト削減があり、生産性の向上があるということです。

CSRもカーボン・オフセットも、本業と直結しない社会貢献活動等を対象に行っていると、活動自体は社会的意義のあるものであっても、本業で多忙な社員には義務感ばかりが高くなり、持続可能でない可能性があります。
一部の大手企業には、直接的には利益を生まない社会貢献活動であっても長期的にブランディングに貢献することを見込んで、CSRやそれの一部としてのカーボン・オフセットに取り組むことは可能かもしれませんが、多くの企業にとっては困難でしょう。

また、一見すると素晴らしいCSR報告書についても、横並び意識から公開しており、マンネリ化しているという話も聞きます。
しかし、それでもCSR報告書は、年次報告書という形式で、企業のホームページ等で公開されることが多いため、継続に対する強制力がはたらきます。
一方、カーボン・オフセットの場合は、必ずしもホームページ等で前面に現れないため、たとえ一旦始めた企業であっても、継続しない場合があり得ます。
その意味では、カーボン・オフセットはより厳しい立場にあるといえるでしょう。

さて、カーボン・オフセットは現在、カーボンフットプリントと同様に、ライフサイクル全体を対象にする流れに変わってきています。例えば、環境省が推奨するカーボン・オフセット認証を見ても、商品型オフセットの場合、従来は任意の算定範囲で良かったものが、調達・生産段階を算定範囲に含めることに変更されることからもわかります。
この厳格化の流れは、一方で、生産/業務プロセスを見直し、コスト削減につながるポテンシャルを有しています。

ここで何を主張したいかと言えば、義務的にカーボン・オフセットを行うのではなく、生産/業務プロセスの見直しとセットのように、本業に成果を還元する形で行う方が好ましいということです。

一部の企業を除き、CSRもカーボン・オフセットもコストアップの負荷にしかなりません。それでもブランディングに貢献するならば行うべきという考え方もありますが、持続可能な形としてはやはり本業に埋め込んでいくべきでしょう。

上述の書籍に掲載されている成功事例の企業はいずれも、本業の強みを生かしたものばかりです。

かくいうグリーンブルーはどうかというと、本業とのシナジーをもったCSRやカーボン・オフセットのブランディングが必ずしも上手くいっているわけではなく、試行錯誤の段階です。

いきなりCSR全般というわけにはいきませんが、その一部である「環境」の、そのまた一部である「カーボン・オフセット」から、自社的にも取組む必要があると考えている次第です。

参考文献
仁木和彦、2012、儲からないCSRはやめなさい、日本経済新聞社


環境問題・保護 ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする