青い夢の女

逃げられない官能の記憶・・・・
人はそれぞれ秘密を持っている。精神分析医ミシェルの場合、秘密はソファーの下にあった。

精神分析医ミッシェルは、窃盗癖とマゾヒスティックな性癖を持つ美しい患者オルガに惹かれていた。ある日、夫とのワイルドな性的関係を妖しく話すオルガの側で深い眠りに落ちてしまったミッシェルは、夢の中で、オルガの首をしめていた。目覚めると、ミッシェルの前には冷たくなったオルガの死体が横たわっていた。―なぜ死んでいるのか？―いったい何があったのか？―とにかく死体を隠さなければ。ドアの外ではもう次の患者が待っている。そして、それは悪夢のほんの始まりだった・・・。

8年の沈黙を破り、「ベティ・ブルー」 以来16年ぶりにジャン=ユーグ・アングラードとコンビを組んだベネックスの作品です。
”ベネックス・ブルー” と呼ばれる青を主体とした、匂い立つような映像美は、8年経っても健在でした。この本作で、精神分析という題材に挑戦したベネックスは、”死” と ”鬱” をテーマにそれをブラック・ユーモアで仕上げました。
まさか彼の作品で、こんなに笑うとは思いませんでした。

　　　

あの 「ベティ・ブルー」 における壮絶な役どころとはうって変って情けないというか・・少々ボケをかます滑稽な中年の精神分析医を演じたアングラードに思わず笑ってしまいました。何故か自分の診療室で死んでしまった女にアタフタする姿、そして、取り敢えずベッドの下に死体を隠してしまうところなどは、かなり笑えます。
内容的には、タブー的な要素がふんだんに描かれながらも、観ていてそれがいやらしく見えないストーリー展開が素晴らしかったです。夢と現実が交差するというエロティック・サスペンスなのですが、ドロドロっとした独特の感覚はなく、ひたすら、ミシェルの困惑した姿が面白かったですね。
それにしてもオルガ役のエレーヌ・ド・フジュロール、劇中のほとんどが ”死体” の役なのに、この圧倒的な存在感はなんだろう・・。べネックス・ブルーといわれるほど、青く美しい映像の中にオルガの白い肌が映え、とても美しく幻想的な物語でした。
また、冒頭とエンディングに映し出された ”絵” にもビックリです。

■「ジャン=ジャック・ベネックス」関連映像
History of Jean-Jacques Beineix's movies



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【青い夢の女 (MORTAL TRANSFER)】
監督/ ジャン=ジャック・ベネックス　
出演/ ジャン=ユーグ・アングラード　エレーヌ・ド・フジュロール　
2000年フランス・ドイツ合作

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