時はすべてを破壊する
一組の男女と元恋人が、たった一夜にして辿る ”取り返しの付かない悲劇”
ゲイクラブに押し入った2人の男が、ある男の顔を消化器で殴って殺すという事件が発生。 実はその2人組の一人マルキュスは、恋人アレックスがレイプされ、友人でアレックスの元恋人でもあるピエールと共に犯人を捜し出し、復讐しようと考えていたのだ。 いったい、どうしてこんな恐ろしい事件が起ってしまったのか…
それは、残忍で悪夢のようなレイプ事件が引き起こした結末に他ならなかった……。
『カルネ』『カノン』と取上げてきたら、ここはこの作品も取上げないといけないでしょう。 私としては少しだけ心苦しいのですが…。 フランス映画界きってのビザール監督、ギャスパー・ノエが放つ『カルネ』『カノン』に続く衝撃の問題作、『アレックス』。
この作品は2002年カンヌ国際映画祭で上映され、あまりのリアルで凄まじい描写に途中退場が続出、その衝撃の大きさで一気に話題となりました(途中退場せず、ラストシーンまで観た観客からは惜しみない拍手がおくられたそうです)。
事件の結末からスタートし、時間が逆行しながら、美しく幸せなラストシーンで幕を閉じるというストーリー展開。それもそのラストシーンについての解釈で論争を呼ぶほど衝撃的なのです。
ストーリーはいたって単純です。 フィアンセをレイプされた挙句、半殺しにされた男が、友人の元恋人と犯人探しをはじめ、復讐をするというシンプルなあらすじ。 それを反転、時間軸を逆に進行させる手法で描きました。つまり、エンドクレジットから物語が始まるという形なのです(これは、既にクリストファー・ノーラン監督の『メメント』や、 リチャード・ケリー監督の『ドニー・ダーコ』でこの手法は使われていますが、この『アレックス』では、時間軸が前後せずに、そのまま逆行させています)。
とにかくこの物語は凄いです。 『カルネ』『カノン』も凄かったですが、この作品はそれらを上回るほど全体を異様なムードが漂っています。 冒頭から(エンディングから)凄まじい、衝撃的な映像が映し出されます。この最初の映像で、嫌悪感を抱く人も多いのでは? カンヌ映画祭上映時にも途中席を立った人が多かったという話も頷けます。この映画の不条理さ、不快感は…。 これこそギャスパー・ノエの思惑通りなのかもしれませんね。
映画のラスト(オープニング)でのアレックスの至福に満ちたあの表情…それがなおさら心を締めつけます。
物語は ”時はすべてを破壊する” という言葉に始まり、この言葉でラストを締めます。 「時間は残酷なことも幸せなこともすべて一緒に過ぎ去っていく。例え取り返しの付かないことが(原題の『IRREVERSIBLE』は、不可逆の、 取消せない という意味)、いままさに起こったとしても…」 こういうことを言いたかったのだろうと思います。
あまりにも生々しく凄まじい暴力描写の裏に秘められた、「人間の尊厳と愛の不条理」を描いたこの作品、多分私はもう二度と観ないと思います。 この作品は、前2作以上にトラウマになる恐れがあります。迷われている方、また興味本位で気になっていらっしゃる方は、ご覧にならないことをお薦めします。
余談ではありますが、冒頭のホテルのシーンで「カルネ」「カノン」のフィリップ・ナオンが出ていたのですが、考えてみると、ギャスパー・ノエのこの3作は全て繋がっているのですね。
--「アレックス」関連映像--
Irreversible trailer
Irreversible trailer2
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【アレックス (IRREVERSIBLE)】
監督/ ギャスパー・ノエ
出演/ モニカ・ベルッチ ヴァンサン・カッセル
2002年フランス作品
第55回カンヌ映画祭正式招待作品
2002年東京国際ファンタスティック映画祭クロージング作品
--関連作品LINK--
一組の男女と元恋人が、たった一夜にして辿る ”取り返しの付かない悲劇”
ゲイクラブに押し入った2人の男が、ある男の顔を消化器で殴って殺すという事件が発生。 実はその2人組の一人マルキュスは、恋人アレックスがレイプされ、友人でアレックスの元恋人でもあるピエールと共に犯人を捜し出し、復讐しようと考えていたのだ。 いったい、どうしてこんな恐ろしい事件が起ってしまったのか…
それは、残忍で悪夢のようなレイプ事件が引き起こした結末に他ならなかった……。
『カルネ』『カノン』と取上げてきたら、ここはこの作品も取上げないといけないでしょう。 私としては少しだけ心苦しいのですが…。 フランス映画界きってのビザール監督、ギャスパー・ノエが放つ『カルネ』『カノン』に続く衝撃の問題作、『アレックス』。
この作品は2002年カンヌ国際映画祭で上映され、あまりのリアルで凄まじい描写に途中退場が続出、その衝撃の大きさで一気に話題となりました(途中退場せず、ラストシーンまで観た観客からは惜しみない拍手がおくられたそうです)。
事件の結末からスタートし、時間が逆行しながら、美しく幸せなラストシーンで幕を閉じるというストーリー展開。それもそのラストシーンについての解釈で論争を呼ぶほど衝撃的なのです。
ストーリーはいたって単純です。 フィアンセをレイプされた挙句、半殺しにされた男が、友人の元恋人と犯人探しをはじめ、復讐をするというシンプルなあらすじ。 それを反転、時間軸を逆に進行させる手法で描きました。つまり、エンドクレジットから物語が始まるという形なのです(これは、既にクリストファー・ノーラン監督の『メメント』や、 リチャード・ケリー監督の『ドニー・ダーコ』でこの手法は使われていますが、この『アレックス』では、時間軸が前後せずに、そのまま逆行させています)。
とにかくこの物語は凄いです。 『カルネ』『カノン』も凄かったですが、この作品はそれらを上回るほど全体を異様なムードが漂っています。 冒頭から(エンディングから)凄まじい、衝撃的な映像が映し出されます。この最初の映像で、嫌悪感を抱く人も多いのでは? カンヌ映画祭上映時にも途中席を立った人が多かったという話も頷けます。この映画の不条理さ、不快感は…。 これこそギャスパー・ノエの思惑通りなのかもしれませんね。
映画のラスト(オープニング)でのアレックスの至福に満ちたあの表情…それがなおさら心を締めつけます。
物語は ”時はすべてを破壊する” という言葉に始まり、この言葉でラストを締めます。 「時間は残酷なことも幸せなこともすべて一緒に過ぎ去っていく。例え取り返しの付かないことが(原題の『IRREVERSIBLE』は、不可逆の、 取消せない という意味)、いままさに起こったとしても…」 こういうことを言いたかったのだろうと思います。
あまりにも生々しく凄まじい暴力描写の裏に秘められた、「人間の尊厳と愛の不条理」を描いたこの作品、多分私はもう二度と観ないと思います。 この作品は、前2作以上にトラウマになる恐れがあります。迷われている方、また興味本位で気になっていらっしゃる方は、ご覧にならないことをお薦めします。
余談ではありますが、冒頭のホテルのシーンで「カルネ」「カノン」のフィリップ・ナオンが出ていたのですが、考えてみると、ギャスパー・ノエのこの3作は全て繋がっているのですね。
--「アレックス」関連映像--
Irreversible trailer
Irreversible trailer2
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【アレックス (IRREVERSIBLE)】
監督/ ギャスパー・ノエ
出演/ モニカ・ベルッチ ヴァンサン・カッセル
2002年フランス作品
第55回カンヌ映画祭正式招待作品
2002年東京国際ファンタスティック映画祭クロージング作品
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--関連作品LINK--
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カノン [DVD]日活このアイテムの詳細を見る |
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