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tokyo PICASSO 「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」

2008-12-13 | art


先日のサントリー美術館 「巨匠ピカソ 魂のポートレート」 に続いて、国立新美術館で同時開催中の 「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」 展に行ってきた。こっちはサントリー美術館の約3倍の作品が展示されている。
今日は暖かい日だった上、美術館の中は暖房が効きすぎていた。コートが邪魔になったので、ロビーのコインロッカーを使い、チケットだけ持って手ぶらで鑑賞した。

まず中に入ってずぐ、いちばん最初に目にしたのがこの絵。“青の時代” の作品 『ラ・セレスティーナ(Celestina)』。
白内障で左目を患っている老女の、ストイックなまでの見据えるような表情に、引き込まれてしまった。
 『ラ・セレスティーナ』(1904)

“○○の時代” と呼ばれているように、ピカソほどめまぐるしく作風が変化している画家はいないだろう。決して同じような作品はない。
まだまだ知らない作品も数え切れないくらいあるが、初めて出会う作品は、見る度に驚きと感動を覚える。
絵画だけではなく、彫刻はもちろん、ブリキ板や新聞紙などを貼り付けたコラージュ作品や挿絵もたくさん展示されていた。
ピカソと言えば、目がチグハグに離れていて、変なところから手が出ていて・・・という作品ばかりと思っている人が少なくないだろうが、それはひとつの時代の作品だけのこと。確かにキュビズムを極めた頃の作品が代表作として挙げられることが多いので、ポピュラーになっているが、決してそれだけではない。
例えば1918年のこの作品。ピカソの最初の妻、オルガの肖像画だ。優しいタッチでとても繊細。そして何よりも愛を感じる。
 『肘掛け椅子に座るオルガの肖像』(1918)

ピカソのその作風の変化には、いつの時代も愛する女性が影響していると言っても過言ではないと思う。妻や愛人が彼の芸術創造のミューズであり、それは晩年になっても描き続けられている。
エロティックで情熱的なピカソの生涯を、作品を通して垣間見ることができたような気がする。そして、何かしらのエネルギーをもらえたような気分。詳しくなくても美術鑑賞は楽しいし、安らぎと刺激を与えてくれる。
私は初期キュビズム時代の作品が好きで、今日見た作品の中でいちばん気に入ったのが下の絵。キュビズム革命の発端ともなった 『アビニヨンの娘たち』(ニューヨークのMOMA所蔵なので、今回の展覧会には展示されていない) に繋がるものがある。でも、残念ながらポスト・カードにはなっていなかった。
 『“森の中の水浴の女たち” のための習作』(1908)

10月4日から始まった展覧会も、あさって12月14日で終了。平日にもかかわらず、たくさんの来場者で中は混雑していたが、初めて行った新国立美術館は、照明が明るくて、とても見易く展示されていたので、そんな混雑もあまり苦にはならなかった。
やはり外観は、私にはどうしても素晴らしい建築デザインとは思えないが・・・。
 新国立美術館


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