中編 からのつづき
このお客様のホームページは一般の消費者が見るものではないことや、社長さんの「派手なことはしたくない。必要最低限の情報がわかればいい」という意向を尊重して、時代おくれの地味なデザインをちょこちょこ手直ししながら守り続けてきました。ところが実はこの間ずっと別の大手業者が強烈なセールスをかけていたのです。「どうして十年もリニューアルしないんですか? いま使ってる業者(私)は時代について行けてないのでは?」
おまけに私はこのお客様にお会いするたび、私の成長を見守ってくださってる方を喜ばせようと、新しい分野の仕事が来た、国の補助金が出るプロジェクトに首をつっこんでるなど、まぁ事実は事実ですがやや誇張した近況報告を続けていたのです。そのため「小山君は本業のシステム開発が忙しくなって、ホームページなんかもう興味ないんだと思った」のだそうです。実際にはこのお客様を失ったころというのは、半年以上仕事がなくて毎日ブログ書いてテレビ見て寝てた時期です。こりゃまったく私の作戦失敗ですね。仕事がないときはすぐ白旗をあげよう。
くやしがってばかりもいられないので、素直に負けを認めて新しいホームページを見せていただきました。しかしこれがどうも良くありません。前回書いた、私が「誠実な仕事」と考えるポイントをすべて外している。ただそれだけならポリシーのちがいかも知れませんが、誤字脱字・無意味な改行・記号の不統一など満載。もっとひどいことには、画面をにぎやかにするためにお客様の会社では扱っていない製品の写真を貼り付けたり、本来のものとは綴りも単語もちがう社名の英語表記を勝手に作ったりしているのです。
よその会社の名前を勝手に作るなんて考えられません。私はこの業者はデザインセンスうんぬん以前に「会社のルール」を知らない、根っからのアーティストなのだと判断しました。しかし負けた私がいまさら告げ口してもかっこわるいだけ。どうしても見過ごせない点についてだけ、商売がたきであることを隠して「サーバー管理者の立場で気づいた」という文脈で直接業者に指摘してあげました。そしてもうこの件はきれいさっぱり忘れようと、別のシステム開発の仕事に打ちこむことにしました。
それから半年が過ぎ、開発の仕事も一段落。さぁあとはノンビリ自由研究でもするかなどと考えていたつい先日、ひさしぶりに件のお客様から連絡が入りました。聞いてみると、新しいホームページにはまだまだ首をひねる点がある。この業者の仕事に対して独特の違和感を感じておられるとのこと。「わるいけどなぁ~小山君、作り直してくれんか」
ヽ(´▽`)ノ
私にはめずらしく三部作の長編、しかも他人の悪口入りでしたが、最後までお付き合いいただいてありがとうございました。ちょうど十年目、長らくやってなかったホームページ作成、そして特別なお客様ということで、気合いを入れ直すために文字にしてみたかったのです。おかげでモチベーションがモコモコしてきました。年末までがんばります。
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