恋染紅葉

映画のこと、本のこと、日々の些細なことを綴ります。

読書いろいろ

2013-03-25 | 日記
3月はなにかと忙しいのですが、
電車の中とか夕飯の片付けをした後とか、
細々と読書をしております。

感想を残そうと思いながらも気力がないので、
備忘録だけ・・・


『グレース』源孝志・・
とあるところで知った本。この「とある」は分かる人には分かるでしょう。
車好きだった妻が事故で亡くなる。妻の愛車のカーナビには不審な履歴が残されていた。
妻はいったいどこに何をしに行ったのか? 夫は、カーナビをなぞる旅に出る・・・。

ミステリーっぽくもあり、夫婦の愛の物語でもあり、カーマニア?の話でもあるなあ。
ドラマ仕立てのようで、すんなり読めます。


『俺に似たひと』平川克美・・
こちらもとあるブログで知った本。
「俺」こと平川さんが綴った介護日記のような本。
母親が亡くなり、ひとり残った父親も要介護となったとき、単身実家に戻り、入退院を繰り返しながらも自宅で介護したときのリアルな物語です。

男性ながら、仕事をしながら親の介護できる環境にいることは恵まれていると思います。
ほとんどの世の男性は出来ない(と思っている)から、その役目は妻にきます。
自分の親なら出来ます。排便のとき、出してあげることとか・・・。私も母親にしました。
でも夫の親に・・って、ちょっと「仕事」と割り切らないと出来そうにないです。
これを読んでいるとき、そんなどうでもいいことを思ってしまった私です。
そして、自分の親のことは自分でやってくれる人を夫に持った奥さんを羨ましく思いました。
これは本の感想なのか・・・?

終わりと始まりの季節

2013-03-20 | 日記
先日、次男の卒業式がありました。
それはそれは密度の濃い4年間だったと、
その充実感・達成感は、
ときどき送られてくるメールや、
たまに帰ってきて話してくれることでこちらにも伝わっていました。
あと2年間、新天地にてがんばる予定です。

今まさに勢いにのっている息子ですが、
それと反比例するように
徐々に老いて行く義母と実家の父。
ふたりの心配をしながらも
私もまた自分の道を一歩進んでいかねばなりません。
彼らに振り回されることを、出来ない理由にせず、日々こつこつと前進せねば。

息子の引越しやら何やらが落ち着いたら
また、映画や春のお出かけにいそいそと繰り出そうと思います。


春はやっぱり気持ちが引き締まるなあ~

愛、アムール(2012年フランス/ドイツ/オーストリア)

2013-03-12 | 映画(あ~さ行のタイトル)
第65回カンヌ国際映画祭で、パルムドールに輝いたヒューマン・ドラマ。


弟子のピアノコンサートに二人して出掛けた仲の良い老夫婦・ジョルジュとアンヌ。
その翌日、アンヌに突然異変が起こる。
病による発作で、手術するも右半身に麻痺が残り介護生活となってしまう。
二度と病院には行きたくないというアンヌの希望を受け入れたジョルジュは、それからずっと献身的に介護をする。
しかし、アンヌの病状は日に日に悪くなっていくばかり。まるで別人のようになってしまったアンヌの姿を見ながら、ジョルジュは、「痛い、痛い」とこぼす妻の手をさすり続ける・・・。


この映画は重かったですね。
昨今、日本でも社会問題となっている老老介護。
たぶん、この年代の人たちは、なるべく家で、なるべく自分の手でなんとかするのが当たり前という感覚を持ち合わせている世代だと思います。
完全ではないにせよ、介護制度も徐々に整いつつある時代ではありますが、物理的にも心情的にも全ての老人に行き渡ってはいません。
子供がある夫婦でさえ、老老で支えあっていかなければならいない場合もあります。
他人に介入されるのを嫌ったり、介護制度そのものを利用するすべを知らなかったりで、結局は共倒れになるケースがあちこちで聞かれます。
高齢でも夫婦揃っていたり、同居人がいるところは、ついつい一人暮らしじゃないし・・・とケアが遅れてしまうのかもしれません。

この映画の夫婦には娘がいます。
公式サイトの物語のところには、「離れて暮らす一人娘のエヴァも、そんな彼らの在り方を尊重し、敬意をもって見守る」とありますが、むしろ私には、この娘は母親がこんなふうになっているのになぜもっと世話をしに帰らないのか、その神経を理解できません。
外国にいるようですし、仕事のこともあるのでしょうが、手を貸さずに父親のやり方にダメ出し、手を汚さずにもしも論ばかりで、それで、変わり果てた母親の姿に愕然としたりするとは都合よすぎると、私は思います。
最後に誰もいない部屋に入った呆けた顔は、あれは後悔の念なのでしょうか。ただの寂しさでしょうか。

そして、この映画の行き着くところ。
介護の厳しさだけが残る気もします。
タイトルが「愛」なのだから、これが夫婦の絆、愛なんだと無理にでも納得しないとだめなんでしょうか。
後悔しない介護はないものなのでしょうか・・・。

うちの親も、父が母の介護をしました。
これほどまでに手を煩わされることはありませんでしたが、それでも下の世話までしていました。
ちょうど私が帰ったとき、父は汚れたシールを取り替えているところという場面もありました。
女性は、男性に下の世話をしてもらうほど辛いときはないでしょう。
母も「すまない、すまない」と言ってました。
うちの場合は、私が何度も帰ることが出来たので、究極的な老老介護ではありません。
それでも老いて配偶者の介護をする厳しさはいつも感じていました。

老老介護に限らず、介護の先に見えるものは、いったい何でしょう。

介護しながら、その時に備えて覚悟を定める準備期間、
今までしてもらったことを返す期間。
被介護者が家族なら、そう思いながら接するしかないのでしょうか。


そういえばこの映画、冒頭のコンサート会場以外、ずっと夫婦のアパルトマン内でした。
ここだけが二人の世界。老いると世界は狭くなるのだ・・・。

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八月の鯨(1987年アメリカ)

2013-03-05 | 本(た~は行の作家)
リビーとセーラの老姉妹は、毎年夏になるとメイン州の小さな島にある別荘にやってくる。そこの入り江にはかつて鯨がやってきて、8月になると鯨を見るのを楽しみにしていた。
目が不自由になった姉のリビーはセーラに世話をしてもらって暮らしているが、他人に頼らざるを得ない自分に苛立ち、ついとげのある言葉を吐いてしまったりする。
セーラも姉の世話に自信を失くしかけるが、この思い出多い家で、また鯨を見られるのを期待し、手を取り合って暮らしていくことに・・・。

岩波モール創立45周年記念、ニュープリントのフィルム上映です。

何年も前、レンタルビデオで観て、私のベスト5に入った作品です。
それが、スクリーンで再び観られると知り、絶対逃すまいと決めていました。

やっぱりいいですね。
静かで、海がキラキラ眩しくて、リビーの見事な白髪もきらめいて・・・。
二人でつつましく暮らしているのですが、ゲストを招いての夕食には、キャンドルに花、ちゃんとテーブルセッティングをして、おそらく何年も前のであろうドレスに着替え、髪を結い、アクセサリーを着け・・・。
老いてもなお、淑女のたしなみを忘れない小奇麗なあの生き方を見習いたい。
ほんと素敵な光景でした。

老いて姉妹で暮らすというのは、一番理想的な人生の最後なんじゃないかなと羨ましい限りです。
ただし、お互いの伴侶がいなくなったあとのことですが。


鑑賞後にチラシを見て驚いたのですが、この撮影当時、リビー役のリリアン・ギッシュは91歳、妹役のベティ・デイヴィス79歳だったそうです。
改めてこの作品に拍手です。

上映してくれてありがとう~♪

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