恋染紅葉

映画のこと、本のこと、日々の些細なことを綴ります。

おみおくりの作法

2015-03-26 | 映画(あ~さ行のタイトル)
孤独死した人がいれば身寄りはいないか調べ、
誰もいないと静かに一人で見送ってあげる、
役所の民生係でそんな仕事をしているジョン・メイ。
あまりにも生真面目すぎる仕事ぶりに、「時間のムダ!」と人員整理のため解雇を言い渡される。
最後の仕事は、なんと向かいに住んでいた男性だった。
ジョンは、故人のため、いつも以上に熱心に身内や知人を訪ね歩く・・・。

***

ずっと、淡々とジョンの仕事ぶりを見せられる。
亡くなった人の部屋に出向き、残されたものから、その人がどんな人で、どこに家族がいるか調べて、葬儀を行ってもらえるよう依頼する。
ほとんどが身寄りなく、ジョン一人が葬儀に立ち会う。
いろんな宗派があるが、故人に合わせ、弔文まで推測して作る。
縁もゆかりもない人の人生を丁寧に辿り、ちゃんと見送り、故人の写真を自宅に持ち帰りアルバムに貼る。
忘れられた存在だった故人が、ジョンによって、生きた証が刻まれる。
生きた証・・・ジョンが訪れる部屋は、まさにそこで生活していた事実が残されている。
干したままの洗濯物、飲みかけのお酒、、、
部屋を見ると、生前の故人の様子が窺われる。
そのシーンを見ていると、「人生の断片はきれいにしておかないといけない」という教訓が浮かぶ。

さて、そんなジョンの最後の仕事、
そこからいつもにない展開が広がっていくのだが・・・

ジョンもまた身内のいない寂しい一人暮らし、
毎日おもしろみのない生活パターンだが、
最後の仕事を通じてちょっと変化が見え始める。
人生の最後をどう締めくくるかは、やはり人と人の繋がりがあって、実のあるものになるのか。

そして迎える結末。

人は、どんなに華々しく名誉や交友関係を成したとしても、
どれだけ善行を積んだかで、最期に幸せかどうかが決まると思う。
生きているうちに善き行いをしてきた者は、
あの世に行ってからも幸せになれるのだ。

そんな感想を持った。

ゴーン・ガール

2014-12-26 | 映画(あ~さ行のタイトル)
原作は未読ゆえ、最後まで先が読めない展開にハラハラドキドキ。
長時間の作品ですが、その長さを感じないほど、ほんとに目が離せませんでした。

突然姿を消した奥さん、
とても聡明で美人で、結婚するまでもラブラブで~
なのにどうして?
失意の夫がマスコミや周囲の人たちと一致団結して妻の身を案じる。
ところが、二人の結婚生活が明るみに(?)なるにつれ、
夫の態度に疑惑が生まれる。
しかも、若い女性との浮気・・・。
もしかして、これは殺人事件か・・・???

最初は淡々と観てましたが、
こんな大変なときに愛人と・・・と、
この夫の軽率さに呆れます。

しかし、話はそんな単純な2時間ドラマではありません。
みんなが言うように、観てのお楽しみ~です。
楽しみな場面はありませんが・・・

「END」になってからも、「いやまだ何か展開ありそう」と思ってしまいます。
あの弁護士が雇った元シークレットサービスが何か探し出して・・・とか・・・。


それにしても、妻役の女優さん、すごかったです。
品があって、可愛くて、美人なんです。
それが・・・・・全く別人に見える。


友達と一緒に観に行ったのですが、
映画が終わって二人同時に出た言葉、
「こわぁ・・・」


想いのこし

2014-12-04 | 映画(あ~さ行のタイトル)
金と女に貪欲なサイテー男・ガジロウが、交通事故に遭う。
自分は怪我もなく生還するが、運転していた車に乗っていた男女4人は亡くなる。
そもそも事故の原因はガジロウにあるというのに、4人の遺族たちから賠償金をせしめようとする。
ところが、亡くなった4人は成仏できず、ガジロウの前に現れる。
この世に想いを残した4人は、ガジロウにお金を払う代わりに、自分たちの願いを叶えてもらうことに。


面白かったし、泣けたし、退屈しない映画でした。
ポールダンサー役の広末さんたちの踊りはとてもステキでした。
ガジロウ役の岡田くんもトライしてましたが、簡単ではないんですね。
それにしても、最初のガジロウのサイテーな生き方!
彼のおかげで、結婚式を目前にしたルカや、息子をひとり残さねばならないユウコ、働きながら高校に通い青春を謳歌するはずだったケイ、消防の仕事を忘れられないジョニー、この何の罪もない4人の命が奪われてしまうなんて・・・。
いくら彼がどんなに改心しようと、そのことは重いはず。
最後はとてもほっこり終わることが出来ましたが、やはりこんな運命受け入れたくないなあ・・・。




(シネマポイントで鑑賞しました)

クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落

2014-08-26 | 映画(あ~さ行のタイトル)
不動産で大成功を収めた夫婦が、2009年のリーマンショックにより頂点から転落していく過程を記録したドキュメンタリー。


面白かったです。

ベルサイユ宮殿みたいな家を建設中にカメラを回し始めたんだけど、
思いもよらぬリーマンショックで危機に。
制作側も、最後は宮殿にお引越し、
これぞアメリカン・ドリームみたいな映像を頭に描いてたんでしょうね。
でも、転落してゆく人生のほうが返っていい「モノ」が撮れたような気がしますね。
それにしても彼女はすごい。
金使いの粗さには閉口だけど、
人柄がいいんでしょうね、だから嫌味な感じを受けない。
悲壮感もないし。

ただ、、、、
ペットのワンちゃんの躾はちゃんとしようよ。
部屋のあちこちにフンが落ちてるなんて、
金持ち貧乏の話じゃないよ。

すーちゃん まいちゃん さわ子さん

2014-02-14 | 映画(あ~さ行のタイトル)
益田ミリ原作の漫画「すーちゃん」シリーズの映画化。
柴咲コウ、真木よう子、寺島しのぶがそれぞれを演じてます。

WOWOWで放送されていたのをなんとなく録画してなんとなく観てみました。

3人とも素晴らしい女優さんですが、
個人的にはそれほど好きな女優さんではありません。
が、これは3人ともになぜか共感できてとてもよかったです。
みんな、どの部分かで「あるある」と頷けます。

すーちゃんの恋の思い込みとか、
お店の従業員への心の声とか。

まいちゃんの選択も、
これを選ばなかったほうの自分も見てみたいとか。
その前に、
がんばりすぎてるその中のどれかひとつをやめてごらんと言ってくれたときのその気持ち。
たぶん、男の人ならその言葉をかけられたなら「バカにして」とかプライドを傷つけられたと取るかも。
でも女の人には、その言葉は肩肘張ってた心にふわっと温かい毛布をかけられるような感じだと思う。

あと、とても印象深かったのは、
さわ子さんのお家で、身内でさえ、「どうせ分からないから」とおばあちゃんに顔を見せないのに、すーちゃんとまいちゃんは、それでもちゃんと挨拶しに行く場面。
あ~、いい子たちだ~とほっこりしました。

素直に、正直に、毎日生きていくことがどれだけ幸せかと気づかされた映画でした。