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少しお洒落に Let's lunch,,, (2/6);和食の作法、その第一歩

2008-01-14 12:50:10 | 食彩+酒の肴
<添付画像>:前回関連記事「ワインの話」(こちらから入れますこち)に続く… 「とあるフレンチレストラン」の『ランチタイム・テーブルセッティング』より……


 新年早々、やはり「食べるお話」です…


 その昔のずいぶん若い頃(たぶん二十代後半)、海外旅行中の夕食の席で「和食のマナー」について教わった記憶がある。

 お教え頂いた場所はアラスカの日本食レストラン。
 本来ならば、私の方からさりげなく洋食マナーをお教えしなければならない立場にあるにもかかわらず、ご参加のお客様から和食のマナーを教わったのだから青天の霹靂であった。 かなり恥ずかしい思いをしたけれど、天性の素直さを持った我輩は、これを素直に受け止めお教え下さったお客様に深く御礼を申し上げた。 そんな訳で、青天の霹靂的記憶は今も尚、鮮明に脳裏に焼きついて離れない。 我輩に和食マナーをお教え下さった方は「Alaska Photographic-Tour」(アラスカ写真旅行)にご参加のお客様のお一人だった。 そのお客様は、(けっして今も忘れない私の明確なる記憶によれば)京都のとある旅館の若旦那、当時のご年齢は50代半ばである。
 1970年5月下旬、当時はまだ珍しかったアラスカ旅行(7日間)始まって早くも1週間経過した頃、フォトグラフィックツアー参加者(総勢11名様)の大半は、毎日続くヴォリュームたっぷりの亜米利加的洋食に辟易され、「そろそろ和食が食べたい」等という声が盛んに上がる。 ここは添乗員の腕の見せ所と云わんばかりに我輩はアラスカのアンカレッジ市内を奔走し、未だ当時のアンカレッジに一軒しかなかった日本レストランを見つけ出し夕食の予約をした。 キングサーモンをはじめとする新鮮なアラスカの魚介類メニューの設定に参加者全員喜ばれ、我輩をして「さすが一流添乗員であるぞ!」と賞賛を受けつつ、その夜はナイフフォークをかなぐり捨てて久しぶりに箸を駆使する和食の夕食がスタートした。
 当時の海外旅行添乗員はお客様のテーブルと同じテーブルで食事をとるのが常識、我輩もお客様の間に分け入って箸をすすめていたところ、我輩と差し向かいに席をとっておられた上述のお客様から声がかかる。
 「ところでThomasさん(トーマスとは我輩のこと)、貴方はナイフフォークをお使いになって食事をされること多く、なかなか和食のレストランにお出かけの機会は少ないと思います。 和食をいただく時にも、それなりの作法がありますなぁ。 私ごときが先輩面するわけではないのですが、一つだけ、貴方にお教えしておきたい……」
 「? はい、宜しくお願いします!」
 「貴方の箸の持ち方はずいぶん綺麗ですから全く問題ありません。 そして箸は右手に持つものであり、貴方は右手に持っておられるからこれも問題ない。 そこでひとつ、食事の合間に右手から箸を離すとき、一旦左手で箸の真ん中あたりを持ち『箸休め』に置くのでして… また再び箸を使うときは左手を使って箸休めから箸を持ち上げ、そして右手に持ち替えるのです。 その行為その動作の繰り返しができれば和食の作法は完璧なのです」
 我輩ははたと気がついた。
(お客様の仰せの通りであるぞ!)
 話を聞き終わった瞬間、どうしようもなく恥ずかしかった。 しかしここは素直に気を取り直した。
(尤もだ!)
 そして素直に礼を申し上げた。
 「ありがとうございます……」
いい年とった今も尚、素直である。 が、若かりし頃の我輩はめっぽう素直であった。 その若旦那の含蓄ある一言一句とさりげない会話の間合いはいかにも自然体にて説得力あり、決して相手(我輩を指す)を傷つける言葉尻など皆無だった。 しかしその瞬間、我輩の顔から火が出るほどに恥ずかしく、且つ我輩の心臓は止まりそうになった。 そういえば、箸の上げ下ろしと、テーブルに箸を置かねばならない時の『箸を置く位置』には、さほど気を使った経験がなかったことに気づいたのだ。 たぶんその時、右手だけで箸の操作をやっていたに違いなく、その無知無教養にて育ちの悪さを目の当たりにされた京都の若旦那は見るに見かねて、我輩に対して直接指導を決断されたに違いない。

あれから四半世紀以上もたった今日、箸の上げ下げに恥ずることなく人前で食事できているかどうか?については、すでに及第点か?
「……?」
今もって自分自身のことは解らない。
一流料亭の席での会席膳マナーともなれば、未だに多くの疑問点が湧き出してくる。 要するに和食のマナーに対する自信がない。 たぶん、その理由は只一つ。 我輩の生活習慣上において余りにも和食の宴席に挑む機会が少なすぎたのであり、今からも少ないと予測する。
ならば、洋食はどうか?
これは、まったく問題ない。
まず、ナイフフォークなど自由自在に操れる。 何故か? 理由は簡単である。 ひとえに、度重なる外国生活や海外旅行中に、全くの自然体で洋食を食しているからである。
しかししかし、若し、世界の一流人たちとディナーを共にする機会があったら如何であろうか? 全くたじろぐことなく彼らと共に歓談しながら延々3時間、超一流のフルコースの晩餐をエンジョイできるであろうか? そのような晩餐会に出席することのない我輩にとって、なんら恥ずかしくなく立ち居振舞うことが可能かどうか、これは大いに疑問である。 なぜなら、この場合、食事のマナーの問題はとっくに通り過ぎており、一番の問題点となるのは、晩餐を共にする超一流人物たちとの会話について行けるかどうか?たったそれだけの問題だ。 しかしこれは難題であるぞ!

ともあれ、それなりの場に出席する頻度が少なければ「それなりのマナー」を会得できないことは確かである。
 
さて、話戻って「添付画像」のこと。 これはフレンチのハーフコースの食器セットだ。 しかも、ナイフフォークと共に箸がくっ付けてある。
「……?」
洋食の平たい皿で箸を使っている人を見かけると、いつも同じことを思う。 つまり、この平たいお皿に盛り付けられた料理を一対の箸を駆使して食事を進める所作を見ていると、やはりこれは「日本流なる食事の芸当」であるか。 でも、傍から見ていて何だか無様である。
やはりこの場合はスムーズにナイフフォークを使って食した方が食しやすいのではなかろうか、、、。

 <…続く…

PS:理屈っぽい話はこれまで、次回はいよいよランチタイムのお話です。 ご期待下さい。
 


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2 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
食事の作法は難しいですね。 (TS)
2008-01-19 23:42:40
さすが男爵さん、よい記事ですね。

私も色々な付き合いの中、作法が要されるような店に行く事も少なくありません。
特に初めて食べる料理に対し、どのように召し上がるのが正しいのか?とよく悩みます。
知らない事は聞けばいいのに、私の場合恥ずかしくて聞けず(日本人の特徴ですね)相手の食べ方を見て真似る事が多いです。

さて、箸置きへ置く時。
左手に持ち替える箸の位置までは確認してませんが、持ち替えるようにはしております。
というのも右手で箸を持った状態からそのまま箸置きに置く動作は何となくギクシャクするいう理由だけですが。
今度改めて意識してみます。

男爵さんに一つ質問があります。
私は最近ワインをよく飲みます。
そこで気になる事が一つあります。
私はグラスのワインを全て空けてから二杯目を注ぎたい(味が変わるので)と思っております。
しかし、まだ私のワインが残っているのに相手の方に注がれる事があります。
気の知れた仲間には事を説明出来ますが、そうでなければ相手の好意を無にするような気がして断れません。
ワインの作法からするとどうなのでしょうか?
返信する
>TSさん・・ (エセ男爵)
2008-01-20 17:44:02
コメントありがとうございます。
記事をお褒め頂き、たいへんありがとうございます。
あれこれ考えていると、和洋問わず、食事の作法は限がありませんね。
ただひとつ、心がけるべきは『周囲の人に不愉快な思いをさせてはならぬ!』
この一点に尽きるのではないかと思います。
そして「ワインの飲み方」、
>私はグラスのワインを全て空けてから二杯目を注ぎたい(味が変わるので)と思っております。・・
概ね、その通りだと思います。
>しかし、まだ私のワインが残っているのに相手の方に注がれる事があります。気の知れた仲間には事を説明出来ますが、そうでなければ相手の好意を無にするような気がして断れません。・・
「相手の好意を無にしかねない?!」そうです。これはどうしようもないでしょうね。
私、ワインの作法は全く気にしていません。
しかし、軽井沢のホテル仲間の宴会をワインでやる時は、同じワインの種類でもボトルが新しくなれば、そのつどグラスをとっかえて飲んでるようです。ついでに私のグラスも取り替えてれます。
フランスの旅行屋仲間と飲むとき、それぞれ好きなボトルを一本丸ごと抱えて飲み始める。もちろん各自のボトルは各自で手酌します。凡そ、一人当たり1~3本のボトルは空けます。もちろん、いちいちグラスの残量などは各々考えない。
しかし如何でしょう?
日本流にワインを飲めば、たぶん「差しつ・差されつ」となり、ワインの残っているグラスに注ぎ足すのも無作法ではないのでしょう。でも、清酒の場合、お猪口を空けてから、注いでいますよね。となると日本式でも、訳が解らなくなる、、、。やはりワインを注ぎ足すのはルール違反かも?

だからTSさん、
今年は思い切って、相手に対し内容厳しく「自分の意見」を言い、且つ使言葉と言い回しは「柔らかく相手の気分を損ねないよう」に、はっきりと「自分流ワインの作法」を相手方に物申したら良いのではないでしょうか?
飲みたい者が自分で目の前のボトルに手を差し伸べ、飲みたい時に、飲みたいタイミングで、飲みたいだけ注ぎ足す。
我々の仲間内では、目の前の料理は直箸で突付いても無作法ではなく、手酌は常識になっています。もちろんこの場合、大先輩だろうと後輩だろうと無礼講です。でも、先輩相手の雰囲気創り、目上の人物に対する言葉遣い、立ち居振る舞いなどなど、守るべき「宴会作法」は厳しく、それに違反すると次回から出場停止になってしまいます。
ま、そんな気心の知れた仲間との「飲み会」が一番ですね。そもそも、酒を飲む会に遠慮は不必要ですね、そう思われませんか。
〆て、
ワインは、その宴席の「担当ギャルソン乃至ウエイター」が、タイミングを見計らって顧客のグラスに注ぐものであり、食事している同じテーブルの人物に注ぎ足してもらうことなどありえない欧羅巴レストラン事情!だ、と、思うのですが如何でしょう、、、。
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