紙屋治兵衛の横浜ベイスターズ批評

横浜ベイスターズのオリジナル批評

2004年ドラフト総評 セ・リーグ編1

2005-02-28 20:47:14 | 野球
今日から3日間は昨年のセ・リーグドラフトの寸評をしたいと思います。

【中日】
自由 樋口 龍美 投 JR九州
自由 × × ×
1 ×    
2 中田 賢一 投 北九州市大
3 ×    
4 川井 進 投 日本通運
5 鈴木 義広 投 中部大
6 石井 裕也 投 三菱重工横浜硬式野球クラブ
7 中村 一生 外 国際武道大
8 小山 良男 捕 JR東日本
9 金剛 弘樹 投 日本通運
10 鎌田 圭司 内 トヨタ自動車
11 沢井 道久 内 東海理化
12 普久原 淳一 外 法大
  選択終了    

A(100)
壮絶。
優勝チームが容赦ない即戦力選手の補強を敢行した。
ここのところ高校生主体の指名であったが、今年は指名方針を180度転換して、即戦力主体の指名となった。外部から招聘され、球団内の支持基盤が弱い、落合監督ゆえの指名とも言えよう。
しかしながら、即戦力左腕、将来性のある大学生投手、即戦力内野手を補強したいという意図が明確にされ、それに従って、他に脇目もふらず指名した点は十分評価出来る。
今年は横浜の指名がベストといわれるが、チーム全体のバランスを考慮した補強という点では、12球団ベストは中日であろう。2・3年後、今年のドラフトを振り返ってみると、今年の中日のドラフトが実に効果的だったわかるであろう。
即戦力左腕3枚の指名は凄い。見事というより他ない。
西武との獲得競争に勝って獲得した自由枠樋口と早い段階から囲い込みの完了した4巡川井は即戦力として十分期待できる選手。
6巡目では中日が獲得する線が弱かった石井を指名した。横浜、日ハムが指名を予定していた即戦力左腕。上記2名の方が力的にはあると思うが、この左腕も今年の有力社会人左腕。
2巡中田と5巡鈴木は地方の大学生リーグを代表する投手。鈴木はともかく、中田は将来のローテーションの一角を期待される。
また、下位では貪欲に容赦なく野手を獲得した。
8巡小山は横浜高校時代は松坂と、亜細亜大学時代は木佐貫・永川らとバッテリーを組んだ有名捕手。肩の弱さとバッティングの悪さで、これまで指名されず、結局8巡での指名となった。しかし、よくよく考えてみると、今年横浜に在籍し楽天に無償トレードされた中村捕手は、ここ数年は肩が悪く、バッティングも悪かったが、1軍でレギュラークラスとして出場していたわけで、ひょっとするとお得な指名だったかも知れない。
10・11巡の即戦力内野手指名もそこまでするかっていう感じ。バッティングに秀でた選手でないということなので、鉄壁の井端・荒木のバックアップ要員としての指名であろう。
9巡金剛も社会人投手では有名だがプロレベル一歩手前というドラフトHPの評価なので、この選手の今後の活躍も見物である。
7・12巡の外野手もあえて獲得してくるところにも今年の中日ドラフトの意欲性が感じられる。


【ヤクルト】
自由 田中 浩康 内 早大
自由 松岡 健一 投 九州東海大
1 ×    
2 ×    
3 ×    
4 川本 良平 捕 亜大
5 上原 厚治郎 投 沖縄電力
6 丸山 貴史 投 愛工大名電高
  選択終了  

C(50)
地味。
ヤクルトのドラフト戦略は金をかけるところにはきちんとかける。同じ地味でも、このあたりが、
広島の縮小均衡ドラフト戦略とは異なる。この結果、常時Aクラスと常時Bクラスのチームの違
いになって現れていると思う。
自由枠の田中は今年こそ調子は今ひとつだったでショートを守ったりもしていたが、常勝早稲田
のセカンドを低学年の時から任されていた逸材。内野手のリーダーとして宮本的な役割を期待さ
れる。土橋、城石の後継。
もう一人の自由枠、松岡はドラフトホームページの評価は今ひとつだ。広島との争奪戦に勝って
指名にこぎ着けた。
4巡川本はポスト古田としての指名だが、同様にドラフトページの評価は低い。打つ方に難があ
るため。もともと社会人時代の古田はバッティングは良かったわけではないから、関係ないとい
う考え方もあるが。
5・6巡の投手は1軍に上がるまでは時間がかかるだろう。
以上からすると今年は将来性をかった選手の指名となった模様。しかし、今年は逸材が豊富であり、パリーグ球団および一場問題でセリーグの球団も混乱しており、これらの問題に無風であった
ヤクルトはもっと意欲的な指名が出来たのではなかろうか。
特に、ヤクルトの野手の高齢化対策に田中以外に手を打てなかったのは、ドラフト戦略上最大の
ミスといってもよい。ロッテ指名の竹原・大松の指名、日ハム指名の鵜久森、巨人指名の亀井、
横浜指名の桑原、ドラフト漏れの慶応の池辺、西日本短大付の竹上あたりは本気で狙えば、獲れ
ないことはなかったはずだ。
特に中長期的な外野手の補強戦略の欠如が気になるところである。
2名程度外野手を指名してもよかったと思し、もしそうであれば、70点の出来だったと思う。
来年以降の巻き返しに注目したい。


【巨人】
自由 野間口 貴彦 投 シダックス
自由 三木 均 投 八戸大
1 ×    
2 ×    
3 ×    
4 亀井 義行 外 中大
5 木村 正太 投 一関一高
6 星 孝典 捕 東北学院大
7 東野 峻 投 鉾田一高
  選択終了    
B(90)
自由枠2名はいずれも即戦力投手として十分期待でき、すでに10+α勝目処がついたと思う。
一場問題で、渡辺オーナー辞任に間で発展した今年のドラフトであったが、結果的には、この2名
の指名で、すでに80点以上の出来と言えよう。
4位の亀井も清水、斎藤あたりの後継として期待できる。
それ以降の選手は、おそらく現行の巨人の補強および起用方法を考えるとよほどのことがない限り、1軍で活躍するのは難しいと思われる。つまり、力がついてきたころには、その時々のスター選手をドラフトやFAで補強し、どうしても営業上や契約上補強選手を使うため、生え抜き選手が試合に出にくい状況にある。

2004年ドラフト総評 パ・リーグ編2

2005-02-27 10:28:32 | 野球
【日本ハム】
自由 × × ×
自由 × × ×
1 ダルビッシュ有 投 東北高
2 ×    
3 橋本 義隆 投 ホンダ
4 マイケル・ナカムラ 投 元ブルージェイズ
5 市川 卓 内 菰野高
6 菊地 和正 投 上武大
7 中村 渉 投 三菱製紙八戸クラブ
8 鵜久森 淳志 外 済美高
9 工藤 隆人 外 JR東日本
  選択終了    

C(50)
迷走。
昨年からドラフト直前まで、全くドラフトの方針が見えず、結果を見てもぱっとしない。今年はパの他球団がもたついただけに、十分勝ち組になれたはず。もっと有力な選手も獲得できる状況にあったはずだ。
他球団が注目した選手に手を出すみたいなところもあった。
トレード戦略は最近当たっているだけに、スカウト陣は来年以降、奮起が必要。
今年は、駒大苫小牧が夏の甲子園で優勝したこともあり、その中の目玉選手を囲い込んだ上で、獲得なんかも出来たはず。
補強ポイントは投手で明白だが、結果を見るとスカウトの努力の跡が見えてこない。
以前から追っていた選手を獲得したという感じが全然ない。他球団の動向にとらわれすぎ。
6巡菊池は秋の神宮大会で活躍した選手でコントロールの良い即戦力選手だが、直前に決めた感じが否めない。
7巡中村も都市対抗で突如現れた即戦力左腕で優勝候補の東芝を完封した注目選手。
8巡鵜久森は春夏の甲子園を沸かせた注目選手で、ドラフト直前は上位指名候補といわれていたが、ふたを開けてみると、獲得が噂されていた、ダイエー、阪神が軒並み回避。守備が悪い・弱肩との情報もあり、プロ向きでないと判断された模様。特に、実は獲得意志のなかったダイエーに利用された感があり、選手には気の毒に思う。見返してもらうよりほかない。日ハムの外野の選手層はレギュラー以外は手薄なので、将来レギュラーを獲れるチャンスも十分あるし、これが天狗にならないで精進する機会になれば、これはこれで案外本人のためには良かったかもしれない。
1位のダルビッシュが球界を代表する選手になりうる素材なため、今後どう成長するかは楽しみ。ダメになる可能性も十分あり、そのあたりが複数指名がなかった遠因でもある。本人および周りの環境次第。


【ロッテ】
自由 手嶌 智 投 新日本石油
自由 久保 康友 投 松下電器
1 ×    
2 ×    
3 ×    
4 竹原 直隆 外 三菱自動車岡崎
5 大松 尚逸 外 東海大
6 木興 拓哉 投 北海道栄高
7 青松 敬鎔 捕 上宮太子高
  選択終了    

A-(90)
グッジョブ。
ロッテ初の自由枠行使。これまでは人気がなくて、高校生を主体に指名する戦略で、選手を丹念に育ててきたが、ここ数年、営業努力が実り、地元中心に着実にファンが拡大して一昔前の不人気さがなくなったのも一つの要因だろう。
今年は、パリーグの各球団は大混乱し、ドラフト戦略も一様に迷走したなかで、パリーグの球団の中でドラフトでは最も成功したといえる。
自由枠の2人は即戦力として期待でき、2人で7勝以上は見込める。久保も松坂世代の最後の大物の実力派で将来にわたってロッテ投手陣の核となりうる投手。昨年はどの球団も下位で十分指名できるような状況であったが、今年は自由枠候補となるべく活躍をした。
オリックスあたりは昨年獲っていればと思うが。
4・5巡は社会人、大学の外野のトップクラスの有力選手で、よく獲れたと思う。手薄なロッテ外野陣の補強に合致する。この指名は上手い。
6・7巡は高校生の投手と捕手の指名。選手全体の年齢構成のバランス取るためにも良いと思う。
チームの補強ポイント、選手全体の年齢バランス(即戦力と将来性)、打者投手の左右のバランス他、いろいろな面でよく考慮された、チーム事情に見合った素晴らしい補強。


【オリックス】
自由 金子 千尋 投 トヨタ自動車
自由 × × ×
1 ×    
2 光原 逸裕 投 JR東海
3 ×    
4 町 豪将 投 JR九州
5 田中 彰 内 法大
  選択終了    

E-(20)
悲惨。
保有選手が多いからとはいえ、4人しかも、指名の意図がよくわからない。
近鉄時代は良質な高校生を中心に指名していたが、この結果を見ると、オリックス主導の指名の模様。
社会人の3投手は、即戦力型でもなく、プロのレベルには達していないというもっぱらの噂で、何のための補強かよくわからない。自由枠の金子に至っては、近鉄が自由枠行使後、自由枠取り消しを協会に申し出たという。肘の怪我持ちであるあることは、指名時点でわかっていたことだし、現場の混乱ぶりが伺える。
2巡光原は素材型でまだ時間がかかるし、4巡町も無名に近い。
即戦力投手の補強で進めたはずだが、結果を見るとそうなっていない。楽天ですら一場を除いて、あの程度獲得できたことを考慮すると、きわめて悲惨な状況としかいいようがない。
5巡田中はスラッガータイプの選手。6番打者で脆いところがあるが、これは旧近鉄系打者のカラーに馴染みやすく、案外スラッガーとして伸びるかも知れない。悪くない指名だと思う。
仰木監督は必ず球界のスター選手を育ててくるので、そのあたりは今後期待できる。しかし、おそらくこのメンバーではなく、既存の若い選手であろう。    

2004年ドラフト総評 パ・リーグ編1

2005-02-26 20:07:43 | 野球
今日からは2004年のドラフトについて、まずパリーグからコメントしていきたいと思います。

【楽天】
自由 一場 靖弘 投 明大
自由 × × ×
1 ×    
2 渡辺 恒樹 投 NTT東日本
3 ×    
4 西谷 尚徳 内 明大
5 塩川 達也 内 東北福祉大
6 大廣 翔治 内 東洋大
7 平石 洋介 外 トヨタ自動車
  選択終了    

C+(60)
時間がなかった割にはまずまずか。
一場がここに来るとは、今年のリーグ戦でパーフェクトピッチングをした時には考えられなかった。
4巡目以降は内外野各ポジションに、中位指名クラスの大学卒即戦力を指名した。
スカウトもいないし、スカウティングの期間もなかったことを考慮するとまずまずではないか。
2巡の渡辺はサプライズ、私の社会人左腕指名リストには入っており、即戦力として期待したい。
が、どちらかというと下位指名が理想だった。
三菱紙の中村を回避したが、渡辺と中村どちらがより活躍するか、後日の結果が楽しみである。
今年は、事情もあって高校生、地元選手の獲得をしなかったが、来年以降のスカウティングに期待したい。


【西武 】
自由 × × ×
自由 × × ×
1 涌井 秀章 投 横浜高
2 ×    
3 片岡 易之 内 東京ガス
4 山岸 穣 投 青学大
5 星 秀和 捕 前橋工高
6 藤原 虹気 投 琴丘高
  選択終了    

B(70)
実に手堅い。
自由枠で一場、樋口を狙い獲得できなかったが、それでもこの結果は悪くないと思う。
ドラフト直前まで1位指名に、江川(ダイエーと競合する)、高橋(横浜創学館)と涌井の3人の中で誰にするか迷ったようだ。
1巡涌井にとっては、オリックス(2位指名画策)に行くよりは、育成という点で西武の方が良かったと思う。
即戦力の山岸の獲得もいいところをついている。上背がないので他球団はそれほど獲得意欲はなかったようだが、東都の実績からすると、新人賞に一番近い選手ともいえ、初年度どう活躍するかが楽しみだ。
3巡片岡の指名も地味だが、ここらあたりが、西武が毎年優勝争いをしている戦力を保つ要因の一つのように思われる。必要な人材を中長期的視点から着実に補強してくるのである。
5巡星は東の高校生No.1捕手。西武の育成能力の高いファームでどう育てられるか。数年後が楽しみ。
6巡藤原は、かなりマイナーな、隠し球的指名で、ここも西武的。だが、ものになるかどうであろうか。


【ダイエー】
自由 × × ×
自由 × × ×
1 江川 智晃 投 宇治山田商高
2 ×    
3 高橋 徹 投 横浜創学館高
4 中西 健太 捕 北大津高
5 高橋 秀聡 投 九州共立大
6 加藤 領健 捕 青学大
7 定岡 卓摩 内 福岡工大城東高
  選択終了    

C+(60)
えげつない。
今年はダイエーの経営問題もあって金に任せた即戦力の指名はせず、高校生主体に指名。
広島3位指名予定の加藤をドラフト直前になって強奪。加藤の意志もダイエーに傾き、広島は指名回避した。ドラフト直前になって、ソフトバンクに経営権譲渡が確定し、資金力に見込みがつき、猛烈にアタックしたと思われる。近大の藤田ももっと時間があれば横浜から横取りできたかもしれない。
江川は中日が当初から熱心に誘っていたものの、社会人(シダックス)に行くといって煙をまく。
今年から始まったプロ志望届けを、確信犯的に時期をずらして提出する。ダイエー側の新ルールを逆手にとったあくどいやり口が見え隠れする。
高橋(秀)や定岡を上位で指名するように情報をリークし、ダイエー側から獲得するような情報が流れていなかった、高橋(徹)指名。このあたりの駆け引きは巧妙。
3巡高橋は、1位指名クラスの素材型高校生有力投手。西武、日ハム、横浜他が縁あれば獲得を予定していた。
4巡中西は西の高校生No.1捕手。日ハムあたりも狙っていた選手。
6巡目加藤は大学No.1の捕手。ダイエーの捕手の選手層は厚く、年齢層も低いので、守れる1軍半選手で終わってしまう可能性大。この順位で指名できるような選手ではなかったはず。
今年はダーティー感溢れるダイエードラフト戦略が炸裂した。

横浜ベイスターズ’04年シーズン回顧(外野手編)

2005-02-24 00:06:17 | 野球
00 河野友軌F
 オープン戦で大活躍して、一軍定着と思われたが、外野の選手層が厚く故障者もいなかったため出場機会に恵まれなかった。外野の左打者が不足していることもあり、使われる機会も増えることであろうから、来シーズンも期待したい。

 1 金城龍彦A
 今シーズンも野生味溢れるプレーで活躍した。監督の相性もあり、森監督時代は大スランプに陥ったが、牛島監督との相性はどうであろうか。走攻守揃ったプレーヤーで年齢的にもピークを迎えつつある。来シーズンも今シーズン同様の結果を期待したい。

 6 多村仁A+
 背番号が55番から若くなり、名実共にレギュラーポジションを獲得した。3割、ホームランも田代依頼の40本の大台を超え、守備も良い。今シーズンは年間通して働いた。一流プレーヤの仲間入りをしたといってよいであろう。チャンスでもよく打った。本当に素晴らしい選手に成長した。来期も今シーズン同様の働きを期待したい。

 7 鈴木尚典C-
 チャンスでは打てない、序盤不調と例年どおり。そして、今シーズンはついに3割を割り込んだ。ただし、5千万そこらの年俸ならともかく、彼の年俸は1億8千万である。いまや、野手の年俸不良債権の筆頭である。特に肩も悪く、2塁に走者がいて、レフト前ヒットであればピッチャーであろうとも楽々にホームインしていた。悲惨な状況。
 バッティングは復調の気配もなく、相変わらず内角低めの縦系の変化球に対し、条件反射のように手を出して空振りしていた。本当に攻められ方は単純。内角低めの厳しいコースでストライクをとり、外角高めあるいは外角いっぱいの変化球でファールをとる。配球順序は前後するがとにかくこのパターンで2ストライク取り、最後は必ず内角低めの落ちるボール。
 ベースに届かずワンバウンドするくらいのボールでも振ってくるので、面白いように三振が取れる。
 正直なところ、鈴木の生きる道は、左の代打の切り札といったところしか活路は見いだせないであろうし、そこでもう一花咲かせて欲しい。

 9 田中一徳C-
 守備固めと代走として起用され、そのあたりは問題ない。彼の一番の問題は、バッティングである。足の速さを生かしたバッティングが出来ないことだ。このへんは、阪神の赤星、ロッテの小阪あたりを見習って欲しく、彼ら以上の選手になって欲しい。危機感を感じている選手の一人であろう。昨今の横浜外野陣は充実してきたので、非常に競争が激しい。守備と打撃で実績のある金城、多村はレギュラーといえるが、多村とて怪我でもして調子が上がってこなければ小池あたりにレギュラー取って替わられる状況である。その外野陣のなかで田中の存在意義を問われかねないシーズンだったといえる。
 守備に関しては小池、南の方が魅力的だし、走力・走塁技術・バントなどの技術では野中の方が上なのではと思わせる。
 打撃も古木は別格にしても、小池、南、西崎と比べても劣る。左打者の優位性という点では、河野の成長が著しい。曲者としても、河野は曲者度は上といえ、桑原なんていう新人も加入する。こうした状況からすると、田中一の強みが他の選手の台頭によりアドバンテージがなくなりつつあり、やばい立場にあるといえる。もう一度、原点に立ち返って、自分の強み、走攻守それぞれ鍛え磨くべきであろう。ある意味、正念場にさしかかっているといえる。

33 古木克明C-
 一体どうしちゃったんだろう。6月少し活躍したがその後はサッパリだった。外野で守備の負担が減ったにもかかわらず。
 外野の守備も今ひとつで、そのあたりから調子を崩していったのも事実。そろそろ勝負に出ないと中途半端な選手になってしまい、使う側からも左の代打程度しか使えない。打撃の確実性と最低限の守備課題は見えており、これを克服すると、1億円プレーヤへの道も開けてくるのがわかっているだけに、もっとアグレッシブ、ポジティブに野球に取り組んでもらいたい。

51 田中充F
 今シーズンは故障でファームの試合にもほとんど出ていなかったはずだ。長い間ファームにいて、例年私の解雇リストに挙がっているが、しぶとく残っている。シーズン後解雇最有力だと思われたが、首の皮一枚残った感じである。
 正直なところ、私は田中充解雇で七野の解雇は無くても良かったと思う。そう思った横浜ファンも多くいたはずだ。恵まれた体格ではあるが、怪我が多い。にもかかわらず、まだ解雇されないところからすると、何かまだ期待させるものがあるのだろう。外野のポジション争いはシーレックスにおいても熾烈極まる。来期どういう形で、プレーするか。七野の分までがんばって欲しい。

56 小池正晃F
 ファーム。この人もいつ1軍で結果を出してもおかしくない選手。来シーズン野手でブレークするとしたら、おそらく、小池であろう。1軍でもっとチャンスをあげたい選手の一人。来シーズンは是非チャンスをものにして欲しい。走攻守揃っバッターとして凄く期待している。勝負強いバッターになって活躍して欲しい。

64 南竜介F
 ファームでは外野のポジションを獲得した。1軍の試合でも少しずつ使ってもらえるようになった。ヒットも打ったし、守備は1軍で十分通用する。肩の強く、捕殺で見せられる選手である。来年は飛ばないボールに変更になるため、外野の守備力が
 勝敗を左右する場面も増えることが予想されていることから、南にチャンスが廻ってくることも十分考えられる。
 小池の次にブレークする確率は高い。総合力では小池が若干リードしているが、一軍定着の田中一を超えていると思う。
 南が一軍の座を確かなものにする環境は整いつつある。さらに精進して是非ブレークして欲しい選手の一人。

横浜ベイスターズ’04年シーズン回顧(内野手編2)

2005-02-23 12:28:45 | 野球
31 吉村祐基F+
 2年目だが、すっかりファームの主力選手に定着した。守備にまだ難があるため、1軍ではなかなか使い難いが、外国人選手や主力選手が故障した場合は直ぐに1軍で使える選手になりつつある。遠くに飛ばす能力、チャンスに強いなど、魅力満載の選手である。さらなるレベルアップに期待したい。

44 ウッズA-
 今シーズンもホームランを量産した。横浜スタジアムが飛距離の出るラビットボールを使用したこともあったが、とにかくホームランをよく打った。ウッズの凄いところは、今シーズン打率を上げるべく、ボール球に手を出さなくなってきたことである。また、右方向への打球も増え、打率アップの要因にもなった。シーズン終盤は、シーズン後の移籍問題やチームが低迷してきたこともあり、集中力が切れホームラン狙いに走ったところがあった。守備はまずいのは承知の上に起用であるからその点は致し方ないとしても、得点圏打率があまりにも低かったのは致命的であった。2割ちょっとだった。
 佐伯とウッズがチャンスで打てばすくなくとも最下位は無かったはずだ。
 シーズン後は噂通り、中日に移籍した。タイガースとの獲得競争になり、年俸も高騰した。2年10億の契約だったか。
 しかし、36歳になり、得点圏打率が低く、さらに来年はラビットボールの使用もなくなるし、守備の難や年俸のバブル的な高騰を考えると、横浜としてはウッズを切る良いタイミングになったのは偽らざるところであろう。
 来シーズン、高年俸になったウッズがそれに見合う働きをするかどうか注目したい。

45 福本誠F
 ファーム暮らしが中心。堅実なプレーが持ち味で、個人的には万永を起用するくらいであれば、福本の方がよっぽど良いと思っている。来シーズンは是非40試合程度出場して欲しい。藤田の加入で守備系内野手争いは激しくなるが、伸びシロもないし、プレーヤーとしての正念場にさしかかっているといえる。

53 野中伸吾F+
 横山とのトレードで日ハムからやってきた。シーズン後半1軍で代走として、快足ぶりを遺憾なくアピールして。走塁技術走力に関しては、同じ役所の田中一を既に凌駕していた。というここれば、田中一の走塁技術が思うように伸びていないことが最大の理由であるわけだが。横山がリリーフエースになって救援王を取るなどの活躍に比べると見劣りするが、横山が横浜にいたところで、状況に変化がなかったと思われるので、横浜にとって悪くないトレードだったと思う。
 野中の加入は、横浜の機動力を活性化させる上でいい刺激になったと思う。もともとドラフト指名予定だった。念願かなって獲得でき、活躍の兆しもみせた。まだ、プロの体とはいえないのでそのあたりを克服すれば、2番タイプの適任者が不在のため案外早い段階で1軍での出場機会が増加するかもしれない。内川が怪我ばかりしていたり、藤田が伸び悩んだりするとひょっとするとレギュラーポジションをとる可能性もある。

55 呉本成徳F
 ファームでそこそこ出場していた模様。牛田4巡指名のための措置として指名された感がある。今後どのような形でプロの世界で生き残っていくのだろうか。役所が非常に曖昧である。

66 木村省吾F
 今シーズンは石井が復調したため1軍の出番は少なかった。来シーズンは藤田の加入もあり競争が激化すること間違いないが、監督も替わり起用チャンスも今まで以上にある可能性もある。まずはファームでしっかり結果を出したいところだ。
 万永の高齢化、福本の伸びシロ、北川のもたつきを考慮すると、内野のユーティリティプレーヤーを狙っていくと十分その役所を掴むことは可能だと思う。したがって、堅実な守備と状況に応じた打撃に磨きをかけるべきだ。種田選手は木村の将来像としてなるのではないだろうか。

77 七野智秀F
 ファーム打撃の中核。ポジションがファーストということもあって、なかなか1軍の出場機会に恵まれなかった。しかし、それはどこのチームでもあることで仕方がないといえ、もっと力をつけるしかない。代打で登場する機会は少ないがゼロではなかったので、少ないチャンスをものにするしかなかったのだ。だろう。近年右のスラッガーを中心に獲得してきたこともあり、実は左のスラッガー・中距離ヒッターが佐伯ぐらいしかいなくなったことは彼にとって有利な状況だった。
 しかし、ファームでの打率が上がらない七野に対し、シーズンオフ非常に厳しい解雇という判断を下すことになった。
 他球団から声がかからなかったことからするとその程度の評価だったのであろう。横浜のチーム状況からすると、七野の解雇は早すぎという意見も多く、私のその意見を支持する。佐伯、古木の次の中長距離左打者を獲得するあてでもあるのだろうか。

今後の投稿予定

2005-02-22 00:26:52 | 野球
ここを見に来てくださって、ありがとうございます。
今後のベイスターズ関連の2月、3月までの投稿予定は以下の通りです。お楽しみに!

04年回顧録 内野手編2、野手編1・2
04年ドラフト 寸評パリーグ編、セリーグ編1・2
05シーズン 投手編成
05シーズン ベストオーダー
05シーズン ペナント予想
スカウト戦略(春)
スカウト陣寸評

横浜ベイスターズ’04年シーズン回顧(内野手編1)

2005-02-22 00:09:53 | 野球
 0 万永貴司C-
 相変わらずどベテランの割に軽率なプレーも目立った。バイプレーヤーとして長く起用されていたが、万永に替わる選手も育っており、プレー内容を考えると、私は昨シーズンもそして今シーズンも解雇と思っていた。結局は首はつながったが、苦しい立場的に変わりはない。走塁ベテランらしからぬプレーは改善してもらいたい。個人的には、万永の役所は、北川で木村で足りると思う。

 2 内川聖一B+
 今年も、結果を残す。打率も良いし、チャンスにも強い。問題なのは、チャンスを掴みかけたときに怪我をすることだけだ。
 最低限怪我をしない体作りはオフにしっかりしてもらいたい。内川が離脱すると負けが込んでくるのだ。
 内川の怪我がちの面を考えると、個人的にはセカンドにレギュラー固定して起用したい。また、故障したときには、種田他を使えば良いと思う。

 3 種田仁C+
 状況に応じたプレーでき、チャンスにも強かった。守備もまずまず。1年間着実にプレーした。十分評価にあたいする。また、独自のがに股打法で、それをまねする観客達で外野席を沸かせた。全国区でその個性的で広く知られるようになった。生え抜き嫌いの横浜ファンにも受け入れられるようになった。
 しかし、シーズン終盤3割確保のため、倫理に悖るプレー、例えばセーフティーバントをしてその後直ぐ牽制死になるという、八百長的な不可解プレーを見せ、野球をよく知るファンをしらけさせ、若手選手に悪影響を与えた。かなり悪質なプレーでありはっきり言ってそんなことまでして3割取って自分自身や家族に対して恥ずかしくないのかと思う。

 4 北川利之F
 今年はファームではそれ程出場していなかった。基本的には山下監督に毛嫌いされていたようなので、来期は心機一転して、活躍して欲しい。

 5 石井琢朗B
 昨年の大不振、近年の不振傾向を払拭させる活躍をした。シーズン通して働いた功績も大である。これくらい働いてもらえるとファンとして本当に嬉しい。昨シーズン前は私は石井からレギュラーを取り去るべきである酷評したが、高額年俸に見合う横浜の数少ない選手となった。おかげでチーム状態のここ2・3年に比べてガラリと様変わりして今年は最下位脱出目前まできたものであった、終盤力尽きた。
 研究され尽くされた石井の打撃の弱点を克服したのであろうか。選球眼の低下も改善されていた、また、ファールで粘ってファーボールをとるなんてことも増えた。下半身の粘りが出て、近年ほとんど出来なかったキレのいい外角低めの球の対応も出来ていた。
 04年度が最後のあだ花だったのか試される来シーズンである。

10 佐伯貴弘B
 シーズン通じて安定した成績を残した。シーズン後、FA宣言してもめたが元の鞘に収まった。左の中距離ヒッターとして3割を超えるアベレージを残し、本人最高の成績を残すことが出来た。
 ところが、実際にはチャンスでの凡打が非常に多く、打率ほど活躍はしていない。佐伯に求められるのはやはり勝負所でのバッティングであろう。来シーズンは就寝選手として得点圏打率や打点に期待したい。

23 小川博文D
 1軍での出場機会もなく、ファームでもほとんど出場しなかった。昨シーズン引退するはずの選手だったこともあり、ちぐはぐなプレーヤーとしての晩年だった。今後指導者としての活躍されることを期待したい。

25 村田修一C-
 2年目のジンクスか伸び悩んだ。守備も元々悪くないはずだが、どうも迷いがあるようでよくミスをしてチームの足を引っ張っていた。ポジションも完全に種田に取られた。代打出場も多くじつに勿体なかった。ポテンシャルは高いので、きっかけさえあればまた伸びてくるはずであり、来シーズンは期待したい。

横浜ベイスターズ’04年シーズン回顧(捕手編)

2005-02-21 06:51:25 | 野球
 8 相川亮二B-
 背番号も59から8に変わった。球団の期待の表れである。04年はアテネオリンピックのメンバーにも選出された。捕手ならヤクルト古田、巨人の阿部、阪神の矢野、中日の谷繁とオリンピックメンバー候補に事欠かないと思われるのだが、
 各球団から2名ずつの選出という取り決めのあやで選出された。アテネメンバーの捕手は他に城島しかいなかったわけで、相川の選出はちょっとまずいのではないかと今でも思う。
 日本代表に選ばれたことや球団からの期待という環境面の変化、そして本人の自覚もあり、今シーズンは期待通り働いた。
 正捕手の座も曲がりなりにも獲得した。ただ、期待以上に働いたとはいえないだろう。他球団の正捕手クラスに比べると配球なんかまだまだ見劣りした。
 バッティングや打撃は他球団の捕手に見劣りしないので、ディフェンス力の向上に今後期待したい。来期は中村もいなくなり、相川への負担も多くなる。本当の正念場はこれからであろう。

26 小田嶋正邦C-
 成長の跡が見えない。一軍に帯同しているものの、捕手としての実践機会が少なすぎる。来期は中村がいなくなるので、もう少し出場機会が増えると思われる。同年入団の広島の石原がレギュラーを掴んだことを考えるともっとがんばれといいたくなる。ディフェンス力に劣るといわれているが、小田嶋の場合は配球やキャッチングなど出場して覚えていくことが多い。
 バッティングは1軍で十分通用するレベルにある。来シーズンはセパ交流戦でDHでの出場機会も増えるであろうし、打者としても期待したい。ディフェンス力のある捕手の新規加入はなかったので、来シーズンは相川につぐ2番手捕手を鶴岡と小田嶋で対応せねばならない。キャッチャーのレベルアップ・底上げはチームとしても課題でもあるので、小田嶋の一層の飛躍が期待される。
   
29 新沼慎二F
 ファームでの正捕手の地位を武山に奪われチーム内のポジション的には厳しい状態にある。小田嶋、鶴岡に次ぐところにいるには違いないが、相川を含めた3選手が怪我を下なんかという事態になると、今の新沼の状況からすると悲惨なチーム状況になることが予測される。だからこそ、新沼の成長を期待していたのだが、今シーズンはほとんど成長の後が見られな
 かった。捕手不足から来シーズンは1軍出場機会は確実に増えるはずであるから、いつまでも腐っていられない。
 1軍に帯同することになるであろうから、まずそこで少しでもレベルアップをしなければならない。本人も地味ではあるがそのあたりの努力しようとする気にならねばならない。ドラフト2位入団の選手で、8年目になる。この程度の選手ではないことをだれもが知っているはずだし、なにより本人がそう思っているはずだ。来シーズンは捕手の一角を担う選手として捲土重来を期待したい。また、そろそろ1軍で結果を出さないとやばい立場でもある。

36 中村武志C-
 弱肩で今年も走られまくっていた。それでも、中村を使いつづけなければならない選手層の薄さの方に問題がある。年齢的な衰えもあり、新球団楽天へ無償譲渡されることになった。私としては横浜に残って2軍のバッテリーコーチとして若手捕手を一人前に育てる仕事をして欲しかった。

57 鶴岡一成C+
 今シーズンはほとんど1軍におり、着実に出場機会が増えた。特に特筆すべきは、オリンピック期間正捕手相川が不在時にチームレベルを落とすことなくしっかり代役を務めたことであろう。本人にも自信につながったに違いない。従来バッティングに難があるといわれていたが、実践では予想外に打っていた。また、良いところで打っていた印象もある。ここまで来るのに色々苦労があったと思うが、良くやってきたことをまず評価したい。
 来期は2番手捕手になり、その重責はこれまでの比ではなくなる。今のところ、リード面では相川に引けを取らないので、今後の精進次第では十分相川を脅かす存在になりつつある。
 昨年の収穫に一つでもある。

61 武山真吾F+
 ファームの正捕手の座を確保した。今シーズン、ファームで一番伸びた選手といっても過言ではないであろう。
 肩、バッティングだけでなく、キャッチャーとしてのセンスもあるようだ。将来の正捕手としての期待度が高い。
 あと1・2年ファームで鍛えて腕を磨けば十分正捕手を狙えるポジションまで来ている。

65 西崎伸洋F+
 ファーム暮らし。捕手登録しているが、外野手にコンバートされたとみて良いであろう。シーレックでは右翼の1番を任され、シーレックスの核弾頭として十分機能しているようだ。ファームのレギュラーポジションを手中に収めた模様。
 シーレックスの外野は小池、南と一軍で十分に働ける選手であり、彼らの次に位置づけられているから、相当期待度も高いのであろう。その期待にも応えている。正直なところファームも含めて横浜の外野手の選手層は近年に無く厚い。
 その原動力となっている要員の一つとして、西崎のファームでの活躍があるといえよう。1軍で試合に出るのも大変だがファームの試合に出ることすらうかうかすると出来ないのである。

69 渡辺雅弘F-
 ファーム。シーズン後解雇。東北高校の同期でありドラフト1位クラスの後藤を3位で指名するにあたり、その見返りとして入団した感があった。入団時から体、センスともにプロでは厳しいといわれていた。ファームでの出場機会は毎年10試合程度でバッティングは貧弱で苦しい状況ではあった。入団4年目で21歳という若さでプロの世界を去ることになったが致し方ないと思う。球団に裏方として残るという。努力家といわれており、今後横浜に選手とは別な形で貢献されることを期待する。私としては、教員資格をとって、アマの指導者となって、良い選手を発掘・育成する道に進んで欲しく、そのキャリアと人望もあると思うのだが、いかがだろう。

横浜ベイスターズ’04年シーズン回顧(投手編2)

2005-02-20 12:35:15 | 野球
28 秦祐二F
 そろそろベイスターズで活躍してもらわなければならないのだが、今季は専らシーレックス。シーレックスの結果も今ひとつ。牛島マジックに期待。

30 田崎昌弘F
 今季、西武土肥とベイスターズの東とともにトレード。ほとんどシーレックスだったので少し心配だった。中継ぎの玉が揃ってきたため、チャンスに恵まれなかった。球威、コントロールもそこそこあって、潰しのきく中継ぎとして、今季もがんばってもらうはずだったが。ここ一番で甘くはいる癖があって、正直勝敗がどちらかわからないような試合での起用された場合、恐ろしくて見てられなかった。相当数、勝負所で打たれていた。この癖さえどうにかなれば十分通用する選手であるので、新天地での活躍を期待したい。

30 土肥義弘B+
 左の中継ぎ補強を目的として、西武から交換トレードされた。本人は西武では先発を希望していて、中継ぎに使いたい西武首脳陣にほされた状況になっており、渡りに船であった。ベイスターズサイドも当初は中継ぎでの起用を考えていたフシがあるが、結局左の先発不足のため、後半戦では希望通り先発で起用された。
 試合中盤まで試合を壊さず、先発としての役割をしっかり果たしていた。セ・リーグに慣れるまで時間がかかるかな、とも思われたが、コントロールが良く、ボールにキレがあった。

32 河原隆一D
 今季は一軍で投げる機会も無かった。そもそも、なぜいまだに、解雇されていなかったのかわからなかった。
 シーズン後、トレード要員となったが、引き取り手が無く解雇され、スカウトに就任した。
 ドラフト時には争奪戦の末、相思相愛で逆指名により横浜に入団。コントロールが覚束なく、プロとして大成することはなかった。
 河原の扱いをみると、近年アマの有力選手に横浜が人気があるのも頷ける。結果的にプロでの結果が出なくても、相応の生活保障的な扱いをしてくれるからだ。その点、巨人・阪神に比べると魅力的かもしれない。選手層の薄さ、すなわち、一軍での出場機会に恵まれる、結果が出なくても、他球団に比べると面倒見がよいところは、アマの不安心理に応えてくれているようだ。
 スカウトでは地元神奈川担当になるようだ。地元重視のチーム作りにあまりにも出遅れた感のある横浜だ。横浜高校以外ほとんど神奈川出身の選手を取っていない。中日の方が神奈川出身者が多いくらいである。また、今後東北ルートでの人材確保も難しくなってくると思われるため。地元での人材発掘、確保は横浜にとって急務の課題といえる。横浜高校だけでなく、地元神奈川からの幅広い、素晴らしい逸材の確保に是非がんばってほしいと思う。河原自身の人柄もよいと伝え聞く。もともと、人口も多く、高校野球・社会人野球は強豪チームが多く、野球の盛んなところである。河原がスカウトとして活躍できる素地は十分にあるといってよい。
   
34 山田博士C
 潰しのきく中継ぎとしてシーズン通してよく働いたと思う。生え抜き好きの横浜ファンからの評価は高くないかもしれないが私は評価している。山田自身の投手のキャパとしてはよくやっていると思う。ストレートとスライダー主体のピッチングで、試合の中盤を作っているが、球種が限られているため、捕まることもままあった。緩急があればと思うこともあるのだが、彼の投球フォームではカーブを投げるのが難しいと聞いた。
 勝ち試合も負け試合も関係なく登板するため、調整も難しいとは思うが、誰かがしなければならない仕事。来期もフル回転で中盤のゲーム作りで活躍することを期待したい。

35 牛田茂樹F
 開幕時点では、シーズン後半に出てきてそこそこ働くかなあと思っていたが、何試合か上で投げたが、結果は押し出しファーボールがあったりと散々だった。プロの壁は高かったようだ。
 角度のあるストレートとフォーク、素材的には素晴らしいものがあるので、ファームでも結果を出しているので、来期は一軍での結果を期待したい。セットアッパーあたりでがんがん活躍してくれると嬉しいのだが。

36 村西哲幸F+
 今季は一軍での登板機会もあり、いよいよ芽が出てきなと感じさせるシーズンだった。来期は同世代新人の加入もある。
 いつまでもファームでばかり投げるという状況でもなくなっている。ポジションとしては中継ぎの一軍ボーダーといったところまで既に来ている。あとは巡ってきたチャンスにしっかり応えるだけで。加藤が先発に廻り、デニーが退団といった状況から川村、木塚、吉川、山田らが右の中継ぎを任されることになる。川村の高齢化も考慮すると、枚数的にも足りず、自ずと村西あたりが台頭してくれないとチームとしても苦しいのである。ピッチングセンス、マウンド度胸、昨年の上での試合を見る限り、悪くない。慣れてくると十分戦力になると思う。

37 富岡久貴D
 昨シーズンは中継ぎで多用されたが、今季はほとんど一軍で投げることが無かった。が、その少ない登板機会のなかでプロ10年目にして初白星を挙げた。その試合をテレビで見たが、少しジーンときたものだ。
 ただし、左手でスピードボールというだけで戦力にはならなかった。シーズン後、解雇され、西武に入団することが決まったようだ。
 140キロを超え150キロ近いスピードボールをもっているが、コントロールが悪すぎる。高めに行くことも多いし、四球も多いし、甘めに入って打たれることも多い。トレードが多いのも、出て行くチームでは左投手として使えない、入るチームではこのスピードボールにコントロールが伴えばという期待からであろう。結局スピードに頼って、ボールの出所が見難いフォームにするとか、コントロールをよくするためにどうするとかの研究・挑戦を怠ってきたと思う。
 素材を生かし切れずに、漫然とその日の調子で投げ続けるという、なにか非常に勿体ない気がする。

38 稲嶺茂夫F
 一軍では左の中継ぎ不足でとんでもないことになっている、ファームで結果も出して1軍でもそこそこの結果を出していたにもかかわらず、1軍で投げる機会が無かった。不可解。年齢的にも上でバリバリ投げてもらわなくてはならない選手。絶対的なボール欲しい。絶対的なボールさえありさえすればワンポイントで相当重宝するはずだ。スピードが140キロに満たないため目立たないが、コントロールは悪くないので、是非そのあたりに取り組んで欲しい。全体的に特徴がないので、かえって使いにくくなっている感もある。いくら左投手の少ない横浜といえども、このままだと、伸びシロもないしプロとしても厳しい。

40 マレンB-
 左の先発として1年間ローテーションを守って機能した。ローテという意味では三浦に次ぐ働きで、左腕では一番の働き。それでも、横浜はマレンをシーズン後解雇した。解雇の理由が不明。私は来期契約するのが正解だったと思う。
 試合前半で投球が単調になって、大量失点するケースも多かったのは事実。日本の野球に慣れて、来シーズンに向けてさらなる投球術に取り組んで行けば、来期はもっと活躍できたと思う。29歳という年齢的なことも考慮すると来シーズンも横浜でプレーすべきだったと思うし、結果にもつながったはずである。左腕不足という編成上のいびつさ、未知数の外国人左腕や有力左腕新人投手への過度の期待するリスク、現場は計算し難く戦い難いと思う。このあたりは、山中専務から、編成にたいする説明がないと、ファンとしてはこの陣容でシーズン乗りきるつもり?と編成能力を少し疑わざるを得ない。

41 デニーD+
 今季は序盤中継ぎので失敗も多く、後半はファーム。シーズン後、自由契約で大リーグに行くこととなった。年齢的には今年の出来は仕方のないところで、最後に大リーグで一花咲かせるというのも悪くないか。
 チームの功労というわけでもないが、ドラフト1位入団で長いこと芽が出ず、トレードされた西武で活躍、また古巣に戻って少しだけ活躍した。横浜に復帰したときには、コントロールが大分よくなっていた。しかし、年齢的なスピードの衰え(140キロ以上は出るが)、ボールのキレも今ひとつ、そして、コントロールが緻密でないということもあって、それなりの活躍に留まっていた。ちなみに、大リーグで高齢にもかかわらず活躍した高津はスピードは無いが、大リーグにはなくしかも絶対的な自信のあるシンカーを持ち、ボールがストレートと同じ軌道から変化するなど、デニーに比べると投球術が数段格上である。デニーがどこまで活躍するか見物である。

46 谷口邦幸F
 今季はファーム暮らし。故障からの復活が望まれる。年齢的にも来期あたり働きがない場合、トレードあるいは最悪解雇の恐れがある。山田のような毎試合出る中継ぎで使われるのが適性的によいのではなかろうか。先発ではきついように思われる。ハートが弱そうなので中継ぎで登板機会を多数作り、まず再度を実績を作って欲しい。

47 堤内健F
 今季は肘の手術のため登板機会なし。前シーズン終盤1軍で先発デビューし期待していただけに残念だった。生きのいいボールを放っていた。まずは怪我をしっかり治し、次にアバウトなコントロールを修正して欲しい。来期はファームの先発中核としてきっちり仕事をしてくれればと思う。同年代の期待投手がぞくぞく入団してきたので、切磋琢磨することを期待したい。

48 後藤伸也F
 今季もファームの先発主力選手として活躍していた。時々、序盤で崩れることもあり、その課題は改善されていないようだ。もう一皮むければとは思うもの、ファームスレの気配もあり、秦と共に、そろそろ1軍にさせる時期では無かろうか。土肥を西武からトレードするにあたり、西武側は秦あるいは後藤を要求してきたらしい。結局、もう一人の若手のホープの東を放出する形になったが、他球団からの評価が高いということは、それだけのポテンシャルを既に持っているということだ。私はファームで勉強させるよりも一軍で投げさせた方が本人のためチームのためにもなると思う。西武にトレードされ一軍で結果を出している東の活躍がその証左であるといえよう。

52 宇高信次D
 矢野とのトレードで近鉄から移籍。当時ドラフトでも確か狙っていたが近鉄に1位入団。ここ2年1軍での登板機会がなかった。結局ファームで投げる機会も少なく、結果も出なかった。やはり故障で既に使えそうになかったのかもしれない。

60 飯田龍一郎F
 ファーム暮らし。プロの少しずつ体になりつつあり、イースタンでの実戦経験も増えている。成長が楽しみな左腕。

62 東和政F+
 前シーズン清原にデットボールを与え、清原のセリーグ投手への内角攻め防止の威嚇としてスケープゴートになってしまった感があったが、結局それからメンタル面から調子を崩していた。シーズン序盤中継ぎとして登板するが、よい出来とはいえなかった。チームが左投手不足という事情のため、西武にトレードされた。将来の中心選手として私は大変期待していただけに大変残念だった。アマにいて順調に成長していれば、自由枠クラスの選手だっただけに、
 西武が一枚上手だったかもしれない。結果としては、二人ともそれぞれにチームで活躍して、今シーズンに関する限り悪いトレードではなかった。また、そのままセリーグにいても、本人がよっぽど吹っ切れないと伸び悩んでいたと思われるので、本人の野球人生にとっても環境を変える意味で良かったと思う。このあたりは横浜の温情的な配慮がキラリと光った。

63 千葉英貴F
 ファーム暮らし。徐々に登板機会も増えている。来シーズンはファームの投手陣の中心選手になるくらい台頭してくることを期待したい。1年目の森監督の最終シーズンで上で登板したとき生きの良いボールを投げ、体格的な素材的のよさも感じられた。怪我無く順調にきているので、来シーズンのさらなる成長に期待する。

67 鈴木健之F
 故障のためファームでも登板機会が極端に少なかった。シーズン後解雇された。どういう投手かわからずじまいのうちにプロを去ることになり残念だった。

横浜ベイスターズ’04年シーズン回顧(投手編1)

2005-02-19 19:19:10 | 野球
11 斉藤隆C-
 給料の割りに働きが悪い代表格。先発ローテを守るぐらいの働きはして欲しいし、まだ出来ると思う。昨年と同文。
 今年も精彩を欠いた。トレード要員でも良いと思う。来年が勝負の年になることに相違ない。

13 岡本直也F
 ファーム。あまり成長のあとが見られなかった。来年はファームで左投手の軸になることを期待したい。

14 若田部健一D-
 今年も怪我で結果を出すことが出来なかった。来期の横浜に本当に必要な人材か疑問。
 FA獲得はいまのところ全くの失敗。ただ、将来球団の幹部候補として、投手コーチ、ダイエールート、横浜地元ルートの核になってもらいたい、キーパーソンだとは思う。

15 森大輔F
 超大型素材として自由枠で獲得。が、噂通りイップスであることが判明。ファームで1回投げたが全然ストライクが入らなかった。直る病気ではあるが、直った上、使い物になるかどうか今のところ不明。

16 川村丈夫C+
 今年も昨年に引き続き調子が良く、中継ぎ陣の中核としてよくがんばっていた。しかし、連投で疲れてくると、相変わらずいい所でを打たれていた。連投しないような配慮があれば、もっと良い結果になっていたと思う。
 まだまだ、力はあるので、来期牛島監督の起用方法に注意目したい。

17 加藤武治B
 今年は先発としてローテを守り、よく抑えていた。スタミナがなく、加藤投手が交代した後、中継ぎが打ち込まれて敗戦するケースが多々あった。来期は中継ぎでという声もあるが。私は、来期も先発で働いて欲しいと思う。
 課題は、スタミナと球種の少なさと言われているので、オフの体作りおよび研究・新球種の取得に期待したい。

18 三浦大輔B
 例年、シーズン中盤で疲労。体調不良のため離脱するが、今年はアテネオリンピックの出場もあって、よい休暇期間となり年間通して働いた。年間働いたのは、私の知っている限り初めてだと思う。とはいうものの、やはり肝炎持ちなので、来期も負荷をかけないように一般より長めの間隔で投げさせ、梅雨時から夏場も大事に使ってほしい。無理に使う、あるいは普通に使うと必ずダウンする。
 今年は、打線の援護がなく、終盤力尽きて捕まるといった試合があって、気の毒だった。
 投げたときは相応に安定していいピッチングをするので、上手に使いたい選手。この辺の起用方法は牛島監督に期待。

19 ギャラードD-
 途中帰国。セットアッパーで起用するもののただ速いだけのボールでコースも甘く、よく打たれて、シーズン早々に離脱した。

20 木塚敦志C
 年間を通じて、中継ぎの中核として登場するものの、よく打たれていた。しかも、試合を結果付ける場面で。
 2・3年前の故障から復活はしたものの、当時の球威と切れには陰りがある。年齢的には、横の変化だけではなく、
 シンカー系も取得して、さらにアバウトなコントロールからの脱却を図る時期に来ていると思う。

21 吉見祐治C-
 投げても投げても打たれていた。今年も悲惨なシーズンだった。直球の急速が140キロ出ないというのも問題がある。
 オフシーズンしっかり体を作らねばならないというのも去年と同じ。
 最下位戦犯の一人だが、給料がそれほどでもないので、他の戦犯連中よりはややましというのも昨年同様。
 シーズン終盤後一人でノーヒットノーランという試合があり、これを復活のきっかけにしたい。

22 佐々木主浩C-
 佐々木の日本球界復帰は私は反対の立場。予想に反し、シーズン中盤までは140kmの切れないボールでも顔で、抑えていた。そして、佐々木のおかげで、横浜もAクラスを伺える良い位置をつけていた。シーズン中盤のヤクルト戦で3戦連続失敗し、特に最後の試合では3連続ホームランを浴びた試合は、佐々木の引退を強く感じさせた。
 こうしたシーンは、日本球界に復帰すると聞いたとき、ある程度予想していたものの、大洋-横浜ベイスターズ最たる功労者の一人ということもあって、ファンの一人としてショックだった。
 引退報道もあったが、リリーフの記録もあってかうやむやになる。結局、この試合でBクラスが決定的になった感じで以降、勢いが全くなくなった。
 シーズン終盤、いかにも佐々木が好きそうな榎本加奈子と不倫騒動に。シーズン前は、子供、家庭を大切にしたいから帰国したいって言ってたのに。
 横浜は大人しい性格の人が多いので、まあこれくらいのキャラがいてもいいとは思う。
 ただし、この成績では5億払う価値はない。
 佐々木がもっている内に、早急に次の新しいリリーバーを育成・用意するはずだったが、結局は出来なかった。門倉が終盤リリーバーを勤めたが、あまりにも準備が遅かった。
 来期もプレーするという話だが、プレーヤーとしての晩節を汚さないで欲しい、横浜ベイスターズのファンとしては既にタオルを投げ込んだつもりである。

24 門倉健C
 関西在住の私は近鉄時代、好調の時は手がつけられないほど鬼神の投球ぶりを見て、実は密かに期待していた。絶対的な好調時は結局のところなかった。
 前半戦は先発を任されていたが、序盤で試合を壊すことが多々あった。
 佐々木がリリーフから離脱したとき、急遽その大役を担った。やはり、急造のリリーフという感は否めず、相当数の試合を彼の失敗で落としている。
 もちろん、門倉一人の責任ではない。開幕当初から、佐々木がどこまで通用するか不安視されていたわけであり、私は佐々木の日本球界復帰すら疑問視していたくらいであるから、佐々木に替わるストッパーの人材育成を怠った、首脳陣や編成の責任の方が大である。

27 土居龍太郎F+
 何試合か彼の投球を見た。彼の球威、コントロール、球のキレを見たとき、横浜にこんなにいいピッチャーがいたのかと正直驚いた。
 もう少し我慢して、先発で使っても良かったと思う。何回か失敗した後、自信をつける前に、ファームに落ちた。
 横浜の一軍に定着しないピッチャーが欠けているのは、私は一軍当番経験だと思う。2軍で好投して、1軍に上がってきても、自分に何が不足しているかを知る以前に緊張したり、舞い上がってしまうことで降格することが多い。したがって、1軍の試合に通用するために何が必要かを体感する機会があまりにも少なすぎる。広島のように人材不足のため酷使して壊れるのも問題あるが、横浜の場合は違う。今期日ハムにトレードされ、最多救援の栄誉を勝ち取った横山の活躍をみて、つくづくそう思った。彼も日ハムで前半戦投げているときでも2ストライクまで追い込んだ後、甘めの玉を放って、危ないかしくって見ていられなかったものの、使い続けていくうちに、1軍の緊迫した場面に慣れてきて、後半はその辺が相当改善されていたのだ。