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側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

側わん症症例数全国調査

2008-03-14 01:25:30 | VEPTR COM JAPAN
(添付は自治医大大木先生の発表文献より引用した側わん症患者数です)

ネット検索で、ちょっと古いデータですが、そくわん症患者実数が示された文献が
ありましたので、ご紹介します。


自治医科大学 大木勳先生
「二分脊椎の周辺疾患としての先天性側彎症の全国調査による統計学的研究」

(部分的に引用)

1972年以来、厚生省医療研究班の活動として全国的規模での患者数調査と治療実態
調査が行われた。今回は二分脊椎の周辺疾患の調査をする目的で、第三回の全国
調査が行われたが、調査の目的上、脊椎奇形を有する先天性側彎症を中心に特発性
側彎症と比較して調査された。

第一回と第二回の全国側弯症実態調査は、それぞれ1972年と1973年に全国各地の
病院を訪れた測わん症患者を側彎症研究会および各大学病院整形外科医の協力を
得て調査集計したものである。

第三回目の調査は、1976年7月1日より1977年6月30日までの一年間に各病院を訪れて
側わん症と診断された患者について主として特発性そくわん症と先天性そくわん症
について調査したものである。

第一回調査には34病院から2288名の患者が登録され、第二回には36病院から3021名
の登録があった。そして第三回調査は42病院から4696名の患者登録があった。
このように回を重ねるごとに協力病院が増加し、患者総数も急激に増加している
ことは側彎症に対する関心が高まりつつあることを示すものと思われる。

1963年に初めて側彎症が日本整形外科総会の主題に選ばれたが、このときに、北海
道大学、千葉大学、徳島大学から発表された症例数はわずか294例であった。
このうち特発性が127例43.2%、先天性50例17.0%、麻痺性(ポリオ)69例23.5%で
麻痺性側彎症が多いのが目立っていた。

10年後の第一回調査では、先天性側彎症は14.6%で多少の減少あるも大差なかった
が、ポリオが5.3%と著しく減少し、代わりに特発性が64.1%と増加していることが
判明した。

第二回でも先天性は15.1%とあまり変動しなかったが、ポリオは3.8%と更に減少し
代わりに特発性が61%と増加している。
第三回は、ますますこの傾向が強くなり、特発性は75.5%と増加し、ポリオは1.5%
と減少している。先天性そくわん症の占める率は1963年頃から10数%であまり大きな
変動はないが、側彎症の総数が急激に増加しつつあるためにその数も比例して増加
していることになる。

湾曲度については第一回および第二回調査の結果で特発性より先天性のほうがより
角度の強い症例が多い傾向を認めたが、第三回調査でも先天性はmild(軽度)カーブ
よりmoderate(中度)カーブのほうが多いのが特徴で、奇形のない特発性では軽症例
ほど多いことはかなりの差があることを示している。

先天性側彎症に合併したSpina bifidaおよび Spinal dysraphismは決して多くの
症例を数えることは出来なかったが、これらの症例は大部分が一部の大学病院から
のもので、今後この方面への関心が高まり、詳細な検討が行われるに従って、いろ
いろな症例が増える事が予想される。脊髄の奇形についてはいまだに十分に解明
されていない部分が多く、今後二分脊椎の周辺疾患として種々の脊髄異常が追加
されることが予想される。合併疾患や症状についての調査で、脳、脊髄および
末梢神経の症状、心臓疾患や四肢先天性疾患(先天性股関節脱臼や先天性内反足
など)が先天性側彎症に高率に認められるている。このことは、前述の脊髄奇形とも
関連して先天性側彎症は単に椎骨の奇形のみが存在するのではなく、その他の種々
の奇形が合併していることを示唆している。このため、先天性側彎症の治療に
あたっては十分な検査と注意深い治療操作を必要とすることになる。

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(august03より)
1976年...いまから30年ほど前の調査ということになりますが、このときの全国患者
数が、特発性側弯症が3526名、先天性が537名です。この文献からは、詳細な角度分
析は不明です。

この文献中で特発性そくわん症が年々増加しているというのは、発生が増えている
というよりは、「発見」が増えて病院を「受診」する患者さんが増えていることを
示唆しているのではないかと思います。

30年前の出生数が不明なのですが、2000年以降の出生数は約100万人です。
東京都のモアレ検診結果をベースにしますと、治療を必要とする側彎症と診断され
るこどもは約0.5%~1%(女子の場合)50人に1人~100人に1人です。思春期特発性側彎
症が小学生5年生~中学2年頃に発症のピークがあるようですので、これらの学年に
この数値をあてはめますと全国には、約2万人~4万人の特発性側彎症のこどもがい
ることになります。......これはあくまでも机上の計算上の仮説です。実数調査が
行われているわけではありませんし全国各地で実施されている学校での脊柱検診も
、その総計を集計するシステムになっていませんので、いったい全国に何人の思春
期特発性側彎症のこどもがいるのかは不明です。
(脊柱検診が実施されていないエリア、学校もありますので、患者数はさらに不明
というのが、現実です)

さて、この文献で示されていた全体の患者数のうち約10%が先天性側彎症ということ
をあえて用いますと、全国には約2000人~4000人の先天性側彎症のこどもがいるこ
とになります。

このこどもたち全てにグローイングロッドやVEPTRベプターによる手術が必要となる
わけではありませんが、全国に約2000人~4000人ほど、生命が危険にさらされてい
る側彎症のこどもたちがいる、という推計も成立するということになると思います

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大切なことは、思春期特発性側弯症もそうですが、先天性側彎症のこどもも毎年一定の
割合で発症していることの事実が存在するということをご記憶いただきたいと思います。

VEPTRベプター嘆願運動へのご協力もお願いいたします。

電子メールを利用したい、という場合は、
側わん症 :VEPTRの会 を立ち上げられた も~たん さん宛にお送り下さい
も~たんさんが、皆さんの電子メールを印刷して、ひとつにまとめて舛添大臣宛に
郵送していただけます。様式は、嘆願運動用紙をご利用いただいても結構です。

    宛先 :  momotan0901@ybb.ne.jp

http://blog.goo.ne.jp/dpkgs302/e/62d1a4fd993800607b6824f96f22db9f

(追記)
今回引用させていただいた文献内でも述べられていますが、先天性側弯症患者さん
は、合併症を併発していることが多く、また椎骨自体の奇形による側弯です。
整体等の民間療法で治せるものではなく、そのような行為はお子さんの命を危うくする以外のなにものでもありません。
このような医学的事実も知らずに店の宣伝に「先天性側弯症」を掲示している整体やカイロがネット上に氾濫している国は欧米にはありません。 

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