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側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

側弯症は痛い ?

2007-05-26 20:39:22 | 側弯症と痛み
(H19年7月4日追記 : この項は、august03が和訳したものです。
私は医師ではありませんので、医学的に誤解や誤りが含まれている可能性は
ありますので、どうかそのことを考慮されてお読みいただきたいと思います。)

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(完成版)

特発性側弯症では「痛み」を主訴とすることはまれのようですが、側弯症を理解
するうえで、「痛み」についても見ていきたいと思います。
この場合、状況を理解するうえで、幼児小児~思春期における側弯症患者さんと
それ以上の年齢の大人の側弯症患者さんとに「分類」することが情報を理解する
うえで大切だと思います。
端的にもうせば、大人の患者さんが「痛い」という場合は、その原因は、側弯症
それ自体に由来するというよりも、側弯症を契機としつつも、年齢による変性が
主な原因と思われます。原因が異なれば、対応も異なることになりますので、
そのあたりのことを少しづつ和訳していくことにします。
(オリジナル英文は併記しませんので、必要な場合は下記サイトにて参照下さい)

National Scoliosis Fundationの中より「痛み」について
http://www.scoliosis.org/resources/medicalupdates/pain.php

Pain痛み

NSNには個々の患者さんやその両親などから、「痛み」は特発性側弯症の症状の
ひとつなのかどうかについて、繰り返し質問を受けてきました。
この点について、手術治療においても、また装具療法においても全世界的にも
よく知られたRobert Winter医師にインタビューをお願いしました。
Robert Winter先生は数多くの著書、文献そしてテキスト等を書かれています。
先生は、米国並びに国際整形学会において多くの発表もなされています。
また、側弯症研究学会の創設メンバーのひとりであり、ミネソタ脊椎センターの
院長でもあり、Gillette小児病院の整形外科部長、そしてミネソタ大学臨床整形
外科教授でもあります。

Q: Winter先生、「痛み」は思春期側弯症の症状なのでしょうか?
A: 「痛み」を伴うことは非常にまれなことです。実際のところ、もし典型的な
12歳~14歳程の思春期特発性側弯症の患者さんが診察に訪れて、主訴が
「痛みです」と言うのだとしたら、私たちは非常にその患者さんの状態に対して
普通ではない病気のことを考えてしまいます。というのは、通常の思春期特発性側
弯症の患者の場合は、「痛み」はないからです。 そこで私たちは、この患者さん
に対して、
(1)なぜこの女の子は通常の患者さんとは違う症状なのか?
(2)側弯症ではなく、何か別の病気のせいなのか? ということを考えて、
通常とは別に様々な診断を行うことになります。
つまり、感染症ではないか ? 腫瘍(ガン)があるのか? 脊椎腫瘍なのか?
あるいは何か別の種類の病気なのか? ということです。

Q: では、様々な検査を受けて、何も側弯症以外に病気らしい病気が発見できない
と仮定して、それでなをかつ患者さんが痛みを訴えたとしたら、どういう風に
考えるのでしょう?
A: 思春期側弯症の患者さんのなかには痛みを訴えるかたはいます。それは別の
ことばで言いますと、器質的なものと言えるでしょう。筋肉に由来する痛みで、
脊椎カーブにより筋肉もひきつれるようになるわけですが、それがその方にとって
は、筋肉疲れのような状況となり、「痛み」という感覚になるのでしょう。

Q: では、大人の側弯症の場合はいかがでしょう? 痛みは側弯症のせいですか?
それとも別の理由によるのですか?
A: 大人の側弯症患者さんが痛みを訴えてきたときは、医者にとっては回答が
難しいもののひとつになります。というのは、大人の場合は、いわゆる通常の
老化による様々な変形が骨やその周辺組織などに生じることによる「痛み」は
一般にあります。患者さんの痛みが、そのような老化によるものなのか、側弯症に
よるものかを区別するのは非常に難しいといえます。
理解して欲しいのは、誰でも....側弯症患者であるかどうかに限らず、誰もが
「腰痛」というものは感じるものです。人間が二本足歩行動物で、歳をとってくれ
ば、誰もが抱えるものです。身体の様々な部位で「老化現象」が進み、それに伴う
「痛み」というのは、避けられないものです。いわゆる変形性関節症のようなもの
が脊椎でも発生しています。側弯症に限らず、痛みのもとになる老化現象による
変形は身体のいたるところで発生しているのです。

Q: もし側弯症の大人のかたが、椎間板変性でも関節症でもないのに「痛み」を
 訴えていたとしたら、それはどういうことが原因と考えられるのでしょうか?
A: その質問に対する回答としては、「機械的」なもの。という答えになります。
どういうことかと言いますと、ヒトの脊椎には、日常生活においてつねに「荷重」
がという負担がかけられている、ということを理解して欲しいと思います。
脊椎というのは、正面からみたらまったく「真っ直ぐ」に伸びいます。そして、
荷重という力は、そこに真っ直ぐ上からかかってきていて、それをヒトの脊椎は
支えていることになります。
しかし、ここで脊椎が変形カープしていたら、荷重は、脊椎に対して斜め方向か
らかかることになり、しかも、それはある一極に集中するようなかかりかたになり
ます。
もし椎体や脊椎関節に荷重が偏向した方向からかかるとしたら、椎体の変性する
度合いは正常の場合よりも、より早いものとなります。
このような症例を私どもは、側弯症的痛みを有していると称します。
通常は、胸椎部か腰部において見られる背中の痛みというのは、脊柱変形のために
偏向した荷重が椎体や脊椎関節にかかっていることが原因となっています。
このような脊柱変形というのは、20台30台ではなく、それよりもさらに高齢の
40台以降に見られるのが一般的です。

Q: 変形カーブの大きさと痛みとは何か関係があるのでしょうか?
A: 次のような例を参考にしてもらえるでしょうか。
 コブ角30度というまだマイルドなカーブの患者さんがいました。でもその患者は
 ひどく痛がっていました。
 一方、67歳で95度というひどい変形になっているのですが、その患者さんは全く
 痛みを訴えることはありませんでした。
 一般的にいって、胸郭側弯の場合は、カーブがたとえば90~100度とものすごく
 曲がっていたとしても、痛みを持つことはありません。この場合、呼吸機能は
 ダメージを受けているのですが、肺が痛むということもありません。
 一方、腰椎側弯の場合は、45度を超えるようですと、痛みを持つことがあります
 ただし、それでも95度まで変形した例でもまったく痛みを持たない患者もいまし
 た。

Q: 診断という定義で考えた場合、医師はどのようにして患者の訴えている痛みが
 「変性(老化)からくる腰痛」なのか、「側弯症による痛み」なのかを判断する
 のですか?
A: 私たちは、患者さんをまずは医師自身の目で患者さんの身体的状態を観察、
 診察していきます。それからレントゲン写真をとります。ときにはミエログラム
 、MRI,ディスコグラフィーという特別の機械を使用することもあります。
 これらを使用することで、脊髄の状態、椎間板の状態など、レントゲンだけでは
 得られないさまざまな体内の情報を得ることができるのです。

Q: もし検査の結果、その痛みの原因が、変性疾患によるものであったり、
 関節炎によるものであった場合は、どのような処置をするのですか?
A: 患者さんはすでに真っ直ぐな脊柱であり、かつ腰痛を訴えているわけですが、
 私たちはまずは側弯症を治療する、ということを第一に考えます。
 次は患者さんに対する教育となります。身体の機械的構造を学ぶことで、
 どうやって適正な方法でものを持ち上げるのか、座るのか、横になって寝るのか
 そういうことを学んでもらいます。
 医師から、どういうタイプのエクササイズが自分にとって適切なのかを聞いて
 下さい。脊椎の関節炎を患っている患者さんのなかには、例えば、エアロビクス
 ような運動よりも、もっと単純な動きの運動のほうが良いこともあります。
 3番目は、ちょっとした背中の痛みでパニックにならないことです。
 私の経験では、非ステロイド系の痛み止め、例えばアスピリンやイブプロフェン
 で痛みは治まるはずです。
 コルセットをつけたり、温パッドをしたり、両足をイスの上に乗せて床に寝ころ
 んだり、両足を抱えて丸まった姿勢で10分ほど休息をとるだけでも痛みは治まる
 ことがしばしばあります。
 痛みに対するカイロプラクテックについて言えば、もしそれがその患者さんに
 とって効くのだとしたら、それはそれで良いと思います。痛みに対する
 バイオフィードパックやハリ治療については、私自身は研究していません。

Q: では、真に側弯症に原因がある痛みの治療はどうでしょうか?
A: もしそれが疑いなく側弯症に原因する痛みだとわかったなら、手術治療が検討
 されることになります。診断が正確かどうかがもっとも重要です。
 もし痛みが厳密に側弯カーブに原因があるとしたら、そのカーブを治療すること
 が痛みを治療することになりますので、患者さんは楽になります。
 一方、もしその痛みがカーブそれ自体ではなく、変性疾患によるものであった
 場合は、カーブに対する治療は一生続けられるますが、痛みはなかなか解消しな
 いことになります。

(このトピックスを終了)

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