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脊柱そくわん症手術での合併症防止 脊髄モニタリング

2008-01-14 00:08:44 | 手術による合併症
脊柱側弯症手術について先生がインフォームドコンセントとして、手術による安全
を確保するために、「術中にモニタリングをしています」というような説明をする
ことがあると思います。これは、脊髄や神経のすぐそばで外科的処置をしている
ことから、脊髄や神経に障害を与えないようにするための方法として考え出された
もので、患者さんの身体に電気信号を見地する電極のような貼り付けて、手術の
最中に、その電気の流れをテレビモニターに映して、異常がないかどうかを確かめ
ながら手術していることを示しています。
添付の図は、電極を貼り付けている場所、その信号のキャッチ、そしてTVモニター
でモニタリングしている手術室内を写したものです。

先生は曲がった脊柱をできるだけ真っ直ぐにするために患者さんの背骨の矯正に
全力をあげるわけですが、同時に、脊髄を傷つけないように、神経に障害の残る
ようなダメージを与えないように、このような電子機器をもちいてつねに点検を
しながら外科手術を進めていることになります。

外科手術によっても曲がった脊柱がゼロ度に戻らないことがありますが、それは
患者さんの骨が硬いという状態もあると思いますし、また矯正しすぎることにより
神経をひっぱりすぎて術後に麻痺が残るようなケースを避けるために、このような
モニタリングによりどの程度まで伸ばせるかとかを推し量っていると思います。
(....おそらくこの説明で大きな間違いはないと思うのですが、詳細は先生に
お聞き願います)

このように安全な手術を実施していることがネット検索でも得られますので
その幾つかをご紹介します。
(key wordは `脊髄モニタリング`)

岡山大学整形外科のホームページより
http://www.onitaiji.com/spine/surgery/feature.html
一部引用させていただきます
(開創した脊椎部位に直接電極を貼り付けた写真も見られます)

当科では,脊椎手術の際に脊髄モニタリングを行っています.
脊髄モニタリングとは脊髄の電気伝導能を評価する方法であり,圧迫性病変や脊髄
腫瘍などによる脊髄の損傷の程度を評価することができます.これを脊椎手術中に
行うことにより,手術操作による脊髄へのダメージや,脊髄圧迫の解除,腫瘍摘出
直後の脊髄機能の回復の程度をリアルタイムに知ることができるため,脊髄神経を
損傷する可能性がある手術においても正確で安全な手術が可能となります.

弘前大学整形外科ホームページより
http://www.hirosaki-u-ortho.jp/bureau/red.html
一部引用させていただきます

側弯症などの脊柱変形に対しては、コルセットを用いた保存的治療を基本に治療
しています。しかし、脊柱変形が進行してしまった場合には、手術治療も施行して
います。豊富な脊椎インストルメンテーションの使用経験をふまえ、脊髄モニタ
リングを行いながら脊柱変形の矯正手術を施行しています。

愛知厚生連昭和病院ホームページより
http://www.jaaikosei.or.jp/showa/gairaisinryou/seikei.html
一部引用させていただきます

脊椎・脊髄手術には脊髄の安全性を確保するために手術中の脊髄モニタリングが
きわめて重要です。われわれは、より安全な脊椎・脊髄手術を行うために、現在
最も信頼性が高いといわれているMEP法と術中の筋電図を、最先端の脊髄モニタ
リング装置を導入して、最多の16chにて手術中の脊髄モニタリングを行っています。

Intraoperative spinal monitoring
http://www.spineuniverse.com/displayarticle.php/article555.html

Intraoperative monitoring has been available for a number of years and recently has become almost a standard for spinal surgery.
術中の脊髄モニタリングはかなり昔から行われてきており、いまでは脊椎手術では
標準的なものとなっている。

Highly trained spinal surgeons who have recognized its importance for patient safety are primary users. These surgeons either have recently completed their training and utilized this service, or have recognized the latest advanced techniques that can add to patient safety. Therefore they have adapted intraoperative monitoring to their surgical practice.
脊椎外科医師はこの検査を行うことで患者の安全が守られるという重要性をよく
認識しています。

The purpose of intraoperative neurophysiologic monitoring is to notify the surgeon of potential injury to vital neural structures at a time when a clinical examination is not possible, while the patient is under anesthesia in the operating room.
術中の感覚神経、運動神経をモニタリングする目的は、手術室内の麻酔下では臨床
検査ができないので、術者にそれに代わるデータを提供することにより、患者に
発生しうる障害を予防することである。

As such, it provides early warning to the surgeon who can then adapt or modify the operative procedure accordingly. With its use as a guide it helps the patient awaken with a satisfied result.
それを提供することにより、術者は手技操作を追加したり変更することが可能と
なります。つまり、術者を安全な手術を遂行するためのガイド役となるわけです。

Prior to the arrival in the operating room, a technician will place electrodes on the patient's legs, arms, neck, and head. In addition, the technician asks the patient about his/her pertinent clinical history.
手術室に移動する前に、ME技師が患者の足、手、首、頭に測定コードを取り付けます。

Women's and Children's Hospitalのページより
http://www.wch.sa.gov.au/services/az/divisions/paedm/neurology/spinal_monitoring.html

当院における脊椎手術中の脊髄機能のモニタリングは1980年代初期からはじめられました。
これはハリントンロッド脊柱固定システムから別のシステムに代わっていく時期と
重なっています。新しいインスツルメンテーションシステム、Cotrel-Debousset
(CD法)はより強い力で側弯を矯正することができました。当時の整形外科部長は
この新しい手法による大きな変位力のために起こるかもしれない神経障害を防止
するためになんらかの神経モニタリングを行いたいと考えました。彼は米国内で
医学的にも医療事故予防的にも脊髄モニタリングが必要であるという動きを認識
していました。(国内脊髄モニタリング学会は1979年に米国からスタートしました)
当時の当院脳外科医が術中の神経モニタリングの実施を手伝うことになりました。

体生感覚誘発電位 (Somatosensory Evoked Potential)
参照URL http://www.okayama-u.ac.jp/user/hos/kensa/nou/SEP.htm

モニタリングに対する我々の最初の試みは、下肢神経を刺激し頭部表面のEEG電極
から体性感覚誘発電位を測定することであった。しかしその当時は知識も不足して
おり、また使用できる機器も十分ではなかった為に試行錯誤が続いた。麻酔下での
SEPを測定することはなかなか成功しなかった。しかし、機器の改良と技術の改良
により、脊髄の電気信号を得ることが次第にできるようになった。頭部のどこに
電極を付けるのか、足部のどのポイントが電極を付けるのに最適であるかなどが
わかるようになっていった。

運動誘発電位
1987年からは、感覚神経をモニタリングすることに加えて運動神経のモニタリング
も手順の中に加えられた。

(august03より)
ご紹介したホームページはこの目的のキーワードに対してネット検索により偶然
得られたものです。

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ブログ内の関連記事
「そくわん症手術における合併症 下半身不随や脊髄損傷について」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/7bfa0d26ae8d1283c0c9a41c4d3663da
「特発性側弯症手術考」
http://blog.goo.ne.jp/august03/e/38c282f5b43fbdd9a49ba5a89ce877c6

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございました (手術を控えた高校2年の母)
2008-01-14 11:10:16
august03様
お忙しいところ、調べていただきありがとうございました。かかっている先生はとても熱心で安心しているのですが、説明を聞いてなおのこと安心感がましました。これからもよろしくお願いいたします。
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