MUSIC IS THE SCENERY

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<この1枚>Steve Forbert「Alive On Arrival」

2007-05-05 00:36:26 | この1枚
1曲目のイントロ部分のハーモニカとギターの音を聴いただけで、名盤であることを確信させてくれます(思い入れが強いせいでしょうか?)。それほどオープニング・ナンバーの「Goin' Down To Laurel」は今聴いても名曲です。78年発表、Steve Forbert24歳の時の作品で、これが彼のデビュー・アルバムです。この作品で彼は「ニュー・ディラン」「ネクスト・ディラン」として米国のメディアに大々的に取り上げられるようになり、日本でも一部ではありますがテレビ番組で期待の新人シンガー・ソングライターとして紹介されたほどです。

一度聴いたら忘れられないハスキーを通り越した枯れた声で若々しく歌うのですが、不思議と歌詞は青臭くなくて冷静に社会や日常を見つめています。ミシシッピー出身で10代の早い時期からグループでいろいろな曲を歌うようになり、18歳頃には曲作りを始め、短大卒業後に勤めた会社が倒産したのを機に、76年に単身ニューヨークへと渡ってきたとのことです。それからわずか2年でのデビューです。全10曲からなるアルバムですが、ミシシッピー時代に書いた「Goin' Down To Laurel」以外の9曲は大都会ニューヨークでの自身の日常などを歌った曲のようです。少しほろ苦い「Big City Cat」「Grand Central Station, March 18, 1977」など良い曲が並んでいます。

意外にもこのアルバムは騒がれた割に大したヒットにはつながらずに、翌79年のセカンド・アルバム「Jackrabbit Slim」が彼の出世作で、そこからのシングル「Romeo's Tune」が全米11位まで上がるヒットになっています。その後はヒットに恵まれずに「一発屋」のイメージが強いですが、もともとフォークのほかカントリー、ロカビリー、ロック、ソウル、ポップ、ゴスペル、ロックンロール、ブルースと実に幅広い音楽性を持った人で、それをひとつの枠に収めようとしたメディアとのギャップのせいもあるかと思います。82年の3作目「Little Stevie Orbit」では、個々の曲は良いが、ごった煮のようで統一性がないというような酷なアルバム評もあったほどです。80年代には一時期トラブルがあったもののその後はコンスタントにアルバムを発表し、これまでにライヴ盤を含めて20作品ほどを出しています。

現在53歳という計算になりますが、バリバリの現役で小さな会場で実に精力的にライヴ活動を行っているようです。MySpaceの今後のライヴ予定では英国を含め5月4日から11月14日まで計43回分のスケジュールがぎっしりと詰まっています。根っからライヴが好きな人のようで、公演が終わると出口の所で観客一人一人を見送り「今日はどうだった?」「楽しめた?」などと声を掛けるようです。

05年2月に日本初CD化され、紙ジャケ仕様で発売されたのを昨年末に知り購入しました。

Goin' Down To Laurel↓
http://www.myspace.com/steveforbert06
公式MySpace。Romeo's Tuneライヴ音源も↓
http://www.myspace.com/steveforbert
Cyndi Lauper「Girls Just Want To Have Fun」のPVにも出演。
(3分44秒、正装して白い花を手に部屋に入ってきます)↓
http://www.youtube.com/watch?v=17dQIu1lO6M

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