雇われの悲しみを君に

感想

今話題の芥川賞受賞作品「火花」を先程、読み終えました。

芸人が書いたとかそういうことは抜きにしても、作品自体

それほど話題になるようなものとは思えなかったです。

わたくし、以前俳優の水嶋ヒロの書いた小説も読んでいるのですが、

その小説よりは、確かにすごく質がいい作品と思いました。

しかし、芸人が漫才師のことをテーマに選ぶというのは、

まさにホームグラウンドで勝負できるわけですから、

別のテーマを題材にした次回作で真価が問われるような気がします。

またこの芸人は、太宰治好きらしいのですが、

漫才師をテーマに選ぶというのは偶然にしろかなり有利なんですよね。

なぜなら太宰治の流れるような文体は、いわば口承文学がベースになっていて

太宰治は、自身の言葉を妻に口述筆記させていたそうですから。

つまり漫才を文章で表現する際の文体のリズムは、

太宰治に心酔しているならば、割りと違和感なく再現できるはずです。

しかし次回作といっても、この芸人に恋愛小説が書けるとは思えない。

この作品にも恋愛に絡む描写が何箇所かあるにはあるのですが

いかにも実体験の伴わない、いわば借り物のような異物感がある。

恋愛の要素を一切排除した方が、小説としては完成度が上がったはず。

それとこの芸人は、相当の読書家らしいけれど、才能のある作家とは、

内面から迸る創作意欲によって成長するものであって、決して読書量では決まらない。

きいた話だと、編集者が頼み込んでこの芸人に小説を「書かせた」らしい。

この時点でこの芸人は、生粋の作家から外れている。

それが「芸」なんだと開き直られたら、それはもう滑稽なだけ。

これだけ騒がれるから、とんでもない才能が発掘されたとか、勝手に想像していたのだけど、
(例えば村上龍のデビューに匹敵するとか。。)

この作品は、本好きの芸人が編集者に頼まれて上手く纏めた

商業ベースに載った小品に過ぎないし、もう一度読み返す気にもなれない。

この芸人に食い下がった編集者も実に無責任だし、ヒトヤマ当てたいだけの

単なる商売人としか思えない。それにしても最近の芥川賞ってこの程度なの?

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