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浅井久仁臣 私の視点「第二次湾岸戦争」

ブッシュ政権が始めたイラク戦争は、ブッシュ・シニアが仕掛けた『湾岸戦争』の完結編になる予定でした。しかし、その結末は…

「大量破壊兵器と戦争の大義」論争に疑問

2004年10月07日 | Weblog
 イラクにおける米国武器調査団「イラク調査グループ(ISG)」は6日、「イラクには対イラク戦前、生物化学兵器又は核兵器の備蓄はなかった」とする調査報告書を発表しました。
 報告書によりますと、旧フセイン政権が生物化学兵器生産の再開の意志があったものの具体的な動きはなかったとし、核兵器開発に関しては「湾岸戦争」以降、生産技術の入手を希望していたレヴェルであったとしています。
 これまでにも調査団の団長が辞任したり、アメリカ人スタッフが一連の誘拐事件におののいてイラク人スタッフに任せて国外に出てしまうという体たらくでしたから今回の報告書の内容は当然と見る向きがほとんどです。
 ですから、民主党のケリー陣営が、大統領選にこの発表を好材料として利用するでしょうが、決定的なカードにはなりえません。
 ただ、私は戦前から何度も強調していますが、大量破壊兵器を「戦争の大義」として認めることに異議を唱えています。それは、フセイン政権が大量破壊兵器を所有して良いと言っているのではなく、大量破壊兵器を所有するだけで即攻撃できるとなれば、北朝鮮やイランも何の疑いもなく次の標的になってしまうからです。そうなれば、全世界が「パンドラの箱」を開けた状態に陥ります。大量破壊兵器の生産技術を誰がその国に売りつけたかを問題にせずして、一部の“危険な”保有国のみに責任を押し付けていくやり方は不公平です。売りつけた側と買った側両方が処罰されて然るべき問題です。もちろん、その議論に、「大国だったら大量破壊兵器を所有していいのか」という視点を入れる必要があります。
 そして、ブッシュ大統領が作った「土俵」に上がって議論をする危険性を我々は承知しておく必要があります。これからでも万が一、何らかの形でイラクで大量破壊兵器が見つかれば、それだけでイラク戦争の評価が一挙に大逆転、「ブッシュの戦争」が公認されたことになってしまいます。
 繰り返していいます。大量破壊兵器の所有は戦争の大義にしてはなりません。