思い出ずるままに

題詠短歌 / 脊髄損傷による闘病生活を送りながら

1~29

2011-10-23 16:43:00 | Weblog
001:初
母の夢叶えて結いし初島田ただ恥ずかしき十八の春
002:幸
幸せを願い娘の名に幸つける老いて今問う幸とは何ぞ
003:細
針程の細き枝にも積もりゆく静けき雪に忍の字覚ゆ
004:まさか
小泉さん言いし事有り人生はまさかのあるとわれ臥す人に
005:姿
ちらと見し吾がはだか身の崩れしに姿見を返す老いの悲しさ
006:困
見舞うとを断りいれば沙汰もなく友等来れリ嬉し困惑
007:耕
狭庭の角の少しを耕して香草植えて楽しみし過去
008:下手
下手だけど日々書き綴る吾の歌は詞の楽しみと今の生き甲斐
009:寒
寒中の見舞い今年は手書きなり悲し喪中の多きにこたえ
010:駆
人生の持ちし夢をば奪われて闇の年月今駆けぬけぬ
011:ゲーム
円高でパソコンゲーム買い込んで辞書首っ引きゲームの日々なり
012:堅
握手する皆の手堅く羨やましわれはマシュマロ怠慢ならず
013:故
何故に苛酷なさだめ持て余し流れのままに乗りし笹舟
014:残
わが残生いくばくありや老いたれば孫娘の顔を丁寧にみる
015:とりあえず
求めいし本三册が届きたりとりあえず讀む薄き本から
016:絹
絹ざやのすじを取りつつテレビ見るあの頃の吾の嬉し息抜き
017:失
初恋は淡雪の如く消えてゆき失恋の思いわれは覚えず
018:準備
旅立ちの準備している訳じゃない親しむ捨てしは心底にありか
019:層
上高地見上ぐる層巓心魅す北アルプスの槍.穂高岳
020:幻
一片の雲七色に輝きて幻想的な自然の美見し
021:洗
洗礼を終わりて大き鐘が鳴る8月6日原爆受難日
022:でたらめ
娘等二人昔語りしでたらめの童話ききおり今も忘れず
023:蜂
湯浴びしてメインのお膳漆蓋開けてのけぞる蜂の子のあり
024:謝
両親がわたしに呉れし愛情に感謝の言葉結婚式だけ
025:ミステリー
手品にはたね或る事と聞きおれど手際のよきかミステリー感が
026:震
吾が家の周り次々建て替えて臥すわれは日々地震災害
027:水
香水の香おりにこだわり吾が纏う形なき衣マダムロシャスを
028:説
高僧の説法聞きて思う事神も仏も教義は同じ
029:公式
先生の訛つよくて忘れ得ぬしゃん(三)角形の合同公式

1~29

2011-10-23 16:43:00 | Weblog
001:初
母の夢叶えて結いし初島田ただ恥ずかしき十八の春
002:幸
幸せを願い娘の名に幸つける老いて今問う幸とは何ぞ
003:細
針程の細き枝にも積もりゆく静けき雪に忍の字覚ゆ
004:まさか
小泉さん言いし事有り人生はまさかのあるとわれ臥す人に
005:姿
ちらと見し吾がはだか身の崩れしに姿見を返す老いの悲しさ
006:困
見舞うとを断りいれば沙汰もなく友等来れリ嬉し困惑
007:耕
狭庭の角の少しを耕して香草植えて楽しみし過去
008:下手
下手だけど日々書き綴る吾の歌は詞の楽しみと今の生き甲斐
009:寒
寒中の見舞い今年は手書きなり悲し喪中の多きにこたえ
010:駆
人生の持ちし夢をば奪われて闇の年月今駆けぬけぬ
011:ゲーム
円高でパソコンゲーム買い込んで辞書首っ引きゲームの日々なり
012:堅
握手する皆の手堅く羨やましわれはマシュマロ怠慢ならず
013:故
何故に苛酷なさだめ持て余し流れのままに乗りし笹舟
014:残
わが残生いくばくありや老いたれば孫娘の顔を丁寧にみる
015:とりあえず
求めいし本三册が届きたりとりあえず讀む薄き本から
016:絹
絹ざやのすじを取りつつテレビ見るあの頃の吾の嬉し息抜き
017:失
初恋は淡雪の如く消えてゆき失恋の思いわれは覚えず
018:準備
旅立ちの準備している訳じゃない親しむ捨てしは心底にありか
019:層
上高地見上ぐる層巓心魅す北アルプスの槍.穂高岳
020:幻
一片の雲七色に輝きて幻想的な自然の美見し
021:洗
洗礼を終わりて大き鐘が鳴る8月6日原爆受難日
022:でたらめ
娘等二人昔語りしでたらめの童話ききおり今も忘れず
023:蜂
湯浴びしてメインのお膳漆蓋開けてのけぞる蜂の子のあり
024:謝
両親がわたしに呉れし愛情に感謝の言葉結婚式だけ
025:ミステリー
手品にはたね或る事と聞きおれど手際のよきかミステリー感が
026:震
吾が家の周り次々建て替えて臥すわれは日々地震災害
027:水
香水の香おりにこだわり吾が纏う形なき衣マダムロシャスを
028:説
高僧の説法聞きて思う事神も仏も教義は同じ
029:公式
先生の訛つよくて忘れ得ぬしゃん(三)角形の合同公式

30~69

2011-10-23 16:41:11 | Weblog
030:遅
骨子なき国会なりや何時見てもテレビで討論遅々として進まぬ
031:電
臥すわれを案じ友等は電話せぬ知れどもしやとベルの音に待つ
032:町
函館にながく住みいて啄木の青柳町の歌碑訪ぬよし
033:奇跡
御巣鷹の航空機事故数名の生存者あり嬉しき奇跡
034:掃
庭を掃く亡母の髪の上一片の紅き紅葉を今も忘れじ
035:罪
諍いし後に気づきぬ罪なるを人をも吾をも心傷つけ
36:暑
何十年ぶりとの暑さ乗りてきし人向い来る災に強きか
037:ポーズ
考える人のポーズを真似てみる思い浮かばぬ頭抱えて
038:抱
昔から家中の悩む抱えしが変わらぬ性か臥すも胸中に
039:庭
冬枯れし庭を眺めて皆問ひぬ孫の挿したる造花のガーベラ
040:伝
告げざりき思い知りたる如き文友より届く以心伝心
041:さっぱり
此の胸にもだえし物を取りたきがその術あればさっぱりするに
042:至
死に至る病持ちつつ生きる身にキルケゴールよ何をかたらむ
043:寿
福寿草今年もふっくら咲き初めて籠れるわれも何か希望が
044:護
護国寺で御茶会の有り緊張したてて差し出す正客が父とは
045:幼稚
幼稚園入園のため体操の教室のあり送迎は車
046:奏
秋立てば夜ごとコオロギ集いきて指揮者あるごと大合奏なり
047:態
病院の個室政治家籠れるが吾が入るは何時も重態
048:束
湯上がりて髪の束ねをぱらり解き涼しきかぜを呼ぶ心地よさ
049:方法
今更に着物の虫干し方法を娘は聞きにくる畳み方まで
050:酒
お酒にて憂さはらせればそれもよし私が飲めばすぐ自死となる
051:漕
始めてのボートは友と千鳥が淵何故か漕ぎ手にボート進めず
052:芯
去年の春一ダース鉛筆尖らせて今はちびりて芯のみ尖る
053:なう
現世に求め得る物何もなし失なう物ももう何もない
054:丼
若きより好みし銀座橋膳の天丼の味食めぬ今 あ!あ!
055:虚
幾度も高きハードル乗り越えて虚々実々の人生歩む
056:摘
亡き母と摘みし嫁菜の美味しさに摘む草の無き今庭に植ゆ
057:ライバル
今のわれライバルと呼ぶ人はなし昔は孫がゲームのライバル
058:帆
帆柱の折れんばかりの風受けて走り行くヨット此処に戻ると
059:騒
静かなる海に人恋う夕暮れの砂浜に座し潮騒を聴く
060:直
直感に推理と証拠解決に進めゆくテレビ相棒見てる
061:有無
現世の別れ告げあり短くて有無を言えない余韻のこして
062:墓
魂は天国に有りなきがらの安住の地か墓に納まり
063:丈
初孫が男の子で今は丈高くばばの手で縫う浴衣生地やっと
064:おやつ
はいおやつ娘は笑いつつ紙包み渡され開くルルド・パスティーユ
065:羽
追い羽根のつく音冴えて響きありあの爽やかは昭和で終わりか
066:豚
豚小屋で塗れし豚と管理下と肉や味には差別のありや
067:励
受験時の孫不安がお励ましぬ意志あるところ道は開けん
068:コットン
コットンの花の美したとうれば三月に降る牡丹雪かな
069:箸
夫々の好みし箸の立ちをりて娘等嫁しき後今も四人分

2011年 70~100

2011-10-23 16:40:35 | Weblog
070:介
介護する立場を終えて今われが介護受くる身真の介護知る
071:謡
新年の歌会初め謡詠のあまりに長く歌心うすれし
072:汚
花ならば皆美しと思わるが大気を汚す杉花粉あり
073:自然
宇宙より見れば美し青き星自然の美なり失うな人
074:刃
題名の剃刀の刃にひかれ見る若き心に人の生き方
075:朱
凄まじき地震のテレビ揺れるなか南天の朱実春光に映ゆ
076:ツリー
汚れなきま白き雪に覆われた教会.ツリー.聖夜祈らむ
077:狂
太郎冠者おるかで始まる狂言の滑稽の芸思わず笑う
078:卵
看護士の卵で未だ孵化せぬが孫は帰るとばば実験台
079:雑
わが愛書国木田独歩の武蔵野の雑木林の面影いずこ
080:結婚
花嫁の母は泣く暇なきはずが結婚式の誓いに涙
081:配
郵便の配達の人待ちおりぬ一昨日だした手紙の返事を
082:万
数十年万年青はありぬ増えもせず亡母が植えしを知るはわれのみ
083:溝
土地ならば大き溝をも埋もるが人の心の溝埋めがたし
084:総
常ならば房総の友花畑誘いの電なり今年は安否
085:フルーツ
フルーツと言えば我家のサクランボ余震に合わせ花も揺れ居り
086:貴
貴重品一応金庫はあるけれどいざと言う時貴重品.命
087:閉
格子無き牢獄なりやわが日々はドア閉ざされぬ歩けず籠る
088:湧
大き滝見上げて帰る道すがらこんこんと湧く岩清水飲む
088:湧
大き滝見上げて帰る道すがらこんこんと湧く岩清水飲む
089:成
放射能知らず春まち芽吹きたる自生の三つ葉成長すさまじ
090:そもそも
そもそもは私が歌を詠みたるは啄木読みてそと涙したから
091:債
子供には多き財産残せぬが債務残さず残すはごみか
092:念
アンタレス緋色空しき情念の宿りし星よ吾が星とせむ
093:迫
七五三二人の娘お揃いの筥迫可愛い懐紙も入りて
094:裂
わざわざに裂け目を入れて履くパンツボロボロに見えおろしたてかも
095:遠慮
遠慮なくお持ち下さい張り紙の植木鉢あり主老いしと
096:取
鮎の肝其れが美味しく食みおるに苦み嫌だと取り除く娘は
097:毎
一日毎春の息吹も近づきて桜も咲けど原発未だ
098:味
誤摩化しと手抜きの味は避けたきと守りきたるが今インスタント
099:惑
病気をば隠れ蓑とし惑いつつ非力の日々かわが暗き春
100:完
完走を目的にした歌おおく今振り返り心に悔いが