2008.08.09撮影(旭山動物園)
英国グラナダTV版『シャーロック・ホームズの冒険』第9巻は、
第17話「マスグレーブ家の儀式書」と第18話「修道院屋敷」。
どちらも、小さなことを見逃さないホームズの推理が冴えていますし、
話の筋立ても面白いし、登場人物も魅力的だし、
風邪気味なのかショールにずっとくるまっているホームズとか、
若く美しい夫人に抱きつかれて困惑するホームズv とかが見られて
そんなところも楽しいです。
「修道院(アビ)屋敷」の冒頭では、こちらの挿絵とそっくりな
寝ているワトソンをたたき起こすホームズも見られます。
(でも、NHKで放映されたバージョンでは、
このシーンまるまるカットされているんですよ)
(私が、ホームズってもっとまじめだと思っていたのは、
こういう「なくても本筋にかかわらない部分」がカットされていたためかも)
しかし! そういう感想をすべて吹き飛ばしたのが
「修道院屋敷」ラストのワトソンのセリフでした!
騎士道精神あふれる真犯人を、あえて逃がすことにしたホームズに
ワトソンがこう言ったんです。
「流儀が人を作るんだ。君は変人のままでいろ」
なんかもう、私の方が撃ち抜かれました…。
吹き替え版では「君のやり方も悪くない」となっていて、
まあ、趣旨はそういうことかもしれませんが、字幕の訳の方が数倍好きです。
驚いた後にかすかにほほえんだホームズも、感動したにちがいない。
原作にもあるセリフなんでしょうか(「修道院屋敷」にはないのですが)。
「不世出の天才にして稀代の変人」とDVDのパッケージにも書いてあるホームズは、
しかしヴィクトリア時代の価値観で見るから変人なのであって、
現代の私たちから見ると、十分紳士的であり、意志の強い優しい人に見えます。
だから、BBC版『シャーロック』は、現代に翻案することによって、
当時の人たちが受けた印象を私たちに伝えてくれているんじゃないでしょうか。
映画『ロック・ユー!』が、中世の人々の興奮や感動を生き生きと伝えてくれたように。
つまり何が言いたいかと言うと、
もしもジョンがシャーロックに同じことを言ったら、
私は号泣してしまいそうだ、ということなんですよ(^^;