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TEAM NACS『HONOR』感想

2007年05月28日 | どうでしょう界隈
051_1
Photo by NOION


今更ながら感想を書こうと思ったのですが、
結構記憶が薄れております。
ああもう、歳ですなあ。
でも、すごく楽しかったこと、すごく嬉しかったこと、とても幸せだったことは
心に強く残っています。まるで濾過されたかのようです。


なので、よそ様のように細かい感想にはなりませんが、
自分なりに書いていこうと思います。
それから、「そこ違ってるよ!」という部分もあるかと思いますが、
ご容赦ください。当然ネタバレなので、その辺もご注意ください。
 




*****
 




開巻、場面は5人の和太鼓から始まります。
躍動的で、力強くて、でもよく見るとおじいちゃん達で。
(ただ、この時点で一人おばあちゃんがいるような気もする)
しかも80歳だから、終わった途端にへなへなと崩れて。
そういう盛り上げて落とすとか、弛緩していたのが緊迫する、
という緩急自在な感じが、全編に渡っていたように思います。
道新ホールは、たぶん東京や大阪よりも小さな劇場なのだと思うのですが、
(大股で歩けば10歩で端から端まで行けそうな感じ)
このささやかで大きな物語には、ちょうどいいサイズのようにも思いました。


そう。どんな人のささやかな人生にも、かけがえのないドラマがある。
私がこのお芝居で感じたのはそういうことでした。
主人公の彼らにも、彼らの父や祖父の世代にも、
青春があり夢があり忘れられない人がいるのだということ。
ふるさととは、単なる場所のことではなく、
そういう何世代もの想いが積み重なってできているものなんですね。
たった一人の人のために人生の全てを捧げる人もいれば(五作さんね)、
ささいな、でも本人にとっては重大なことから、
全く別の人生を歩んでしまう人もいるんです(これは花ちゃん)。
中盤、村を出ていった少年たちのその後が、必ずしも夢の通りになっていなくて、
でも、それを相手に悟られないように空元気を出して電話をしているシーン。
あれは、共感しすぎて胸に痛かったです。
でも、夢の通りになっていなくても、人生は生きるに値するものなんだ、
という感じがしました。一番体現していたのは、花ちゃんかなあ。
五作さんに一番なついて、太鼓の稽古も一番一生懸命だったのに、
想いのすれ違いからバンド少年になって村を出ていって、
でもそれもうまくいかなくて、再登場したときには見違えるような艶姿って。
(あのサプライズは、ケン・タウロス氏の登場と双璧でした)


ということで、私の中では、五作さん(安田顕さん)と花ちゃん(佐藤重幸さん)。
それから、ちえさん(音尾琢真さん)も印象が強い登場人物でした。
短い出番なのに印象が強いのは、
ちえさんが「物語のきっかけの人」だからなのでしょう。


事前情報では、
「前作までの、一人何役もやる芝居ではなく、
同じ人の小学生から80歳までを演じます」
となっていたので、すっかりその気でいたら、
目まぐるしく役が入れ替わっていくので、それもびっくりしました。
この役の後にすぐこの役って、すごいなあ、とただただ感心。
全体に、お父さん世代がかっこよかったように思います。
その頃はまだ、生き方がシンプルだったからでしょうか。
主人公格の花ちゃんや秀一や門田や光太たちの世代は、
選択肢が多かったり、「自分探し」だの「自己実現」だのと
言われている世代だったりするせいか、
悩みがより複雑で深いような感じがしました。
そして、二つの世代をつなぐ五作さん。


…もしかしたら、秀一たちの子どもや孫の世代の話もちらっと出ていると、
綿々と続くふるさとの系譜が未来にも伸びて、
さらに圧倒されたかもしれません(ということを、いま思いました)。
(もしかしたら話には出ていたかもしれません…)


終幕、全てを見届けるように出現するHONORの木の圧倒的な美しさと、
それに寄り添う「きっかけの人」ちえさんのたたずまい。
たぶん、見終わった後の幸福な気分の源は、ここにあったのでしょう。
うーん、ホントに細かいことを覚えていないような気がするので、
DVD化されたら見直したいと思います。
(でも、アドリブとか違うんでしょうね)
(私の見た回は、ハプニングは全くなく、大変落ち着いた舞台でした)
(他の回では太鼓のばちが飛んだとか折れたとか聞きましたが…)
(アドリブでは、なかなか「赤い玉」を門田に獲らせないケン・タウロスに
秀一が言う「早くしろ。話が進まねぇ」が好きでした・笑)
 

コメント
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