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あさま山荘銃撃戦の深層   大泉 康雄著

2008-08-25 04:42:17 | 
あさま山荘銃撃戦の深層
大泉 康雄
小学館

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鉄の球がゴーンゴーンと山荘を壊して犯人が捕まるまでを
英単語カードを握りしめて
最初から最後までテレビで見ていた。
後から後から総括、粛清された仲間の遺体が発見された経緯も
とことんマスコミにつきあった。
当時私は高校3年。
恰好だけ受験生で家にたまたまジッといて
事件の生中継を見続けた記憶が事件への興味につながって今も褪めない。

著者は連合赤軍なる直前まで
あさまで逮捕された犯人のひとりと友達だった。
警察側から描いた映画、犯人側の立場から描いた映画があったが、
ごく平凡な親友ついあいしていた直近の人間として事件の深層に迫っている。

犯人たちの生の手紙やヒアリングで
全貌に忠実に迫ろうとしていたのだろうけど、
あの過激派言葉の羅列は読みにくかった。

零下何度という真冬の山と言う厳しい環境で
一般社会から閉鎖された序列のはっきりした
食べるものすら充分にはない生活集団は後のオウムと何やらそっくり。

共通の友であった人の言葉に
この事件は
『日本の組織形態をもっとも生々しいかたちで見せつけたもの』
と言う下りがあった。
戦時下の軍隊だけでなく、
いまの企業とか学校、あるいは家庭という単位にまでしみついていると、ある。

小心者のリーダーが常識では考えられないような指示を出しても
NOと言えず、従うことに無理やり価値を見出して自分を駆り立てる。
ここで反論すれば、
みんなで血祭りにあげようとしてる人間の次は自分になるという保身。
みごとにいじめの構造はここにも存在していた。

犯人の父親が自殺の話も出ていたが、
犯人や赤軍派同志被害者で生きて強い母の姿が印象に残った。
いかなる状況でもやがて前向いて歩き出す強さは
女性の方に強く備えられているのかもしれない。
当時は年上だった犯人たちより母親世代に自分が今、近い所為か
どうしても親気持ちに目がいった。

犯人の息子に毎週差し入れに行く母。
長男は生まれながらに知的障害。夫の病気も支える。
次から次へ困難と思しきものがやってくるのだけど
何となく日常として処理してめげない女の人。
私の周りにも居る。
作者の意図とはズレたところに目が止まる。

時代は移り変わったけれど
集団における日本人の行動パターンは変わったかな?
辞めてゆくオーナー独裁の介護福祉施設のことなど頭に浮かべて
いろいろ感ずることあり。






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