Scarving 1979 : Always Look on the Bright Side of Life

1979年生な視点でちょっと明るく世の中を見てみようかと思います。

映画生感想『笑の大学』

2004年11月04日 14時40分02秒 | 映画
2004年11月2日、お仕事帰りにおひとり、
ワーナーみなとみらいにて、20時10分の回を鑑賞しました。

感想を一言で言うならば、
思わず声を出して笑ってしまう笑いがたくさんあり、
でもコメディではなく、人間の成長、感情の回帰が主題で、
映画というよりも、どこか舞台を観るような感覚で、
笑いつつも、最後には深みのある、見応えある作品でした。

…と、この感想を書くのに2日間も置いたのは、
どうしても拭えない違和感があったからなんです。

というのも、私の個人的な感覚で言えば、
私がダイキライな、全くナシな終わり方だったんです。

それまでずっと人間の明るい面を見せていたのに、
急に暗いとこを見せて、それを引っ張ったまま更なる悲劇で終わり、
っていう、いかにも小劇団の舞台っぽい根暗な終わり方で。。。

終盤までは、自然と声が出るくらい笑えたんです。

作品中で笑いのパターンを解説して、それがわかってるはずなのに、
でも笑ってしまうというのは、さすが三谷幸喜さんな、
台詞回しの優れた素晴らしい脚本だと思うんです。

そんな素晴らしい脚本に、
役所広司さんの名演技と、稲垣吾郎さんのオーバー演技が加わり、
ふたり芝居だとしても、全く飽きさせず、緊張感があり、
終始、楽しんで観ることが出来たんです。

そうして終盤までが良かった分、悲しさのある終わり方で、
脱力どころか、正直、怒りさえも感じました。

これじゃコメディ映画じゃないじゃん、
って、なんか騙された気分で。

私は基本的に作品を誉めたいんですけど、
この終わり方では映画として誉められない、って。

てか、一度悪いところが見つかると、
ドンドン想いは悪くなり、思ったよりも笑いが少なかった、とか、
余計なところまで気になりだしてしまって。

なかなかどう書こうか迷っていたんですけど。。。

でも、家に帰ってパンフレットを読んだら、
全ての違和感がスッキリして、とっても簡単に納得出来ました。

菊谷栄さんという方をモデルにしているため、
監督的には、終わり方を映画らしく華々しいものにしたかったけれど、
脚本家的には、それではモデルの人生と異なりウソになってしまうから出来ない、
ということで、映画らしいカタルシスがある大団円ではない、
一抹の悲しさある終わり方になった、という。

さらに映画版では、検閲官の人間的成長を描くことが主題であり、
作品として狙っているところもコメディではないから、
舞台版に比べて、あえて笑える部分を少なくした、という。

そんなことが書いてあったわけです。

そう言われたら、はい、わかりました、と、
素直に、そうした人間の成長作品として認めたわけです。

さらに、そのことを踏まえて考え直してみると、
笑いを通して人間が成長していくという視点の映画は、
素直にスゴイな、と急に誉めだしたりして。

変わり身は早いです。

いや~、いい作品でした、という気分です、今は。

こんな変わり身のある感想書いてて、
いいのでしょうか。

いいですよね、
いいです、はい。

きっと自然と声が出て笑ってしまうと思うので、
疲れてたり、機嫌が悪かったりするときに、
ぜひご覧になって、笑って気持ち良くなっていただければと思います。

けど、笑い、っていうものについては、
私は物心ついて以来、嘘でなく小学生の頃からずっと、
なぜかひねくれ厳しくて、なかなか認められないんですよね。

インテリがひねってひねってひねり出して、
そうして出来上がった脚本に演者の熱演が入って、
そこで生まれるものこそが笑いだと思うわけで、
あまりインテリでない人が、チョット思いついちゃった、
あるあるネタとか、そうですか、よかったですね、で終わりなわけです。

…と言いつつ、笑ってるときもある私なのですけどね。

私も検閲官するか。。。

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6 コメント

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良かった^^ (しまりす)
2004-11-06 01:30:34
映画を見たその時は納得できなくても、

後になって、ひょんなことから

目からウロコ状態になることってあるんですよね~。

ほんとは最初から分かればいいんでしょうけど、

そんな時ほど良い作品に思えてきたりして。

それはそれで、いいですよね^^
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余白 (aliz)
2004-11-06 10:33:51
今作って台詞メインなので、

想像する余白がたくさんあると思うんですよね。



ラジオドラマ版もあるみたいですしね、

どこかラジオ的に言葉からの想像で笑わせるみたいな。



で、それで、ラストまでも勝手に想像してしまったという

。。。



…そんな言い訳。



でもあの台詞の応酬は、

何度観ても楽しそうですよね。



いい作品でした。
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笑って泣きました (chishi)
2004-11-06 16:02:10
前半の笑いがあればあっただけ、後半に涙が出ました。

舞台も見たいですっ!
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確かに (aliz)
2004-11-06 21:48:03
舞台も見てみたいですよね、

話によるとレンタルビデオで貸し出してるとか?
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Unknown (かめむしこ)
2004-11-08 19:42:20
どうもご無沙汰していました。

先日はうちのブログに温かいコメントありがとうございました。

諸事情により、うちのブログは閉鎖状態ですが・・・。



『笑いの大学』舞台版がテレビ放映されたものしか観たことがない私としては、非常に気になります。

alizさんの感想を読んでマスマス、「今、観にゆきます」的心境です。
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お久しぶりです (aliz)
2004-11-08 23:03:40
お久しぶりです。

こちらでは報道も少なくなってきてしまいましたが、

もう日常に戻れているのでしょうか。



私は舞台版を観たことがないので、

とっても気になるんですよね。



映画版は検閲官側の視点なんですけど、

舞台版では検察官と脚本家どちらにもつかない視点で、

終わり方も違うとか。



この作品、劇場で観ると舞台っぽさが増して、

テレビ画面で観るのとは違う、

心に直接訴えかける、生っぽい感覚があると思います。



ので、機会があれば、

ぜひぜひ観に行ってみてください。
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