Scarving 1979 : Always Look on the Bright Side of Life

1979年生な視点でちょっと明るく世の中を見てみようかと思います。

映画生感想『ロスト・イン・トランスレーション』

2004年05月09日 08時15分30秒 | 映画
この作品については、昨年からずっと楽しみにしてましたが、
5月8日にようやくチネチッタ川崎で公開されるということで、
初日から観てまいりました。

いやはや待っていた甲斐があるくらい、
ホントに面白い作品でした。

私は大好きです。

CM撮影のためにひとり訪日して、
言葉の通じない日本のスタッフに振り回される、
結婚生活25年目のハリウッドの元大スター。

カメラマンの夫について訪日したけれど、
夫は仕事に出かけてしまい、なにもすることのない、
結婚生活2年目の若妻。

このふたりが体験する日本文化に対する戸惑い、疎外感と、
ふたりの心の交流をコミカルに、でも穏やかに描いた作品です。

海外では日本人が日本語を話す場面でも、
あえて字幕なしで上映され、
ふたりと同じように未知なる日本を体験することが出来て、
それが反響を呼んだそうです。

ということで、
出来る限り日本を知らない外国人の気持ちで観ると、
より面白く感じられます。

もちろん日本人の気持ちのままで見ても、
ごく普段通りの日本が画面の中にあり、
素直に笑うことが出来ます。

映画の演出のために作り込んだ街ではなく、
あえて普段生活する人達がカメラに映り込んでくる街中で、
とても好感が持てます。

そんな、私達には普通であり、外国人には異質な日本を、
外国人であるふたりの視点で見ることになるのですが、
ひとりでいる場面には不安感があり、
ふたりでいる場面には安心感があるのです。

ひとりでいるときには、日本を知っている私達でさえ、
孤独を感じ、どうにもドキドキ緊張した感覚になります。

ふたりでいると、その緊張感が解け、
異質だった街並みは、ふたりの背景となり、
素直に楽しむことが出来るようになります。

それでいて、同じ外国人同士でも、
ふたりがふたり以外の人と接し合う場面では、
とても違和感があります。

この感覚に関して、目に映る演出として、
外国人同士以外については、
特別なにかをしているわけではないのですが、
言葉では表現できない空気感を観客に感じさせる、
この演出は素晴らしいです。

また、なにも演技をしていないと思わせるくらい、
自然な演技も素晴らしいです。

ビル・マーレイ好きとしては、
ぜひともこの演技でアカデミー賞を受賞して欲しかったです。

自然を演じることの難しさと言ったら。。。

なんにしても、この作品をつくった、
ソフィア・コッポラ監督は天才である、
と断言してもいいでしょう。

かの『2001年宇宙の旅』は、
宇宙旅行ドキュメント、
と呼ばれたこともありました。

この作品についても同様に、
言語も文化も未知なる日本をさまようドキュメント、
と呼んでもいいのかもしれません。

人間の感情の移り変わりを、
ドキュメントレベルまで客観視して撮ることが出来る、
いわゆる神の視点で演出が出来るということは、
私的にキューブリックの跡を継ぐ存在になるかもしれません。

こうなったら、AIR好きでサントラだけ持ってる、
前作『ヴァージン・スーサイズ』も観なくてはなりませんね。

とにもかくにも、観たい映画がないな、とお悩みの方、
また、どこか旅行に行ってみたいけど時間がないな、という方、
どうぞ、この作品を観てください。

ホントに、とてもとても面白いです。
全く新しい経験が出来ます。

やっぱり映画って面白いものだな、
と、強く感じさせられました。

それで僕も、風をあつめて~♪

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (lieutenant+duck)
2004-05-22 20:03:56
コメントありがとうございます。



本当にいい映画でした。

寂しくて温かい。

東京というところで、誰かに「みつけてもらう」のは大変なんですよね。



私も1979年生まれです。

なんだか勝手に親近感を覚えてしまいました。
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1979 (aliz)
2004-05-23 02:10:49
自分の心を預けられて、周りが単なる景色になる、

そんな人と出会うのは東京に限らず大変な気がします。



1979生まれな私ですが、まだ見つかりません。



けれど1979というのは、

とても不思議な年ですよね。



移りゆく世の中で、大きく変わりゆくものを、

この目で見て、この手で触った、

最後で最初の年代な気がします。
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