わたしんちの医学革命と雑多な情報

「医学革命」とは薬からの解放への「個人の気づき」の事である。雑多な情報も「取捨選択」&「鵜呑み厳禁」はセルフサービスにて

「細菌が世界を支配する」世界で、人類はいつまで抵抗できるか?

2017年07月16日 | 感染症、ワクチン、予防接種

「細菌が世界を支配する」より

 

 世界で最初に抗生物質の発見をしたとされるフレミングの憂鬱。(民間では黴の利用はされていたというから、最初の発見かどうかは分かりませんが)

  フレミングの憂鬱とは

   将来、抗生物質に細菌が耐性を得るだろう・・・  と。

 

 あれから○十年・・(綾小路きみまろじゃないがね)

   あれほど優しかった妻は細菌のように強くなり・・・ワシも抗生物質も見る影も無い・・

 

 

ーーーーーーーーーー以下引用ーーーーーーー

 

 フローリーとチェーンとともに1945年のノーベル医学・生理学賞を受賞
したフレミングは、その受賞講演で、抗生物質の未来について述べている。

ほんとうに病気にかかった人も、病気だとみなされた人も、だれでもペニ
シリン注射を受けられる時代が来ることに思いを馳せていたのかもしれな
い。

そして、「無知な人が不十分な量の薬ですませるようなことがあれば、殺
されるに至らない量の薬にさらされた細菌は耐性を得るだろう」と警告し
た。

フレミングは、耐性菌が家族に、そしてやがて地域全体に広がっていく筋
書きを想定したのだ。

だが12月のその日、人々の想像力をかきたてたのは耐性菌という遠い未来
の奇妙な出来事ではなく、ペニシリン発見の華々しい物語のほうだった。


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突然変異戦争

 抗生物質の使いすぎや誤った使い方に対するフレミングの不安は、まも
なく現実のものとなる。

医師たちは、たいしたこともない傷や、頭痛、風邪、インフルエンザなど
の軽い病気にも、抗生物質を処方しはじめた。

薬の乱用を心配していた慧眼の医師さえ・体調の悪い患者からしつこく迫
られて、仕方なく処方することもあった。

風邪やインフルエンザなどウイルスが引きおこす病気には抗生物質が効か
ないことを、患者は知らなかったか、気にしていなかったにちがいない。


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 1960年代になると、もっとよく研究するために抗生物質を慎重に使うど
ころか、農業界は抗生物質の利用にさらに力を入れるようになった。

想定される病気を抑制するだけでなく、家畜や家禽を市場に送りだす前に
少しでも太らせようとしたのだ。

耐性菌が、病院以外にもあちこちで見つかりはじめた。

細菌学者が人の消化管、皮膚、口、あるいは自然界の水や土から細菌の試
料をとると、複数の耐性種が見つかる確率が高くなった。

今では、抗生物質耐性菌は台所の調理台にも、スボーッジムの器具にも、
ロッカールームにもいる。

2003年にはフランツ・ラインターラーが、廃水処理のすべての段階で抗生
物質耐性の大腸菌が見つかり、検査した菌株の大半は複数の抗生物質に耐
性をもっていることを明らかにした。

繊菌の世界は抗生物質でほとんど飽和状態になり、その結果として、抗生
物質耐性菌で飽和状態になってしまった。



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 細菌の適応能力はずば抜けている。


細菌は、染色体の大きいDNA分子のなかだけでなく、細胞質内にあって染
色体とは別のプラスミドと呼ばれる小さい環状のDNAにも、抗生物質への
耐性を発揮する遺伝子をもっている。


耐性遺伝子によって細胞が手にする、抗生物質の攻略方法には、次の5通
りがある。


1、抗生物質をこまかく切りきざむ、
2,薬がいつも入ってくる入口を変えて、細胞への抗生物質の侵入を防ぐ、
3.抗生物質が細胞に侵入してきたら、すぐポンプのように外に汲みだす、
4,薬が細胞内部に与えた傷を修復する、
5,抗生物質が損傷を与える効果を減らすように代謝を変更する。


つまり細菌は、少なくとも抗生物質が作用する仕組みと同じ数だけ、抗生
物質に対抗する作戦を備えている。


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 1940年代と1950年代に使われはじめたペニシリンやサルファ剤などの新
しい抗生物質によって.症状のとでも重い患者を治療する医師は、そもそ
もの感染がウイルスによるものだとわかっていても、二次感染の細菌を殺
すのに役立つかもしれないと考え、細菌性でない病気に抗生物質を試して
みたい気持ちにかられることもあった。

抗生物質の効果が薄れはじめたことに気づけば、ただ別の新しい抗生物質
を処方すればよかった。

ひとりの患者に2種類の薬を同時に投与することもあった。

ふたつの抗生物質をいっしょに使うと、しばらくは細菌を抑えられたが、
このやりかたでは問題も生じた。

手当たりしだいにふたつを組みあわせられるわけではないし・ふたつなら
ひとつだけよりよく効くとも限らない。

なかには同時に使われた薬の働きを弱めてしまうものもある。

ストレプトマイシンはクロラムフェニコールの活動を妨げ、エリスロマイ
シンはペニシリンの働きの邪魔をする。

たとえば、テトラサイクリンがブドウ球菌をやっつけられるのは、成熟し
た細胞でのタンパク質の合成を阻害するからだ。

ところがペニシリンが細胞壁に対して効き目を発揮するためには・新しく
成長している細胞が必要になる。

テトラサイクリンは細菌の成長を遅らせることによって、ペニシリンの作
用機構を無力化してしまう。

 複数の抗生物質の使用によって・たとえ正しい組みあわせだったとして
も、細菌に多剤耐性が生まれた。

今では、同時にたくさんの抗生物質の働きを逃れる細菌がある。

自然界では古くから、細菌は同時にいくつもの抗生物質やバクテリオシン
にさらされてきたのだから、これは特に並外れた才能というわけではなく、
おそらく少数の細菌にはあらかじめ多剤耐性があったのだろう。

土壌細菌は、抗生物質を産生する菌類や細菌と密に接しているため、生き
残りのためには抗生物質への耐性が不可欠になる。

1950年代から80年代にかけて急増した抗生物質の使用は、細菌の防御の進
化をいたずらに加速させてしまった。

 ふたつ以上の抗生物質に対抗するために、新たな耐性遺伝子を備えはじ
めた細菌もある。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(‥MRSA)は、ペニシリン系抗生物質への
耐性をコントロールする遺伝子のほかに、テトラサィクリン、クリンダマ
ィシン、アミノグリコシド、エリスロマィシンに耐性を示す遺伝子ももっ
ている。

 ポンプの仕組みを備えた細菌は、抗生物質が細胞壁と細胞膜を通過した
とたんに、それを外に汲みだすことができる。

これらの細菌は、ABCトランスポーター(ATP結合カセットトランスポー
ター) と呼ばれる適応によって、複数の薬剤を用いる治療に抵抗できる、
より高度なシステムを発達させた。

(カセットは、ひとつのチームとして働く遺伝子の集まり。

) 細菌、古細菌、真核生物にあるABCトランスポーターは、一定の有害
な分子を細胞の外にポンプのようにして汲みだすタンパク質だ。

(化学療法が効かない癌は、ひとつには、ABCトランスポーターを駆使し
て薬を癌細胞から排出することによって治療を妨げている。

) ABCトランスポーターは、細菌の細胞膜の細胞質を取りかこむ内側の
面から膜の外側の面まで達する2個のタンパク質でできていて、それらは
細胞膜を貫通する微細な孔を作っている。

細胞はこの細孔を利用し、エネルギーを費やして、2種類以上の抗生物質
をはじめ各種の化学物質を外に捨ててしまう。

細菌にはおよそ30種類の異なるABCトランスポーターが撚って、それぞれ
の環境で自分を傷つける可能性のある多彩な化学物質を、せっせと瀾胞の
外に運びだしている。

トランスポーターは抗生物質やバクテリオシンだけでなく、胆汁塩、免疫
系因子、ホルモン、イオンまで運び、最近では人間が創り出した抗生物質
にも適応して、排出する事がわかってきた。

多剤耐性は今、ひとつの抗生物質への耐性よりも一般的になった。

細菌によっては、あまりにも多くの防衛機能を備えているので、まるで製
薬会社の必死の努力を打ち負かすために特別に作られたのではないかと思
えるものまである。

ヒト型結核菌には30種類の異なるABCトランスポーターが含まれているの
で、ほかの防衛策がうまくいかなかったとしても、これらの補助の防衛機
能が働。
O第一に・この細菌の細胞壁は特殊な構造をしているため・ほかの細菌に
は有効な多くの抗生物質もこの壁を通りぬけることができない。

もしこの壁をなんとか通過する抗生物質があれば、ABCトランスポーター
のシステムが作動する。

第二に、ヒト型結核菌は免疫系の細胞の内部に隠れる能力をもっていて・
血流に乗ってからだをめぐる抗生物質の攻撃を逃れることができる。

第三に、大腸菌がウサギの速さで増殖できるとするなら・ヒト型結核菌の
増殖はカメだ。

ゆっくりした増殖そのものが身を護るわけではないが、医師が抗生物質を
用いて結核を治療しょうとすると、時間が長くかかる。

ほとんどの抗生物質は細菌の分裂中に一番よく効くため・結核菌のゆっく
りした増殖は、抗生物質の効率を下げてしまう。

通常の結核治療には半年か、それ以上の時間がかかり、どんなに几帳面な
患者でもそんなに長いあいだ決まった時間に薬を飲みつづけるのはなかな
か難しいから、それだけでも病原菌にとっては好都合なのだ。


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 ヒト型結核菌がもつ複数の防衛機能のせいで・1940年代に抗生物質を用
いる治療がはじまったとき、医師はふたつ以上の抗生物質を使わざるをえ
なかった。

2種類の抗生物質は長年にわたって効果を上げていたが、今ではこの細菌
を殺すのに4種類の薬が必要になっており、その4種類すべてに耐性をもつ
株も多い。

結核に効く抗生物質の選択肢は、狭まるばかりだ。

ほかの細菌と同様にヒト型結核菌も、有利な形質を発達させる場合、それ
に対応する遺伝子をDNAのなかに保存している。

多剤耐性は、皮膚感染、件感染症、肺炎でもごくふつうに見られるように
なった。

 1936年にドイツではじめてサルファ剤が淋病の治療に使われて以来、19
42年までにはサルファ剤に耐性をもった淋菌() の株がドイツ全土に広
まった。

アメリカの製薬会社がペニシリンを大量生産するようになるとすぐ、医師
たちはサルファ剤をやめてペニシリンに飛びついた。

だが1960年代に到達する前に、ペニシリンを粉々に切断できる耐性をもつ
淋菌が世界中に広まった。

それより15年も早く、すでにブドウ球菌属のほとんどすべての種がペニシ
リンへの耐性を示していた。

細菌が耐性を作りだして共有する効率は著しく上がり、もう適応までに何
か月や何年もかかることはない。

たとえば、腎臓の感染症に対してストレプトマイシンによる治療を開始す
ると、その4日後には、患者の尿サンプルに含まれるストレプ卜マイシン
耐性菌の数が、通常に影響を受ける菌より多くなる。

 細菌は抗生物質に対して、プラスミドと呼ばれる効果的な防衛手段をも
っている。

同じ種の細菌どうしで、ときには異なる種のあいだでも、プラスミドをや
りとりすることによって、ふつうはもっていない便利な形質を相手からも
らうことができる。

相手の細胞にプラスミドを渡す前に、染色体から耐性遺伝子を取りだして
プラスミドに挿入する細菌もある。

細胞は、ほかの細胞が死んでバラバラになったとlきにそのかけらを吸収
して、または細胞どうしが結びついて、染色体にあるDNA断片全体を共有
してしまうこともある。

 微生物学者は細菌の抗生物質防衛策の裏をかこうと、あの手この手を試
してきた。
そのひとつで「トロイの木馬」と呼ばれる策略は、自然の生きものどうL
が鉄を奪いあう競争を利用する。

生息環境には鉄が足りないことが多いため、細菌はシデロフォア(鉄の運
搬体)と呼ばれる化合物を作りだし・周囲にある貴重な鉄の分子を包みこ
んで、特殊な細孔から櫛胞内に取りこむ。

そこで微生物学者は・鉄の代わりに抗生物質を包むシデロフォアを考えた。

細菌はシデロフォアに気づくと、細孔を開いてそれを内部に取りこむから、
抗生物質を侵入させることができる。

 細胞内に抗生物質をこっそり持ちこむトリックにだまされない細菌につ
いては、シデロフォアが取りこむ金属を鉄からガリウムに置きかえてしま
う作戦を用いる。

鉄とガリウムは細菌から見るとよく似ているが、こうすることで細菌から
不可欠な鉄を奪いとることができる。

 さらに、バクテリォファージ(ファージとも呼ばれ、細菌だけを攻撃す
るウイルス)を利用して自由に操る別の武器もある。

徴生物界では、ファージが戦闘機なら細菌は母艦のようなものだ。

ファージの大きさは・最も長い場所を端から端まで測っても最大で225ナ
ノメートルしかない。

一般的な細菌の細胞の体積は、ファージの体積の1300倍にもなる。

 そこで微生物学者は、細菌の内部にもぐりこんで細菌の修復システムを
動かなくさせたり、抗生物質を汲みだすポンプを閉じたりするファージを
考案して、1世紀も前にファージを発見したフエリックス・デレルのアイ
デアを復活させている。

この方法はすでに遺伝子療法という新しい分野で、遺伝子疾患を治すため
に、八開で試されてきた。

遺伝子療法では分子生物学者が、人に感染するウイルスに、人間のDNA内
で欠陥を修復する特別な遺伝子を組みこむ遺伝子操作を行なっている。

ウイルスが病気を引きおこさないように不活性化しながら、人という宿主
には感染できるようにしておく。

遺伝子操作を加えられたウイルスは、細胞のDNA複製の働きを引きついで、
欠陥のあるDNAに新しい遺伝子を挿入する。

 抗生物質を運びこんだり耐性菌の防衛策の裏をかいたりするためのフ
ァージは、まだ実験の段階から出ていない。

それでも細菌は薬に負けまいと常に進化しっづけているから、生物学は独
自に新しい武器を用意して、後れをとらないようにする必要がある。


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 DNAを共有する細菌

 遺伝子導入によって、細菌は別の微生物から有用な遺伝子を受けとるこ
とができる。

真核生物の場合、藻類から人間にいたるすべての生きもので、遺伝子の導
入は配偶子の融合というたったひとつの仕組みだけで起こる。

ォスとメスの1個ずつの配偶子が受精卵(接合子)を作り、そこに両親か
ら受けついだDNAが入る。

ところが細菌と古細菌は、おもに3つの方法で遺伝子をやりとりすること
ができる。

形質転換、形質導入、接合だ。

これらはすべて、娘細胞を生みだすことによって実現する標準的な遺伝子
の共有ではなく、ふたつ以上の成熱した細胞のあいだで起こるので、遺伝
子の水平伝播と呼ばれているO 形質転換は、細菌がDNAを周囲の環境から
直接取りこむときに起こる。

核様体またはプラスミドのどちらかに入っていたDNA分子が利用される。

どちらの場合も、別の細胞が死んで溶け、水生環境で分解されたDNAだ。

生きた細菌細胞が生息環境でそうしたDNAを見付けると、その高分子化合
物にくっつき、酵素を利用してほどきにかかる。

DNAは、はしごに似た二重らせんの構造をしている。

そこで酵素ははしごの横棒をつぎつぎに切って、DNAを1本ずつに分ける。

1本はそのまま分解してしまうが、細胞は残りの1本を内部に取りいれ、そ
こで自分のDNAに組みこむ。

 形質導入は、バクテリオファージが細菌細胞に感染して、別の微生物の
DNAを持ちこむことで起こる。

ファージが細胞のDNA複製手段を乗っとっても、その細菌を殺さなければ、
細菌細胞は一部に異なるDNAをもつ新しい子孫を作ることになる。

それまで自然界にはなかった、まったく新しい細菌が、増殖をはじめる。

 細胞間のプラスミドの移動は、接合によって起こる。

接合は、ふたつの細胞が性線毛と呼ばれる管によって物理的に結びつくた
め、細菌版の有性生殖とも言われてきた。

一方の細胞からもう一方の細胞に性線毛を伝わってDNAが移動したあと、
性線毛は切れる。

接合の結果、受容側の細胞は新しい遺伝子を既存のDNAに組みこむ。

その細胞が分裂すれば、娘細胞およびその後の世代はこれらの遺伝子をも
つことになる。

 細菌で起こる遺伝子導入は、抗生物質耐性遺伝子を細菌集団のあいだで
伝えられるという点で、最も深刻な影響をおよぼす。

ここで説明してきたDNAをやりとりする3つの方法のどれかひとつを使える
かぎり、細菌どうLが近縁である必要はない。

プラスミドは抗生物質への耐性に利用される遺伝子を複数もつことがわか
っているので、これまでの数十年間で抗生物質耐性が拡大した最大のルー
トは、プラスミドの移動だろうと考えられる。

細菌における遺伝子導入の進化について、生物学はまだ
すべての疑問を解明できていないが、これらのシステムが細菌にもたらす
利点に疑問の余地はない。

                                 
              
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 細菌はチャンスを見逃さない

 抗生物質耐性菌による感染が最も多く発生するのは病院だ。

病院では抗年物質がたくさん使われるうえ、集まる患者は病気、外傷、手
術によって弱っているから、細菌感染に絶好の機会を与える。


病院や医療機関内で新たな細菌などに感染することを、「院内感染」と呼
ぶ。


異なる患者に接する前に正しく手を洗わない医師、看護師、技師など、病
院職員からの感染も多い。

病院の職員をだまって観察してみたところ、正しい手洗いを励行している
医療専門家は、一般の人たちよりわずかに多いだけという結果が出た。

一般で正しく手を洗っている人は、全体の半分にも満たない。

しかも医療専門家のお粗末な手洗い(洗う時間が短い、使う石鹸が少ない、
石鹸を使わない、またはまったく手を洗わない) の大半は、一般の人た
ちが利用するトイレでのことだった!

 現在ではほとんどの病院で、ほかのどの場所より多くの細菌が見つかり、
それらの院内細菌では多剤耐性の発生率が高い。


細菌はすべて危険だと人々が信じるのも無理はないが、そのような考え方
が、抗生物質の乱用だけでなく、同じように殺菌剤など抗菌製品の使いす
ぎも招いてきた。


 医学生物学者のスチュアート・レヴィは、殺菌剤で熱心に掃除しすぎれ
ば、細菌が耐性を発達させるチャンスを増やすだけだと警告してきた。


殺菌剤や抗生物質に耐性をもつスーパー細菌は、遺伝子をやりとりするこ
とによって、最高の防衛策を共有してきたのだろうか?

 洗浄・漂白用製品(漂白剤、第四級アンモニウム化合物) に含まれて
いる化学物質は、抗生物質の共有はあり得ないように思える。

それでも、細菌がこれらの化学物質を排出する方法は、抗生物質を追いだ
す場合とほとんど同じで、使うのはポンプのような仕組みだ。

「ポンプ」という言葉は誤解を招くかもしれない。


細菌の抗生物質汲みだしポンプは細胞内にあるトランスポーター(輸送
体) を利用している。

細菌の外側の膜にある受容体の細孔を通って抗生物質が細胞内に入ると、
トランスポーターがそれに気づいて抗生物質に近づき、つかまえてしまう。


こうして抗生物質によって変化したトランスポーターを、細菌のタンパク
質(膜融合タンパク質と呼ばれるもの) が見つけ、その複合体を大急ぎ
で別の細孔から外に運びだす。


細菌は、トランスポーターと膜融合タンパク質を作るのに必要な栄養分を
確保できるかぎり、抗生物質を追いだしてそれに対抗できる。


このシステムが正しく働くためには、トランスポーターが抗生物質の全体
または一部に気づかなければならないので、化学者たちは気づかれないよ
うな独特の抗生物質を生みだそうとしているし、生物学者は抗生物質の汲
みだしポンプの仕組みを台無しにしてしまう、新しい天然物質を探してい
る。


もし、化学物質の排出ポンプと抗生物質の排出ポンプがまったく同一のも
のなら、超スーパー細菌があらわれて、抗生物質だけでなく殺菌剤にも耐
性を示す日は近いだろう。


完璧な耐性か、完璧な薬か ー この競争でどちらが勝つかは、まだだれ
にもわからない。


 たしかに抗生物質耐性の発達は、これまでいつも宿主と仲良く暮らして
きた細菌を変えてしまった。


からだに住みついた善玉菌が感染症を起こすのは、環境が変化して、感染
しやすくなったときだ。

その場合の環境は、ふつう免疫力が弱ったり未成熟だったりすることに関
係し、おもに次のような要因をもつ 「ハイリスク群」とされる人々で起
こる。


からだを衰弱させる慢性病
薬物やアルコールの依存症
栄養不足
妊娠
老齢
幼齢(乳幼児と12歳未満の子ども)
HIV/AIDS
臓器移植
癌の化学療法や放射線療法


 ここにあげたストレス要因はどれも、抗生物質耐性菌が感染症を引きお
こし、それに対して抗生物質が投与され、それがさらに耐性を強めるとい
う、危険な循環を増幅する。

ごく一般的にからだについている細菌のひとつ、黄色ブドウ球菌は、すで
に有l数の多剤耐性菌として知られるようになった。

黄色ブドウ球菌は健康リスクであると同時にからだの常在菌でもあるのだ
から、数々の選択肢のなかから抗生物質や殺菌剤などの武器を選ぶよりも、
ひとりひとりがよい衛生状態を保つほうが効果的だ(図3・2)。

物質はもうすべて見つかってしまった」から、天然または合成の新薬を生
みだす研究は難しくなり、かかる費用も増えている。

かつて抗生物質の生産でトップに立っていた会社も、今では新しい抗生物
質の研究費を減らしてしまった。

天井知らずの研究費と、認められるまでに時間がかかりすぎて新薬から十
分な利益を見込めない特許の仕組みのせいで、医師が感染症への対応に繰
りだせる道具の範囲は狭まるばかりだ。

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 起業家たちはこれまでに、コロイド銀、鋼、亜鉛、マグネシウム、薬草
(クローブ、ェキナシア、 ノ用ガーリック、ォレガノ、ターメリック、
タイム)、柑橘油、ティーッリーオイル・エキス、グレープフルーツシー
ド・エキスを試してきた。

これらのほとんどを実験室の培養物で検査してみたが、どれにもたしかに
抗菌作用がある。

だが、実験室で細菌の増殖を抑えるのは、自然界や体内にいる細菌の力を
抑えるより、はるかに簡単なのだ。

抗生物質は急速に増殖している細胞に一番よく効くから、実験室の細菌は、
最も影響を受けやすい状態になっている。

自然界なら、細菌は防衛機能のスイッチを入れ、増殖の速度をゆるめる。

そのどちらも、抗菌剤のもつ働きの一部を無効にしてしまう。

 新しい世代の抗生物質はまだ登場していない。

もしあらわれるとするなら、たぶん海からやってくるだろう。

科学者たちはこれまでの10年間に、だれも見たことがなかった抗生物質を
生みだす海洋細菌、藻類、カイメン、サンゴ、微小な無脊椎動物を探しだ
した。

新たな海洋性の抗生物質が、ブドウ球菌感染症、淋病、連鎖球菌、結核、
院内感染との戦いに負けつづけている現在の抗生物質にとって
かわる日は、近いかもしれない。


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  薬の歴史

紀元前2000年   さあ、この根っこを食べなさい。

西暦1000年  そんな根っこは野蛮だ。
さあ、祈りなさい。

西暦1850年  そんなお祈りは迷信だよ。
さあ、この妙薬を飲み干してごらん。

西暦1920年  そんな薬は当てにならないよ。
さあ、この錠剤を飲みなさい。

西暦1945年  そんな錠剤は効かない。
さあ、このペニシリンを注射しよう。


西暦1955年  おっと……バイ菌が突然変異した。
さあ、このテトラサイクリンを注射しよう。

西暦1960~1999年 さらに39回の 「おっと……」。
さあ、もっと強力なこの抗生物質を 注射しよう。

西暦2000年 バイ菌の勝ちだ! さあ、この根っこを食べなさい。

                                 
 作者不詳 (2000年)

 

ーーーーーーーーーーーー引用終わりーーーーーーーーーー

 

 

 

 

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