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LEVORG なるほど「ターボとブースト計のはなし」

2014-07-29 23:34:13 | LEVORG



スバルのターボ車に乗り換えてからずっとつけているオプション「ブースト計」。
レヴォーグも予約するときにカタログにブースト計が無かったので思わず営業担当者に聞いてしまいました。
2.0LのMFDに表示できるとわかったのは少し経ってからでした。



なぜ「ブースト計」をつけるのか、
ただなんとなくカッコいいというだけの理由ではなく、
車の状態を知るために必要な機器だからなのです。

今回は、難しい話なので、つたない私の説明で理解していただけるか不安でもあります。
でも、チャレンジ!してみます。


そもそも、過給機(スーパーチャージャー)というものは、かなり昔からあった原理であり機器です。
私が知る最も有名な話は、
太平洋戦争の時に米軍の戦闘機や爆撃機はすでにエンジンに過給機をつけていたということです。
過給機を持つことによって、日本の戦闘機よりもより高い高度を飛ぶことができ、
エンジンの性能も空気が薄くなる影響を受けにくく、日本の戦闘機よりも有利に戦うことができたそうです。
B29にこれが搭載されていたのでたまらないですね。

過給機の原理は、
「エンジンの吸入する空気の圧力を大気圧以上に高める。」と言うことで、
その効果は、「たくさんの空気を得ることができたエンジンはより大きな爆発を得ることができ、大きなエネルギーを生み出すことができる。」ということです。


スバル車の過給機は、「排気タービン式過給機」で、
排気ガスを利用して排気タービンを回し、その動力を使って反対側のコンプレッサーを駆動することで空気をエンジンへ圧送するという仕組みです。
実は、この「排気ガスを使う」という事がそのままではターボラグを生むことにもなってしまうのです。
低速時など排気ガスの力が弱いとこの排気タービンを回す力が弱いので加圧できにくい。
ところが、アクセルをだんだん踏み込むことで排気ガスの量が多くなるとタービンが力強く回り始め、ターボがちょっと遅れて強く効いた状態になる。
(いわゆるドッカンターボ)
急に力強く走り出したら、運転しにくいですよね。

スバルはターボの癖をなくしドライバーが操りやすくするために、
「ツインスクロールターボ」という技術を導入しています。
これは、二つの気流(弱い、強い)を使い分ける技術なのですが、
低速~中速にかけては弱い排気ガスでも、タービンにかける口を絞ることによって、
効率よく排気タービンを回すことができる。
つまり、低速時からターボの掛かりが良くなります。
中速以上にかけては、通常の気流を使うことで排気タービンは勢いよく回りますので、更に力のある加速を味わうことができます。
ツインスクロールターボは排気タービンは一つです。
このほかに、機械式ターボチャージャーやシーケンシャルツインターボ(排気タービンは二つ)、可変容量ターボなどがありますね。


ターボの仕組みが分かったので、
ブースト計の話にかわります。
一言でいうと、ターボチャージャーがエンジンにどのように働きかけているのかを見るゲージになります。
上記の写真でもわかるように、
0を境に左側にマイナス、右側にプラスの表記になります。
走行していて右側に針が触れているとき(0よりも大きな数値)が正(加)圧状態。
ターボチャージャーが仕事をして、エンジンに活を入れている状態です。


しかし、エンジンを掛けてアイドリングしているときにはブースト計はマイナス表示です。負圧の状態。
ではなぜ、エンジンを掛けてアイドリングすると負圧の状態になるのでしょうか。
それはエンジンのピストン下降運動によって筒内の気圧が大気圧より低くなるからです。
NAエンジンの基本的なメカニズムはこの負圧の原理によって成り立っています。


そして、0の状態とはエンジンが止まっている状態、エンジンのシリンダー内の圧力は大気圧と同じということになります。
つまりゲージの表示は0なのですが、1気圧ということになります。(これ重要)

ポイント1
正圧の状態を説明するのに、それぞれの単位の関係を下に示します。
-----------------------------------
1 バール (bar) = 100 000 Pa
= 100 キロパスカル (kPa) = 0.1 メガパスカル (MPa)
≈ 0.987 気圧(標準大気圧) (atm)
≈ 約1 標準気圧 (atm)
----------------------------------- 

になります。(暗記しなくても良いですー。)
スバルのブースト計はSI表示の ×100kPa になっています。
0の時に約1気圧ですので、
レヴォーグ2.0はどれくらいターボチャージャーで加圧できるのかというと。
driverの雑誌によれば、(22ページ 私の車のピークホールド値も大体同じ)
1.4×100kPa=140kPa
です。
この数値がどれくらいのエンジン規模を表しているのか次の計算で分かります。

2000cc×(1.0+1.4)=4800cc 
(ゲージ0表示で約1気圧なので1.0を加算しています)
最大過給でこれくらいのエンジンと同等の力があるということです。
まぁ、4800ccは無いにしても「4Lを超えるエンジン」と言われる所以です。 


ポイント2
(私は、メカニックの方に教わったのですが、)
ターボエンジン車ではこの負圧の状態が健康のバロメータであるということ。
まず、自分の車のエンジンアイドリング時の負圧のゲージの数値を読み取っておきましょう。
しばらく車を使用して、アイドリング時の負圧のゲージを計ると徐々に最初にはかった時よりも0に近づいてきます。
これがポイントです。何が起こっているのでしょうか。
実は「エンジンオイルの劣化」が考えらるのです。
つまり、エンジンオイルが使用されることで性能が落ち、筒内の気密性が下がり、
負圧が弱くなっている可能性があるということです。
これを放っておくとピストンリングの摩耗やシーリングの劣化などさらに大きな問題につながるという事です。
ですので、ターボ車を乗るときに注意することとして、
エンジンオイルの交換はターボ車専用の物で、一定期間(使用頻度の他に時間でも劣化するので)で交換した方が良いのです。
説明書に書かれている距離などで交換すれば問題ないと思います。
でも、このようにブースト計を使ってもある程度目途をつけることができるのです。


最後に、ハイオクの話。
DITエンジンはこのように複雑な制御で成り立っているので、
異常燃焼が起きないよう様々な工夫をしています。
その一つが燃料、ハイオクガソリンです。
ハイオクタンとは、
石油燃料を内燃機関で燃やしたときにノッキングと呼ばれる障害の起こしにくさ(アンチノッキング性)の度合いが高いことが特徴。
1.6Lはレギュラーガソリンで制御しているので、本当にすごい技術なのです。

また、
「ハイオクにしたから馬力が上がるわけではありません。」
結構いると思います。「レギュラーガソリン車にハイオク入れたら性能が上がると勘違いされている方。」 


すごい長い記事になってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。
多分、そんなに外れたことは言っていないと思います。

疲れた。。。 


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12 コメント

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なるほど! (ざわ)
2014-07-29 23:53:20
大変参考になりました!
毎日更新を楽しみにしてます(^^)
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Unknown (いさお)
2014-07-30 06:59:43
すっごく分かり易かったです。勉強になりました!
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ざわさん (ak)
2014-07-30 09:25:48
コメントありがとうございます。
自分の趣味でやっているのでコメントが無くても仕方が無いのですが、応答があるとやる気になります。(笑
スバルのターボ車に乗り換えた時に、興味半分で調べ、人に聞いたりして仕組みを知りました。
水平対向エンジンとターボは切っても切れない関係なので、スバル車を理解するには重要だと勝手に思っています。
返信する
いさおさん (ak)
2014-07-30 09:28:04
おはようございます。
コメントありがとうございます。
少しお役に立てて良かったです。
だんだん、レヴォーグ関係の記事を更新するのが、
テーマを見つけるのも大変になって来ています。(笑
もう少しがんばってみるつもりです。
返信する
Unknown (ita)
2014-07-30 12:23:44
ありがとうございます。とても勉強になりました。それにしても結構高圧の空気を送り込んでいるんですね。エンジンオイルの交換はケチらないようにしなければ・・・
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itaさん (ak)
2014-07-30 21:04:32
こんばんは。
コメントありがとうございます。
>結構高圧の空気を送り込んでいるんですね。
そうなんです。
なので、WRX STIなどは、ピストンが高強度アルミ合金製鋳造だったり、強化クランクシャフト、専用のエンジンブロックを使っていたりします。
整備をきちんとやっておけば、スバルのメンテナンス記録に残るので下取り時も有利に折衝できたりします。
返信する
レヴォーグの愛車 (toukaiteiouru)
2014-08-08 13:33:13
こんにちは!!
このブーストです。
メカのことはあまり詳しくないのでついていけませんが
なんとなく解りました。
STI乗せている車でよくエンブレム貼っている車ありますよねぇ
あのエンブレムもかっこいいなぁ
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toukaiteiouruさん (ak)
2014-08-08 21:24:49
こんばんは。
STIは、
Subaru Tecnica Internationalの略で、
スバルのラリーを担当していたワークスです。
そこの手がけた車はSTIのバッヂが付きます。
STIじゃないのに、STIつけているとスバルが好きな人にはわかってしまいます。(笑
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Unknown (classicelement)
2014-08-20 19:12:55
いつも楽しく拝見しております。
凄く興味深い内容で勉強になりました!
私はNAのBRZに乗っております。やっぱりターボ良いですね!憧れます。
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classicelementさん (ak)
2014-08-20 21:46:38
こんばんは。
コメントありがとうございます。
BRZも良いですよね(86はちょっと。。笑)。大好きです。
ターボ車は癖がありますが、その仕組みを分かればドライビングの時にある程度制御ができます。

私は10年以上前にアルテッツアに乗っていました。エンジンは非力でしたが、FR車の良いところ(ハンドリングやフィーリング)は好きでした。
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