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空海は最澄に密教を教えてほしいと頼まれたが・・・
空海と最澄は乙訓寺で初めて対面した・・・
「最澄さま・・・
せっかくの申し出ですが
既に最澄さまの密教は国家が公認しています
私の密教は公認されていません」
「それはそうですが 私の密教は本物とちがいます
私に密教を教えてください
そのためにはなりふり構ってはいられません」
「・・・先輩の学ぼうとする姿勢に あたまがさがります
正直にいいます
ずっと前から先輩の密教はニセモノだと思っていました
だから・・・
最澄さまに会うのをためらっていました。」
「やはり。
何度か手紙を書きましたがご返事がないのはそのためでしたか」
「・・・最澄さまと仲が良かった桓武天皇さまが亡くなり
嵯峨天皇さまの時代になって
私は嵯峨天皇さまに近寄りました」
「そうでしたか・・・」
空海はアッくんと部屋を出た・・・
「何か深刻な様子ですよ 最澄さま
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「うむ。どうしても密教を教わりたいのだろう」
「アッ!花ですよ
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「白いモクレンのようだ」
「モクレンの花ことばは『恩恵』だそうです
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「恩恵・・・
密教の恩を受けたのは中国の恵果さまであった」
「空海さまの和尚さまは恵果さまという方なのですね
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「そう。拙僧は中国で
大学の勉強を途中で捨てて
山や野を放浪して
密教を志した」
「はい
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「密教のことの情報を少しづつ集め
密教の全体を想像し 期待し
いろんなものを独学で学び
我流で中国の長安で恵果さまに会った」
「どうだったのですか?
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「我流で学んだ密教が正しい密教と合っていた」
「すごいことですよ!
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「そうです。だから恵果和尚は私に全てを伝授されました。
恵果和尚は千人の弟子を育てられました
その中には 何十年も学んだ人もいるのです。
結果 伝授されたのは早世した弟子と拙僧の二人だけでした。」
「そんなに苦労されて会得したものだったのですね
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つづく
(写真は乙訓寺のハクモクレンです!)