Moments musicaux

ピアニスト・指揮者、内藤 晃の最新情報です。日々、楽興の時(Moments musicaux)を生きてます。

2月16日(木) ホクト文化ホール(長野)

2012年01月22日 | 講座


2月に長野県でドビュッシーの講座をさせていただくことになりました。

「ドビュッシーを弾く~重層的な響きの宇宙を描くために」
2月16日(木)10:00~12:00
於 ホクト文化ホール(小ホール)

ドビュッシーの音楽の精妙な響きは、さまざまな段階の音響の層が重なり合って立体的に構成されています。この講座では、とりわけドビュッシー作品の《響き》に焦点を当て、作曲家のイメージした響きに近づくべく、前奏曲集第1巻を題材に、これらの層をどんな音色・タッチで弾き分けながら美しくブレンドしてゆくか考えます。

お問い合わせ:ピアノショップ ポンド 公開講座事業部 026-254-7515

詳細はこちらをご覧ください。

2月5日(日) スティマーザール[滋賀]

2012年01月07日 | コンサート
2012年はクロード・ドビュッシー生誕150年にあたります。



ドビュッシーはジャポニズムの影響を強く受けた作曲家でした。たとえば、交響詩「海」の初版楽譜の表紙には、ドビュッシー本人の希望で、作品の着想の基となった葛飾北斎の名高い浮世絵《神奈川沖波裏》が採用されていますが、この浮世絵はドビュッシーの自室にも飾られていたといいます。鯉の漆絵の印象に基づく「映像第2集」の「金色の魚」もジャポニズムの影響の色濃い作品です。
これらの特定の作品のみならず、ドビュッシーの音楽には、日本的とも言えるスタティックな美意識が底流しています。彼が全音音階やペンタトニックを用いて演出した新しい響きの世界は、従来の機能和声のドミナントモーションがもたらす動的な要素がうすれ、静寂を慈しむような独特の風情を漂わせており、私たち日本人にえもいわれぬ懐かしさを感じさせます。

さて、日本の型染画家、故・伊砂利彦氏は、特定の音楽作品をモチーフにした作品を制作されており、今回、私のピアノ演奏とのコラボレーションを企画していただきました。2月5日(日)15:00より、滋賀県守山市スティマーザールです。ドビュッシー:前奏曲集第1巻をテーマにした伊砂氏の作品の展示とともに、同曲の演奏を聴いていただくコンサートです。日本の伝統工芸である型染の醸し出す静かな空気感は、ドビュッシーの音楽と素敵なマリアージュを見せてくれるに違いありません。さらに、御菓子司 山口富藏氏が、ドビュッシー:前奏曲集第1巻の曲の印象を基に、特別創作和菓子を作ってくださるという企画もあり、私も大変楽しみにしています。



このコンサートをプロデュースしてくださったのは、スティマーザールのオーナーである調律師 上野泰永さんです。スティマーザールは、上野さんが自ら設計して建設された「音の実験場」で、たいへん芳醇で音楽的な響きのする空間です。名器ベーゼンドルファー・インペリアルも、ちょっとびっくりするような深々とした響きを奏でてくれます。ピアノを愛する皆さんにはぜひ一度訪れていただきたい素敵な場所です。

コンサートの詳細はこちらをご覧ください。ご来聴を心よりお待ち申し上げます。

ベートーヴェンを読む

2012年01月03日 | お知らせ
私が訳出に協力させていただいた音楽書 チャールズ・ローゼン著『ベートーヴェンを読む』がこのたび出版の運びとなりました。アメリカの名ピアニスト、チャールズ・ローゼン氏による、ベートーヴェンのピアノソナタに関する論考です。
チャールズ・ローゼン氏は、プリンストン大学出身の米国の知性派ピアニスト。文筆活動も旺盛で著書も数多く、数年前に邦訳された『ピアノノート』はベストセラーになりました。
この『ベートーヴェンを読む』は、ローゼン氏が、当時の楽譜を基にベートーヴェンの思考回路を精緻に紐解こうとした労作で、記譜法の癖や楽器の構造、他の作曲家の作品との比較など、縦横無尽に著者の膨大な知識が注ぎ込まれ、実におもしろい内容になっています。ベートーヴェンのピアノソナタ全曲録音もされているピアニスト杉谷昭子先生からは、「これまでのベートーヴェン研究にない、斬新なアプローチ」と、帯に推薦のおことばを頂戴しました。
ベートーヴェン演奏に取り組まれる方は、ぜひお手にとってみていただきたく思います。

ベートーヴェンを“読む”ベートーヴェンを“読む”―32のピアノソナタ
チャールズ・ローゼン
小野寺 粛(翻訳)、土田京子 内藤 晃(監修)
道出版 2011-12-22
Amazonで詳しく見る
by G-Tools