Akatsuki庵

日々と向き合って

『高麗茶碗への挑戦』

2008年05月09日 08時56分35秒 | 美術館・博物館etc.
-日本人作家と韓国人作家による-『高麗茶碗への挑戦』(後記)
野村美術館※6月8日(日)まで

“挑戦”は朝鮮を引っかけてる?
と、書きながら思ってしまった。
3月下旬の京都フリークでは予定変更してパスしたけれど、その後に(湯木、藤田、畠山で)これでもか~ってくらいに朝鮮茶碗を観て、やはり野村も観ておきたくなった。

“本歌”と現代作家の“写し”を並べて展示してあるのがユニーク。
本歌は色が落ちたり文様が不明瞭になっているのを、写しでは復元されているので、より深く観賞できる。
一口に“高麗もの”と言っても種類は様々。
また、見立てで茶碗になったものもあれば、日本から注文して茶碗の用途に使えるように制作したもある。
産地によって、土質も変わる。
“注文”についても、通訳を介して伝えるか、図案と手振りのみで伝えるか、茶の湯の心得がある日本人があちらに渡って作るかで出来上がりにも違いがあったようで。
「一括りにできないから、なかなか覚えられなかったんだー」と改めて気がついた次第。
井戸、熊川、御本、通次、貫入、斗々屋、伊羅保、柿蔕。
三島、刷毛目、粉引、蕎麦。
だいぶ覚えてきた。

面白かったのは「御本雲鶴」。
今でもよく見かける図柄だけど、展示されていた茶碗は三代将軍家光が雲鶴を描いて、小堀遠州が朝鮮に注文して焼かせたもの。
後年、松平不昧が珍蔵したそうで。
なんてのことのない、フツーの雲鶴茶碗に見えるんだけど。

中央のショーケース、前期は高麗茶碗陶片が展示されていたらしいが、後期は朝鮮系国焼の数々が陳列されていた。
萩、上野、唐津、高取、薩摩…。
こうして本場と比較しながら観ると、なかなか壮観。
(後期に訪れてヨカッタ)

二畳茶室の展示は目録が受付でもらったリストになかったので、正座して書き写した。
掛物…西行
花入…朝鮮唐津
香合…竹丸文文錫
風炉釜…唐銅朝鮮(風炉の耳が象さん!)
水指…真葛長造作の仁清写
茶碗…御菩薩(みぞろ)焼
茶器…嵯峨棗
茶杓…有楽
蓋置…御本で「天下泰平」の文字あり
建水…高取
菓子器…御菩薩焼
と、島原の乱が鎮圧された後の徳川幕府が安定した時代が見えてきそうな取り合わせだった。

御菩薩(みぞろ)焼は滴翠美術館で見たばかりだったので、理解する上で助かった。

なかなか勉強させて下さる美術館。

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