徒然草独歩の写日記

周防東部の徒然なるままの写日記

~土が動く~ “通化寺窯” 田村悟朗氏(その2 登り窯)

2014-01-04 11:34:37 | 通化寺窯田村悟朗

 ~土が動く~ “通化寺窯” 

前回に続き、陶芸作家田村悟朗氏の紹介です。

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先月の記事で、自然釉と窯変の話をしましたが、焼成中、窯変の素地(土)が化学変化を起こし、カイラギ状(鮫皮状)に変化し、これが成長し粒状態が大きく成長していくさまを田村氏は「土が動く」と表現されています。

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さて、今回は、秋の「登り窯」を中心にまとめてみました。

登り窯は、短期間に陶磁器を大量に焼成するのに向いていますが、「通化寺窯」の登り窯は、焼成室を三室擁し、周防東部ではかなりの規模の窯です。
焚口は、正面下部の「大口」と各焼成室(間という)横の「小口」とに分けられます。

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 素焼き作品内部に釉薬を塗っています。

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慎重に窯入れ作業。今回は一の間と二の間を使います。

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焼成室は結構広い。最後に煉瓦で封をしています。
この人、お弟子さんです。女性です。自分の作品は特に慎重、念入りに棚積みしています。岩国市由宇で陶芸店を開き頑張っています。
 「KOUNO TOUKITEN」  http://kounotoukiten.com/
写真のセンスは抜群です。勿論作品も。

いよいよ窯炊きの日がやってきました。お弟子さんや、助っ人の応援得て、四人体制の不眠不休の24時間です。

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午前9時、神酒と榊を窯に捧げ、塩で清めてから火入れ。

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湿気を飛ばす焙りが終わり、午後になって、本焚きによって窯の温度が上がり始めると、一の間(第一焼成室)の”さま穴”と呼ばれる火格子から燃焼ガスが「ゴォー・ヒュー」と音を立てながら赤い糸を引いて吹き上がってきます。

夜になって、さらに温度が上がってくると、窯の両側にある火吹き穴から黒煙や炎が噴き出すさまは壮観です。

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横焚きを終えた一の間の小口を塞ぎ、二の間の小口から薪を投入するうち、大梅山の空が白ばんできます。
さすがに、この頃が疲れと眠気がピークに...。

二の間の温度が上がり、最後部の煙道から真っ黒な煙と炎が吹き上がる状態になると、今回の作業も終盤です。

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いきなり、突風が吹いて炎が向ってきました。体をそらす瞬間、何とかシャッターを。下から「大丈夫か!」の声が。

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横焚きを終了して炎が静まり、最後に各煙道を瓦で塞ぐと窯焚き の終了です。この最後の作業は、熱風陽炎が立ち上がるなか、両腕を防火処理し、皮手袋をはめて腹ばいに。
熱風のため、吹き出し口のあちこちに赤い火の粉が消えずに付いたままのが見えますか?悟朗さんも熱さに顔をしかめ歯を喰いしばっています。

9時15分に封を完了。予定通りの24時間だったようです。

お疲れ様でした。窯出しは五日後です。

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田村悟朗氏については、別に特ダネニュースがあるのですが、詳細は当方の拙筆サイト「周防国の街道・古道一人旅」のうち「通化寺」付近をご覧下さい。

                      徒然草独歩

 

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