3月10日午前11時からの宝塚雪組公演『ドン・カルロス』と『Shining Rhythm!』を観てきました。
良かったですね!あまり期待していなかっただけに、余計見てよかったと思いました。
久しぶりに、もう一度みたいなと私たちが思ったほどの出来栄えでした。
恥ずかしながら、私はヴェルディの「ドン・カルロ」も、その原作となったシラー作の戯曲『スペイン王子ドン・カルロス』も知らなかったし、今回の作品についても何も事前に調べていなかったので、実際に観るまでどんな筋書きかはわからないままでした。
もっとも、今回のタカラヅカ・バージョンはかなり換骨奪胎されているので、原作を知っている人はむしろかなり違和感を感じたかもしれませんね。
大体、史実の王子はかなりかわいそうな人物だったようで、容貌も全く冴えず、若くして獄死しています。(笑)
それはさておき、今回のタカラヅカ版「ドン・カルロス」はよくまとまった話になっていました。少し説明不足なところもありますが、一本物ではないので仕方がないと思います。
芝居は狩りの場面から始まります。そこでの衣装からして、時代考証に忠実で地味な色合いながら豪華なものでした。舞台装置もよくできていました。
はじめのほうは少し展開が遅く感じましたが、だんだん展開に調子が出てきて、引き込まれていきました。この辺り、観劇したのが初日から間がないので、出演者も乗りきれていないせいもあるかもしれません。
作者についても何の予備知識もなく観ていたのですが、話が進んで全体の場面構成や舞台全体を使ったアンサンブルを観ていくにつれて、だんだん作者が見えてきました。
どう見てもこれはキムシン((木村信司センセイ)だと確信しました。(笑)
で、幕間にプログラムを買って確かめたらやはりそうでしたね。
(ちなみにビンボーな私たち夫婦がプログラムを買うのはよほど作品の出来がいいときです。(笑))
↓プログラムです。
この人は宝塚大劇場の大舞台を使うのがうまいですね。それと、時代の趨勢に対するメッセージを織り込んだ作品を作る能力にも長けています。
代表作は言わずと知れた「王家‥」です。その後の「スサノオ」もメッセージが強かったですが、よくできていたと思います。
彼のメッセージには共感するところが多いので、今の宝塚では一番好みの作者です。
ただ、このセンセイ、ついメッセージだけが先走ってしまい、話としての完成度が低くコケてしまった作品も少なくないのですが、今回は久々のクリーンヒットでしたね。(笑)
「ドン・カルロス」役の音月桂は役にぴったりのキャラクタで好演していました。演技力ももちろんですが、歌唱力があって、容貌に似合わず(笑)、低い声から無理なく歌い上げる歌声が素晴らしいです。容貌とのギャップ感アリなのが面白いです。
「レオノール」役の舞羽美海は、可憐な中にも芯があり、しかも大胆なところもある王妃の侍女役のヒロインをよく演じていて好印象です。慎み深さとひたむきさがよく伝わってきました。
私的には現トップ娘役中夢咲ねね・蒼乃夕妃と並び好感度の高い一人です。
(ただ、三人とも歌がやや難ありというところが惜しいです。^^;)
プログラムより
ところで今回のお話は、トップ二人の恋愛に、フェリペ2世とその王妃イサベルとの冷めた夫婦の関係が大きく絡んでいます。むしろこの夫婦の関係が大きな柱となっているといえるでしょう。
その悩み多い「フェリペ2世」を演じているのが未涼亜希。インパクトではトップを食ってしまっているともいえるおいしい役どころを好演しています。
帰宅して、プログラムの挨拶記事にキムシンが書いているのを読むと、今回の作品を書く動機がフェリペ2世への関心であったことがよくわかります。
おいしい役といえば、フェリペ2世の妹フアナも王子と侍女のよき理解者として重要な役割をはたしていますが、これを涼花リサが演じていて、いい感じでした。
詳しい筋書きは書きませんが、ドン・カルロスと王妃が不倫疑惑と異端審問で追い詰められていくところから、最後は逆転するところまで(←結構ネタバレです)緊迫感が高まっていくところがよかったです。
重苦しい展開から一転、最後は痛快な結末、気分よく劇場を後にできる(笑)昂揚感が心地よい作品になっていました。私たち二人とも、「もう一回観たい!」と思った次第です。
ショーのほうも前回の月組と比べたらよほどまともで、とくにスペインの場面がよかったです。
プログラムより
特に最後のエトワール!私は名前すら知らなかったのですが、透水さらさという生徒とのこと。
久しぶりに聞く美声、本当に感嘆しました。まあ最近これぞエトワールという人にはお耳にかかっていないので(笑)、新鮮な驚きでした。
雪組というと私たちは草笛雅子とか毬谷友子とかの伝説的なエトワール(古すぎ!)を思い浮かべてしまいますが、その再来といってもいいほどの美声で、うれしかったですね。
しかし今回、芝居もショーもこんなにいい出来なのに、私たちの観劇日に客席にぽっかり空席があったのは残念でした。
おそらく団体の予約席が何かの理由でキャンセルになったのか、一階S席16列から21列まで下手側の席がまとまって空席だったのは驚きでした。
前回の「仮面の男」が大コケだった影響なのか、ホームページで見るチケット販売状況も思わしくないのが気がかりですね。
まあそれもあって今回私たちもあまり期待せず観たのですが、うれしい誤算で、最近の公演では「オーシャンズ」に次ぐ良作だと思いました。
せっかくのいい公演ですが、幸か不幸かまだいい席が手に入ると思いますので(笑)、ぜひ皆さんもご覧になってください。
絶対お勧めです!
宝塚大劇場公演
公演期間:3月9日(金)~4月9日(月)
東京宝塚劇場公演
公演期間:4月27日(金)~5月27日(日)
一般前売:3月18日(日)
良かったですね!あまり期待していなかっただけに、余計見てよかったと思いました。
久しぶりに、もう一度みたいなと私たちが思ったほどの出来栄えでした。
恥ずかしながら、私はヴェルディの「ドン・カルロ」も、その原作となったシラー作の戯曲『スペイン王子ドン・カルロス』も知らなかったし、今回の作品についても何も事前に調べていなかったので、実際に観るまでどんな筋書きかはわからないままでした。
もっとも、今回のタカラヅカ・バージョンはかなり換骨奪胎されているので、原作を知っている人はむしろかなり違和感を感じたかもしれませんね。
大体、史実の王子はかなりかわいそうな人物だったようで、容貌も全く冴えず、若くして獄死しています。(笑)
それはさておき、今回のタカラヅカ版「ドン・カルロス」はよくまとまった話になっていました。少し説明不足なところもありますが、一本物ではないので仕方がないと思います。
芝居は狩りの場面から始まります。そこでの衣装からして、時代考証に忠実で地味な色合いながら豪華なものでした。舞台装置もよくできていました。
はじめのほうは少し展開が遅く感じましたが、だんだん展開に調子が出てきて、引き込まれていきました。この辺り、観劇したのが初日から間がないので、出演者も乗りきれていないせいもあるかもしれません。
作者についても何の予備知識もなく観ていたのですが、話が進んで全体の場面構成や舞台全体を使ったアンサンブルを観ていくにつれて、だんだん作者が見えてきました。
どう見てもこれはキムシン((木村信司センセイ)だと確信しました。(笑)
で、幕間にプログラムを買って確かめたらやはりそうでしたね。
(ちなみにビンボーな私たち夫婦がプログラムを買うのはよほど作品の出来がいいときです。(笑))
↓プログラムです。
この人は宝塚大劇場の大舞台を使うのがうまいですね。それと、時代の趨勢に対するメッセージを織り込んだ作品を作る能力にも長けています。
代表作は言わずと知れた「王家‥」です。その後の「スサノオ」もメッセージが強かったですが、よくできていたと思います。
彼のメッセージには共感するところが多いので、今の宝塚では一番好みの作者です。
ただ、このセンセイ、ついメッセージだけが先走ってしまい、話としての完成度が低くコケてしまった作品も少なくないのですが、今回は久々のクリーンヒットでしたね。(笑)
「ドン・カルロス」役の音月桂は役にぴったりのキャラクタで好演していました。演技力ももちろんですが、歌唱力があって、容貌に似合わず(笑)、低い声から無理なく歌い上げる歌声が素晴らしいです。容貌とのギャップ感アリなのが面白いです。
「レオノール」役の舞羽美海は、可憐な中にも芯があり、しかも大胆なところもある王妃の侍女役のヒロインをよく演じていて好印象です。慎み深さとひたむきさがよく伝わってきました。
私的には現トップ娘役中夢咲ねね・蒼乃夕妃と並び好感度の高い一人です。
(ただ、三人とも歌がやや難ありというところが惜しいです。^^;)
プログラムより
ところで今回のお話は、トップ二人の恋愛に、フェリペ2世とその王妃イサベルとの冷めた夫婦の関係が大きく絡んでいます。むしろこの夫婦の関係が大きな柱となっているといえるでしょう。
その悩み多い「フェリペ2世」を演じているのが未涼亜希。インパクトではトップを食ってしまっているともいえるおいしい役どころを好演しています。
帰宅して、プログラムの挨拶記事にキムシンが書いているのを読むと、今回の作品を書く動機がフェリペ2世への関心であったことがよくわかります。
おいしい役といえば、フェリペ2世の妹フアナも王子と侍女のよき理解者として重要な役割をはたしていますが、これを涼花リサが演じていて、いい感じでした。
詳しい筋書きは書きませんが、ドン・カルロスと王妃が不倫疑惑と異端審問で追い詰められていくところから、最後は逆転するところまで(←結構ネタバレです)緊迫感が高まっていくところがよかったです。
重苦しい展開から一転、最後は痛快な結末、気分よく劇場を後にできる(笑)昂揚感が心地よい作品になっていました。私たち二人とも、「もう一回観たい!」と思った次第です。
ショーのほうも前回の月組と比べたらよほどまともで、とくにスペインの場面がよかったです。
プログラムより
特に最後のエトワール!私は名前すら知らなかったのですが、透水さらさという生徒とのこと。
久しぶりに聞く美声、本当に感嘆しました。まあ最近これぞエトワールという人にはお耳にかかっていないので(笑)、新鮮な驚きでした。
雪組というと私たちは草笛雅子とか毬谷友子とかの伝説的なエトワール(古すぎ!)を思い浮かべてしまいますが、その再来といってもいいほどの美声で、うれしかったですね。
しかし今回、芝居もショーもこんなにいい出来なのに、私たちの観劇日に客席にぽっかり空席があったのは残念でした。
おそらく団体の予約席が何かの理由でキャンセルになったのか、一階S席16列から21列まで下手側の席がまとまって空席だったのは驚きでした。
前回の「仮面の男」が大コケだった影響なのか、ホームページで見るチケット販売状況も思わしくないのが気がかりですね。
まあそれもあって今回私たちもあまり期待せず観たのですが、うれしい誤算で、最近の公演では「オーシャンズ」に次ぐ良作だと思いました。
せっかくのいい公演ですが、幸か不幸かまだいい席が手に入ると思いますので(笑)、ぜひ皆さんもご覧になってください。
絶対お勧めです!
宝塚大劇場公演
公演期間:3月9日(金)~4月9日(月)
東京宝塚劇場公演
公演期間:4月27日(金)~5月27日(日)
一般前売:3月18日(日)