アイヌ民族関連報道クリップ

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登別・知里むつみさんの「アイヌを知ろう!」本発刊(室蘭民報)

2009-03-20 00:00:00 | アイヌ民族関連
■ 登別・知里むつみさんの「アイヌを知ろう!」本発刊
【2009年3月20日(金)朝刊】

 登別市登別本町在住の知里(横山)むつみさん(61)が執筆した「日本の先住民族アイヌを知ろう!(1)アイヌ民族の歴史といま」(汐文社刊)が出来上がった。小、中学生向けに読みやすく構成、「この本でアイヌを知ってもらうきっかけづくりになれば」と期待を込めている。

 「アイヌ神謡集」を著した知里幸恵の残した業績に正当な評価と理解を―と取り組んでいる横山さんは知里森舎の理事長。知里幸恵が亡くなった9月を中心にフォーラムを開催する傍ら、幸恵の資料などを集めた「銀のしずく記念館」(仮称)の来年秋完成に向けて力を注いでいる。横山さんは活動に当たって適宜「知里姓」を名乗っており、今回の刊行に当たっては「知里むつみ」としている。

 ご主人の孝雄さんは漫画家で、先に汐文社から「イシカリ神うねる河」の第1巻が発行されているが、昨年、アイヌ民族が先住民族であるとする国会決議がなされたこともあり、同社の担当者から執筆の依頼を受けた。

 単独本は初めてという横山さんが手掛けるのは2巻で、今回の1巻目は「アイヌ民族の歴史といま」に焦点を当てた。「縄文文化からアイヌ文化へ」「中世のアイヌ民族和人とのたたかい」「近世のアイヌ民族和人とのたたかい2」「アイヌの人たちと明治維新」「先住民族の誇り現代」の5つのパートからなり、アイヌの立場から歴史が学べる内容となっている。教科書にもよく出てくるシャクシャインの戦いから北海道旧土人保護法、アイヌ民族の地位向上、アイヌ文化振興法制定後の動き、民族の復権、文化の継承など、ひと口メモなども交えながら易しく著している。小学高学年から中学生向けに、写真やイラスト、図などを使い読みやすくした。表紙絵は孝雄さん、中のイラスト、図は漫画家の成田英敏さんに協力してもらった。

 序文や後書きで「アイヌの自然観は現代を生きる私たちにとって、とても大切なことを教えてくれる。アイヌ民族としての誇りや自己意識を強くもって生きている。繰り返し読むことで新たな疑問や関心がわいてくると思う。長く手元に置いて、深めてほしい」などと記した横山さん。「アイヌの人たちは同化政策に屈せず、民族意識をはぐくみながら取り組んできたことを、北海道以外の人にも知ってほしい」と訴えている。

 ハードカバー、64ページで、定価は2500円(税別)。近くの書店か汐文社(電話03・3815・8421番)へ。第2巻は「アイヌ民族のことばと文化」で、近く発刊の運びとなっている。
(野崎己代治)

【写真=刊行された「日本の先住民族アイヌを知ろう!① アイヌ民族の歴史といま」と、知里(横山)むつみさん】


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