アイヌ神謡集 美しさに敬意 ノーベル文学賞のル・クレジオさん (12/03 10:39)
北大で講演したル・クレジオさん
昨年ノーベル文学賞を受賞したフランスの作家ル・クレジオさん=米国在住=を迎えた市民講演会「先住民族の語りと文学」(北大アイヌ・先住民研究センター主催)が2日、北大で開かれた。「私の文学と先住民族文化」を演題に選んだル・クレジオさんは、300人の来場者に「アイヌ神謡集を読んで歌の美しさに驚愕(きょうがく)した」と伝えた。
ル・クレジオさんは神謡集を著した知里幸恵を敬愛し、仏語訳にも尽力した。「神謡集は神話でありながら、歴史から受けて来た苦しみも入っており、日常生活にも目が配られている。文学の真理である平和のイメージを語り手が伝えようとしている」と評した。
作家池澤夏樹さんとの対談も行われ、「先住民族は隅に押し込められ、奪われ、数を減らしている」との池澤さんの言葉に、「自然と調和・均衡を図り、与えられたものに感謝してきた伝統社会の生き方は、現代産業社会をより良くするヒントを与えてくれる」と応じた。
この日はアイヌ民族の結城幸司さんが「ホロケウカムイ(オオカミ)の語り」を披露。神謡集の仏語訳を進めた作家津島佑子さんもその経緯を語った。