お祭り 歴史探索の旅   ~尾陽雑記抄~

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川相昌弘 「明日への送りバント」 後編

2005年11月06日 00時11分13秒 | プロ野球(きょうろぐ)
上手な下がり方「功遂げ身退くは天の道なり」(老子)
と言います。頂点を極めたところで身を退くのが一番良い。という意味ですが、現実はなかなか難しい。
 まわりが辞めて欲しいと思っても、地位に執着するのは、一般的な例ですが、頂点を上り詰めた後にスパッと辞める。後を託された者の苦労を考えると、こちらも考えもの、古くは巨人V9後を引き受けた長嶋監督(私産まれていないから、詳しくわかりませんが)最近では、阪神優勝後に監督就任した岡田監督。プレッシャーは相当なものだろうと。
 後を託される者としては、プロ野球では最下位か、それに順ずる順位で受けた方がやりやすいでしょう。

 また、本人は辞めたがっているが、まわりが辞めさせてくれない。嬉しいようですが、本人にしては気の毒。具体例は挙げませんが(挙げれませんが)これらを想像してみてください。


人間永遠にトップに居続けるのは不可能です。そのあとの下がり方については、人によっていろいろな哲学があるでしょう。(中略)
 プロ野球という世界で、私は二十二年間メシを食ってきました。これが私のいわば生活圏です。私はこのエリアを大切にしたい。大事に守り抜くためには、私は単にもと来た道に戻ればいいんだと考えています。
 私はあまり期待もされず入団し、何もないところからスタートしました。ピッチャー、キャッチャー、ファースト以外のポジションは全部やりました。控え選手から一歩ずつ這い上がっていって、レギュラーポジションをつかみました。だからショートには固執せず、また以前のように必要とされるポジションで存在感を示せばいいだけの話です。(中略)
 頑固に押し通したければそれでもよいけれども、そういう柔軟な部分も必要ではないでしょうか?

 一度上がってしまった自分を下ろすのはなかなか大変ではあります。勇気もいります。でも下ろせるだけ下ろして、あとはそこでがんばればいいじゃないかと私は思うのです。

 私は上手な下がり方の道を選んだからこそ大好きな野球を続けていくことができる。こんな幸せなことはありません。


私の前書きとは違う引用文となってしまいましたが、綺麗に辞めようと思うな、ということでしょうか。
トップに立った後、ゆっくり降りていく。まわりにも配慮しながら。
 「もと来た道に戻る」これも、ゼロからスタートした人間だからこそ出来る芸当かもしれません。
また、「必要とされるポジションで存在感を示す」辞め方だけでなく、すべからく、必要とされるポジションで存在感を示せば、必ず誰かに必要とされる訳で、これから頭角を現したい方にもうってつけの言葉。

 以上三回にわたって川相昌弘「明日への送りバント」を抜粋してお送りしてきましたが、もし興味が出てきたら書店で一度、手にとって見てください。
今シーズンは終わりましたが、ナゴヤドームへ行った折には、おそらくバントの場面、三塁の守備固めで来期も「川相昌弘の背中」を見ることが出来ると思います。しかしながら、今期ほど出場機会は少ないでしょう。残された時間は他の現役選手より少ないだろう、だから光り輝いて見える。是非目に焼き付けてください。



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